56 / 80
4/I'm in love
4-15
しおりを挟む
◆◆◆
家には誰もいなかった。時間帯は深夜の三時半を回っていた。母親も父親も存在していなかった。家の中にいたのは、罪を犯したであろう俺と、罪を被ってしまった皐だけ。皐は血を流していた。それは俺が原因だった。彼女の罪を否定し、その上で俺は彼女を傷つけた。物理的に、おそらく精神的に。どうやっても、俺は彼女に対して罪を犯してしまった。どこまでも、俺は彼女に踏み込んでしまった。
彼女の中に、俺の種子は残っていない。それだけは阻止することはできたけれど、そのためにあらゆるものを傷つけた気がする。俺が踏み込んでしまった結果は、すべての人を裏切り、精神的に殺すことになってしまった。
どこかに行きたい。どこかに逃げ出してしまい。すべての状況を見過ごして、そうしてどこかに逃げ出したい。高原翔也であることをやめてしまいたい。
俺は、家から出た。
◆◆◆
どこに逃げだせばいいのかわからなかった。それでも俺は外に逃げ出した。外には湿気があった。その湿気以外にも風は吹いていた。熱ばった焦燥感は風によって冷やされた。額に宿った汗粒は気化して、涼しさだけを顔に味わわせた。
どこまでいけばいい。どこに逃げだせばいい。やはりわからない。どこまでも思考が働かない。俺はどうすればいいんだろう。
足は自然と動いていた。目的地はないから、ただ足を走らせた。筋肉を動かして引き攣る感覚だけが反芻した。そのどれもがどこか違和感のあった行動だった。
本当なら、あそこの場面で俺はどうするべきだった。近親相姦のあと、俺はどうするべきだった。俺は彼女を突き放すべきだったのだろうか。彼女を受け容れるべきだったのだろうか。
彼女は涙を流していた。皐は止め処なくあふれる涙を流していた。それは俺の罪なのだ。だとすれば、俺はどうすればよかったんだ。
景色は揺れ動く。叫びだしたい衝動に駆られる。
──今からでも、家に戻るべきか。
親はいない。皐しかいない。皐は涙を流して、血を零した。額から確かな血液が一筋流れていた。それを介抱しなければいけないだろう。
でも、彼女は俺にそれを許すのだろうか。とことん拒絶をして、暴力まがいで彼女を物理的に否定する俺を、誰が許すというのだろうか。
死んではない。呼吸はしていたはずだ。呼吸は繰り返されていたはずだ。だから、生きているはずだ。本当に? どうして俺はそう思っている? 皐は頭をぶつけたんだぞ、本当にそれで呼吸しているからって生きていると言えるのだろうか?
定義が狂う、定義が狂う。生きていることに対して、すべての定義が狂いだしていく。
逃げ出している場合じゃない。こんなことをしている場合じゃない。これ以上の罪は存在しない。それ以上の罪も存在しない。戻るべきなのだ、俺は。戻らなければいけないのだ。
俺は、引き攣っている脹脛の感覚を確かめながら、踵を返す。遅くなっていないように祈りながら、焦燥感を構えて。
◆◆◆
部屋に戻った。彼女はそこにはいなかった。どこまでも彼女は存在していなかった。ベッドのシーツには、俺たちが行ってしまった罪の省庁だけが飾られていた。そのどれもが吐き気を催す罪の一つだった。
彼女はどこだ、探さなければいけない。
でも、皐はどこにもいない。
どこにもいない。
どこにもいない。
俺の部屋にも、彼女の部屋にも、両親の部屋にも、居間にも、風呂場にも、どこにも彼女はいない。
彼女の靴がない。
俺は、彼女を探して、外に出た。
◆◆◆
どこまでも両親は帰ってこない。こんな緊急事態だというのに、皐が大変なことになっているというのに、両親は仕事を続けている。きっと、仕事と言いながら嘘をついている。そのどれもが嘘だ。俺にはそれがわかる。だからこそ、皐との時間を増やしていたのに。
でも、皐はもう家にはいない。俺がやらなきゃいけない。俺が罪を清算するために、彼女を探して、なにか言葉をかけなければいけない。なんて言葉をかければいいのだろう。わからない。謝罪か? 謝罪だろうか? 謝罪だろうな、謝罪をしなければいけない。でも、彼女はどこにも見つからない。
