雪花祭り☆

のの(まゆたん)

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家族の肖像画と魔法使い

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前王・・黄金の竜の王アージェント

王家が長年切望した赤い火焔の瞳 宝石のような輝き 光により様々に色が変わる不思議な瞳
伝説のアジェンダ王以来の300年後のようやく出現した火竜王

黒の王族の中で最大の魔力を持つ者

半分人族のアーシュラン そして本来なら王とはいえ 竜人の守護者は一人のみでありながら

700年以上前 中期の救世主で火焔のヴァルジニテ女王と同じく二人の竜人の守護者を持ち
運命の相手として火焔の王女テインタルを与えられ 神たちに多くを祝福されていたのを
知っていたはずなのに 

優れた予知の力と心を読む才に長けていた実の父親のアージェンドは
子供のアーシュランを疎み 黒の側の人質としてアーシュを白の国に追いやった

いずれ敵 白の国の支配者である宗主に処刑される捨て駒として・・・

嫉妬深く 類まれなる美貌の王妃アリアン
彼女の手前なのか 王の意向か アーシュは家族の肖像画には入ってない

肖像画の中で王家の子供としているのは 王妃が産んだ
火焔の瞳のテインタル王女と黄金の瞳の幼い弟アジュアリ

王を愛しすぎた王妃  少しばかり心を壊れて
人族の側室の子を大変憎み 幾度も殺そうとした

豊かなる黒の王家の家族として至福と光の中にいた幼きテインタル王女

日陰の存在となっていたアーシュラン


新に台頭した巨人族により黒の王宮と王都は陥落 

黒の王家 王族は全て殺された
炎の中で消えた者達以外の 
黒の王アージェントと幼き王子アジュアリの首は晒し首となり

アーシュの竜人守護者の一人アレルドも殺された

人質だった子供のアーシュは 幼いエイルやエイルの父親の御蔭で
白の宗主の処刑から逃れて
長い時をかけて 黒の王国を取り戻して

今は 記憶を無くして姿も子供に戻ったものの
黒の王として 輝く光の中にいた

対して王妃の子供で 純粋なる黒の王族 火焔の王女は
闇の中に囚われて・・・

そして この時の瞬間 
敵として生きていた黒の王女 アーシュの異母妹の姿を
・・セルトは唖然として 見つめていた

アーシュは手に炎を宿して怒り狂っている  

テイ、テインタル王女を背で庇い続ける
黒の大貴族リュース公の姫将軍アルテイシア 
その顔には涙で溢れている

テインタル王女は顔を下に向けて 
ぼんやりとした表情を浮かべていた

アーシュの想い人である
白の王女エイルの方は大怪我を負って牢屋の中で倒れ込んでいる


そんな中 声が響く

「黒の王 火竜王(サラマンデイア)に 水の女王アルテイア姫
それにセルト将軍とは・・
ちょっと分が悪いですね アムネジア ふふふ」
空中から 魔法使いのローブを頭から被った男が突然 現れる 

ローブの中から口元だけ見えていた

さっと アルテイシアの背に庇われていたアムネジアを抱き寄せ
片腕で包み込む

されるがままの無表情のアムネジア
しかし 瞳には涙が浮かんでいる

「お前は!」アーシュ

「貴様! 巨人族の王に仕える魔法使い! 
二十数年前に
ナーリンを水晶玉に閉じ込め 
私を首輪の魔具で心を封じ 
長きに渡り操り人形にした男」怒りを込めてセルトが叫ぶ

「・・皆さん お静かに・・今回は 我々は引きますよ」
 魔法使いは余裕で言う

「生きて帰れると思うな!」アーシュ

「お前は許さん!その腕の中の大事な妹姫君を放せ」
 セルトが大声で言う

空いている片手て 光が浮かび 丸い形を取る
それは・・水晶玉
ナーリンが閉じ込められている

「ナーリン!」
ほぼ同時に 再び倒れたエイルをのぞき 皆が叫んだ

ギギギ・・ 石で出来たゴーレムが数体 部屋に入ってくる

その後ろから 「魔法使い様!」赤毛の男ランデイが部屋に入る
素早く 剣をかまえ 魔法使いの横に立つランデイ

「彼らの相手は 石のゴーレムに任せましょう
 行きますよランデイ アムネジア」姿が薄くなり消えかかる

魔法で何処かへ飛ぶ寸前に 
アムネジアは 魔法使いの手から さっと水晶玉を取り上げ
それを・・水晶玉を

「アル!」と叫び 水晶玉を投げ渡す

「テイ!」ぽんと受け取るアルテイシア

「! 油断ならない仕方ない御方だ・・

そんな事をすると、またお仕置きをしますよアムネジア・・」
「・・・・」黙っているアムネジア

三人の姿は 消え 石のゴーレム達が襲い掛かる
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