雪花祭り☆

のの(まゆたん)

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アーシュのクッキーと約束

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二人とも これを持っていけ」紐で縛られた小さな袋を投げて渡す
「エイルの分もちゃんとあるぞ」アーシュ

袋の中には焼き菓子が入っていた

「あら・・これ お菓子」アルテイシア

「ああ・・アーシュ様の手作りですね」ナーリン
「えっ!」驚くアルテイシア

「アーシュ様 お料理上手なんですよ
実は 流行り病で コックは皆・・女官たちも殆ど者達が倒れて
街のコック呼ぼうか どうするかと悩んでいたら・・」

「アーシュ様 数日間 一人で黒の王宮中の皆の食事を作られて
デザートまで・・とても美味しかったです

最近は コックがアーシュ様に料理を習う程でしたもの」

「料理は俺の趣味だから・・」事もなげにアーシュ

「まあ いちいちコックの了解を取るのも 邪魔になるのもなんだし
空いている部屋に俺専用のキッチンを作ろうと思っているけど・・」アーシュ
「僕も手伝うね」エイル
「・・いやエイルは・・いい」アーシュ
「大丈夫ですよエルトニア姫様」 慌てるナーリン

きょとんとするアルテイシア

まだ彼女は エイルがいかに味音痴で 料理が下手か知らない
それがどんなに恐ろしい事か

全員おなかを壊した・・あのどんな粗食に強いはずの強健な不死身な?セルトまでも
・・あの最強の男を倒したのだ?いや 彼のおなかを壊したのだ・・。

それに 一度 料理に魔法を使い 料理室を吹っ飛ばした事も

吹っ飛ばすといえば 魔法の練習中 何故か癒しの呪文なのに 練習で唱えたら
すぐ傍の塔を破壊した事も・・

幸い・・塔には誰もおらず・・無人だった・・。

その後 エイルは魔法の練習の時は 
必ずアーシュか魔法が使える者の指導で・・と厳命された

「‥そう言えば・・料理はアル?」アーシュ

「え?ええ、まあ」 焦るアルテイシア 横を向く
・・料理は苦手か・・まあ エイル程じゃないだろうが・・心密かにアーシュは思う

そして
二人は部屋を出て アーシュとエイルが二人残された

「・・・街の祭りはどうする?」

「エイルの体調次第 今度はナーリンだけじゃなくセルトも連れて行こう」

「うん有難うアーシュ」エイル
「そろそろ一度横になった方がいいよエイル」優しくアーシュは言う
横になったエイルに毛布をそっと掛けるアーシュ

「アーシュ・・あの・・」エイル

「アムネジアの事か それともお前の実の母親エリンシア姫の事か?」

「アーシュも・・もう知っているんだね」

「テインタル王女は はっきりとは言わなかったけれど
エリンシア姫 生きてるかも 随分 とても酷い目にあったけれど」

「エリンシア姫は僕の身代わりに黒の国の人質になったんだ
ここ 黒の国に来る少し前に 白の宗主様から聞かされた」

ぎゅうと・・横になったまま毛布を握り締めるエイル
「エリンシア姫の事は気にするな・・彼女が選んだ事だし
実の子であるお前‥エイルを守りたかったのだから」
「間者が 巨人族の国に潜入している リュース公の間者もな・・
調べるよ‥エイル」
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