いつも彼女と愛莉で遊んでいた公園を巡った。そこに彼女はいなかった。
二十四時間営業をしているコンビニ、スーパーを捜し歩いた。彼女はいなかった。
学校の周りを捜し歩いた。そこに彼女はいなかった。
どこにも、どこにも、どこにも。彼女の存在は見られなかった。
誰かに助けを乞いたい。責任を投げ出してしまいたい。だが、どう説明すればいい、ここまでの情事を、どう説明すればいい。俺は否定されなければいけない。だが、否定されるのは嫌だ。罪を糾弾されるのは嫌だ。俺は悪くないはずだ。でも、俺が悪いということを認識してしまっている自分がいる。自分だけが自分という存在を責め立てている。
こういう時に愛莉に相談できれば──、彼女には一番相談できない。恋人という関係性を紡いだ後に、彼女にあんなことを相談できるわけがない。あんな罪を、彼女に伝えられるわけがない。共有できるはずがない。
吐き気がする。血の味がする。走って、そうして呼吸を繰り返すたびに、喉に馴染んだ酸素が血液の味を演出する。えづきながら走る、嗚咽を繰り返しながら走る。走らなければいけない。俺が、彼女を──。
◇◇◇
夜は、終わっていた。夏の朝は早く来る。太陽は昇っていた。明るさだけがそこにあった。確かに並んだ鬱陶しい湿気の中に自分はいた。眩しさだけが瞳の中に焼き付いた。
それでも、彼女は見つからなかった。
◇◇◇
諦観を背負って、そうして俺は家に帰った。そんな時に、父親は帰宅していて、朝に帰ってきたことをとがめられた。そんなことよりも皐はどこにいるのだろう。そう思って靴箱を覗けば、そこには皐のいつも使っているクロックスがあった。彼女は家にいた。
ひとまず安堵をした。父親には平謝りをした。適当な言い訳をしたはずだ。よく覚えていない。俺の汗だくの姿を見て、父は納得していたような気がする。思い出せない。思い出したくはない。
皐に会わなければいけない。
父から解放された後、俺は皐の部屋に向かった。鍵がかかっていた。開くことはできなかった。何度かノックをした。反応はなかった。声をかけることは憚られた。父が家にいたから、大きなリアクションをとりたくなかった。何かを察されることを嫌った。俺は何もできなかった。
部屋に戻った。部屋に戻って、俺はベッドに染み付いていた罪の象徴を眺めて、どうしようもない感情になった。感情が爆発する感覚を覚えた、どこまでも気持ちが悪い感覚が喉元に来た。叫びだしてしまいたかった。それをするのは憚られた。俺は普通を演じるしかないのだ、そう思って、俺はベッドには眠らず、床に眠ることにした。ベッドを見たら正気に戻ることはできなそうだったから。
嫌悪感、嫌悪感、世界に対する嫌悪感、気持ちが悪い、吐きそうだ。俺は、胃の中でまとまりつつある胃酸の爆発を身体の中に抑え込んだ。ひどく、気分が、悪かった。
◇◇◇
それからの日常は簡易的だった。しばらくは音沙汰がなかった。唯一変わったこととすれば、皐の口調だけだった。
何事もないように彼女は振舞った。だが、明らかに何かあったように演出する敬語が俺をどうしようもなく責め立てた。
彼女は言葉には出さない。敬語を示すことで、俺との距離感を演出した、敵意を演出した。それでも普段の関わりを行うことによって、俺に日常的に罪であることを刻みつける。彼女と会うたびに吐き気が止まらない。しばらくはそんな日々が続いた。
彼女は俺に言葉を吐いた。
愛莉と付き合って一週間ほど経過したあたり、俺が罪の意識を切り離そうとしているときに、勉強をしているときに、俺の部屋の戸口はノックされた。俺はそれに対して警戒することしかできなかった。拒否をすることはできなかった。
「翔兄は、本当にこれでいいんですか」
皐は、俺に対してそう言葉をかけた。俺は彼女との罪を思い出して、どうしようもない気持ちになった。
