雪花祭り☆

のの(まゆたん)

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黒の羽 蘇る記憶 募る想い

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部屋から出ようとして 
黒い羽・・テインタル王女の背中の黒い翼の羽が落ちてる事に気がつく

それを何気に手に取り 無意識のうちに 金色の瞳となり輝く
過去見の力

幼い頃のテインタル王女・・アムネジアの記憶
「あははは アーシュお兄様!」
「テインタル王女 また母上に俺と遊んだら叱られるぞ」
少し硬い表情を緩めアーシュは 幼いテインタル王女言う

「大丈夫 今日はお留守よ 庭のお花で 冠を作ってアーシュお兄様!」
「・・・」やれやれという顔をして 望み通り 花冠を作り頭に乗せる

「有難う お兄様 これ お菓子 一緒に食べましょう」
「有難うテインタル」菓子を分けてもらい 王宮の広い庭にあるベンチに腰かけて
 一緒に菓子を食べる

「お兄様はテインタルの事好き?」
「・・・・」あの黒の王妃アリアンに面差しのよく似た幼い少女 王女はアーシュに問う

「ああ 好きだよ」アーシュは答える
「私も 私も大好き!アーシュお兄様!
ねえ 王族は異母兄妹なら 結婚も出来るわ 好きよアーシュお兄様
いつか、お兄様の花嫁になりたいの ふふ」少し赤くなりテインタル王女は言う

「まあ 大きくなったら考える」アーシュ ちょっとそっぽ向いてアーシュ
「きっとよ!うふふ」テインタル王女

他にも様々な情景が浮かぶ・・
テインタル王女の記憶の情景

アーシュの失ったはずの記憶が その情景が引き金となって
ほんの少しだけ 思い出す

そうだ・・俺は・・あの黒の王妃アリアンが好きだった・・俺の初恋

そして、母親によく面差しの似た妹のテインタル王女の事も
一瞬 アーシュの心に迷いが生じる
目を閉じ 首を軽くふり その想いを振り払う

駄目だ・・あれは・・アムネジア・・巨人族の手下

俺のエイルに あんな惨い事をした女だ
あのテインタル王女は・・もう死んだんだ

様々な想いが混ざる
エイルがあんな惨い目にあったのに 奴を許せと俺に・・

必死になってあの時 俺達が戦っている時に 声を絞り出しながら
俺に言った
今は・・俺はまだ あの女を許せない それだけだ・・

あいつは 俺の敵・・同じ瞳のしたあの娘  同じ血の唯一の同族

しかし 敵なんだ 許す事が出来ない

それに あの入れ墨の呪いの文様は消せない 解放を望んでいた
確かに 俺に殺される事を望んでいた

黒い羽を握り締める
彼女の悲しみを感じる 伝わってくる
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