「ずっと、ずっと愛ちゃんに寄りかかって、それで本当にいいんですか。それは愛ちゃんの負担になっていませんか。本当にそれで翔兄はいいんですか」
──俺は、その言葉を吞み込むしかなかったんだ。
◆◇◆
なあ、俺はどうすればよかったんだと思う? 俺はどうすればよかったんだろう。未だに答えを見つけることができないままでいる。あの時の最善なんてなかったような気がする。俺が高原翔也でなければ、それで解決するような気がする。でも、死ぬ気なんてない。死ぬことは怖い、だから死ぬことなんてできやしない。こうして皐を、愛莉を裏切り続け、その果てに伊万里さえも傷つけてしまって、裏切りだけを繰り返している。どうすればいい。どうすればいいんだろう。わからないんだ。どこまでもその問いに答えが明示されないんだ。俺が馬鹿だからかもしれない。そのために勉強をしているけれど、勉強をしたからと言って、それの正解を導き出せるわけではない。皐を肯定すればよかったのだろうか。一夜の過ちということで、すべてから目を逸らせばよかったのだろうか。そうすれば、俺と皐と愛莉は、伊万里は、幸せに過ごすことはできたのだろうか。愛莉の愛情を受け取って、そうしてやっと望んでいた恋人関係になったのに、そんな行為を肯定していいのだろうか。近親相姦という罪を無視して、皐の中で快楽におぼれていた方が、俺の世界は報われたのだろうか。
わからない。わからない。わからない。
なにも、わからないんだ。
家には誰もいなかった。時間帯は深夜の三時半を回っていた。母親も父親も存在していなかった。家の中にいたのは、罪を犯したであろう俺と、罪を被ってしまった皐だけ。皐は血を流していた。それは俺が原因だった。彼女の罪を否定し、その上で俺は彼女を傷つけた。物理的に、おそらく精神的に。どうやっても、俺は彼女に対して罪を犯してしまった。どこまでも、俺は彼女に踏み込んでしまった。
彼女の中に、俺の種子は残っていない。それだけは阻止することはできたけれど、そのためにあらゆるものを傷つけた気がする。俺が踏み込んでしまった結果は、すべての人を裏切り、精神的に殺すことになってしまった。
どこかに行きたい。どこかに逃げ出してしまい。すべての状況を見過ごして、そうしてどこかに逃げ出したい。高原翔也であることをやめてしまいたい。
俺は、家から出た。
◆◆◆
どこに逃げだせばいいのかわからなかった。それでも俺は外に逃げ出した。外には湿気があった。その湿気以外にも風は吹いていた。熱ばった焦燥感は風によって冷やされた。額に宿った汗粒は気化して、涼しさだけを顔に味わわせた。
どこまでいけばいい。どこに逃げだせばいい。やはりわからない。どこまでも思考が働かない。俺はどうすればいいんだろう。
足は自然と動いていた。目的地はないから、ただ足を走らせた。筋肉を動かして引き攣る感覚だけが反芻した。そのどれもがどこか違和感のあった行動だった。
本当なら、あそこの場面で俺はどうするべきだった。近親相姦のあと、俺はどうするべきだった。俺は彼女を突き放すべきだったのだろうか。彼女を受け容れるべきだったのだろうか。
彼女は涙を流していた。皐は止め処なくあふれる涙を流していた。それは俺の罪なのだ。だとすれば、俺はどうすればよかったんだ。
景色は揺れ動く。叫びだしたい衝動に駆られる。
──今からでも、家に戻るべきか。
親はいない。皐しかいない。皐は涙を流して、血を零した。額から確かな血液が一筋流れていた。それを介抱しなければいけないだろう。
でも、彼女は俺にそれを許すのだろうか。とことん拒絶をして、暴力まがいで彼女を物理的に否定する俺を、誰が許すというのだろうか。
死んではない。呼吸はしていたはずだ。呼吸は繰り返されていたはずだ。だから、生きているはずだ。本当に? どうして俺はそう思っている? 皐は頭をぶつけたんだぞ、本当にそれで呼吸しているからって生きていると言えるのだろうか?
定義が狂う、定義が狂う。生きていることに対して、すべての定義が狂いだしていく。
逃げ出している場合じゃない。こんなことをしている場合じゃない。これ以上の罪は存在しない。それ以上の罪も存在しない。戻るべきなのだ、俺は。戻らなければいけないのだ。
俺は、引き攣っている脹脛の感覚を確かめながら、踵を返す。遅くなっていないように祈りながら、焦燥感を構えて。
◆◆◆
部屋に戻った。彼女はそこにはいなかった。どこまでも彼女は存在していなかった。ベッドのシーツには、俺たちが行ってしまった罪の省庁だけが飾られていた。そのどれもが吐き気を催す罪の一つだった。
彼女はどこだ、探さなければいけない。
でも、皐はどこにもいない。
どこにもいない。
どこにもいない。
俺の部屋にも、彼女の部屋にも、両親の部屋にも、居間にも、風呂場にも、どこにも彼女はいない。
彼女の靴がない。
俺は、彼女を探して、外に出た。
◆◆◆
どこまでも両親は帰ってこない。こんな緊急事態だというのに、皐が大変なことになっているというのに、両親は仕事を続けている。きっと、仕事と言いながら嘘をついている。そのどれもが嘘だ。俺にはそれがわかる。だからこそ、皐との時間を増やしていたのに。
でも、皐はもう家にはいない。俺がやらなきゃいけない。俺が罪を清算するために、彼女を探して、なにか言葉をかけなければいけない。なんて言葉をかければいいのだろう。わからない。謝罪か? 謝罪だろうか? 謝罪だろうな、謝罪をしなければいけない。でも、彼女はどこにも見つからない。
いつも彼女と愛莉で遊んでいた公園を巡った。そこに彼女はいなかった。
二十四時間営業をしているコンビニ、スーパーを捜し歩いた。彼女はいなかった。
学校の周りを捜し歩いた。そこに彼女はいなかった。
どこにも、どこにも、どこにも。彼女の存在は見られなかった。
誰かに助けを乞いたい。責任を投げ出してしまいたい。だが、どう説明すればいい、ここまでの情事を、どう説明すればいい。俺は否定されなければいけない。だが、否定されるのは嫌だ。罪を糾弾されるのは嫌だ。俺は悪くないはずだ。でも、俺が悪いということを認識してしまっている自分がいる。自分だけが自分という存在を責め立てている。
こういう時に愛莉に相談できれば──、彼女には一番相談できない。恋人という関係性を紡いだ後に、彼女にあんなことを相談できるわけがない。あんな罪を、彼女に伝えられるわけがない。共有できるはずがない。
吐き気がする。血の味がする。走って、そうして呼吸を繰り返すたびに、喉に馴染んだ酸素が血液の味を演出する。えづきながら走る、嗚咽を繰り返しながら走る。走らなければいけない。俺が、彼女を──。
◇◇◇
夜は、終わっていた。夏の朝は早く来る。太陽は昇っていた。明るさだけがそこにあった。確かに並んだ鬱陶しい湿気の中に自分はいた。眩しさだけが瞳の中に焼き付いた。
それでも、彼女は見つからなかった。
◇◇◇
諦観を背負って、そうして俺は家に帰った。そんな時に、父親は帰宅していて、朝に帰ってきたことをとがめられた。そんなことよりも皐はどこにいるのだろう。そう思って靴箱を覗けば、そこには皐のいつも使っているクロックスがあった。彼女は家にいた。
ひとまず安堵をした。父親には平謝りをした。適当な言い訳をしたはずだ。よく覚えていない。俺の汗だくの姿を見て、父は納得していたような気がする。思い出せない。思い出したくはない。
皐に会わなければいけない。
父から解放された後、俺は皐の部屋に向かった。鍵がかかっていた。開くことはできなかった。何度かノックをした。反応はなかった。声をかけることは憚られた。父が家にいたから、大きなリアクションをとりたくなかった。何かを察されることを嫌った。俺は何もできなかった。
部屋に戻った。部屋に戻って、俺はベッドに染み付いていた罪の象徴を眺めて、どうしようもない感情になった。感情が爆発する感覚を覚えた、どこまでも気持ちが悪い感覚が喉元に来た。叫びだしてしまいたかった。それをするのは憚られた。俺は普通を演じるしかないのだ、そう思って、俺はベッドには眠らず、床に眠ることにした。ベッドを見たら正気に戻ることはできなそうだったから。
嫌悪感、嫌悪感、世界に対する嫌悪感、気持ちが悪い、吐きそうだ。俺は、胃の中でまとまりつつある胃酸の爆発を身体の中に抑え込んだ。ひどく、気分が、悪かった。
◇◇◇
それからの日常は簡易的だった。しばらくは音沙汰がなかった。唯一変わったこととすれば、皐の口調だけだった。
何事もないように彼女は振舞った。だが、明らかに何かあったように演出する敬語が俺をどうしようもなく責め立てた。
彼女は言葉には出さない。敬語を示すことで、俺との距離感を演出した、敵意を演出した。それでも普段の関わりを行うことによって、俺に日常的に罪であることを刻みつける。彼女と会うたびに吐き気が止まらない。しばらくはそんな日々が続いた。
彼女は俺に言葉を吐いた。
愛莉と付き合って一週間ほど経過したあたり、俺が罪の意識を切り離そうとしているときに、勉強をしているときに、俺の部屋の戸口はノックされた。俺はそれに対して警戒することしかできなかった。拒否をすることはできなかった。
「翔兄は、本当にこれでいいんですか」
皐は、俺に対してそう言葉をかけた。俺は彼女との罪を思い出して、どうしようもない気持ちになった。
「ずっと、ずっと愛ちゃんに寄りかかって、それで本当にいいんですか。それは愛ちゃんの負担になっていませんか。本当にそれで翔兄はいいんですか」
──俺は、その言葉を吞み込むしかなかったんだ。
◆◇◆
なあ、俺はどうすればよかったんだと思う? 俺はどうすればよかったんだろう。未だに答えを見つけることができないままでいる。あの時の最善なんてなかったような気がする。俺が高原翔也でなければ、それで解決するような気がする。でも、死ぬ気なんてない。死ぬことは怖い、だから死ぬことなんてできやしない。こうして皐を、愛莉を裏切り続け、その果てに伊万里さえも傷つけてしまって、裏切りだけを繰り返している。どうすればいい。どうすればいいんだろう。わからないんだ。どこまでもその問いに答えが明示されないんだ。俺が馬鹿だからかもしれない。そのために勉強をしているけれど、勉強をしたからと言って、それの正解を導き出せるわけではない。皐を肯定すればよかったのだろうか。一夜の過ちということで、すべてから目を逸らせばよかったのだろうか。そうすれば、俺と皐と愛莉は、伊万里は、幸せに過ごすことはできたのだろうか。愛莉の愛情を受け取って、そうしてやっと望んでいた恋人関係になったのに、そんな行為を肯定していいのだろうか。近親相姦という罪を無視して、皐の中で快楽におぼれていた方が、俺の世界は報われたのだろうか。
わからない。わからない。わからない。
なにも、わからないんだ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
9
1 / 3
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる