雪花祭り☆

のの(まゆたん)

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会話

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最初に口を開いたのは アーシュラン
淡々と言う

「その小さい絵が エリンシア姫 エイルの母親の異父姉妹の絵か・・
俺がエイルに渡しておいてやる

・・・その金の髪は 黒の王室の墓に内密に少し入れるか

先の黒の王 竜の王(ドラゴン・ロード)の恋人だったという話なら
それとリュース公の家の墓と・・」

その後を引き継ぐように 
蒼白なった顔のまま 少し擦れた声でリアンが言う

「残りの髪は 白の国に送り エイルの実家の墓に埋葬します・・」

「・・・アーシュラン様 あまり驚いていませんね」リュース公

「・・・ある程度の事は セルトから聞いている・・それに
テインタル王女が残した彼女の黒の羽で 
先の王から受け継いだ過去見の力で知った・・」

一瞬 金色の瞳に変わり また元の焔色の瞳に変わる

「・・セルト・・俺の母親とお前が婚約者同士だった事は 初耳だぞ・・」
半開きの目で 淡々とした調子で言うアーシュ 

「・・・すいません」セルト
ポンとテーブルに 小さな袋を置くアーシュ

「これは・・?」セルト

「俺が作った焼き菓子・・作りすぎたから おそわけだ
菓子はあまり好きではないと聞いたが
食べないなら ここにリュース公が来たと聞いたから・・持ってきた」

「私は頂きますよ お酒も甘い物は好きですから 有難うございます」リュース公

「私は途中の回廊でアーシュラン殿と会って・・リュース公が 来られたと
聞き エリンシア姫の調査の進展を伺いに こちらの部屋に伺いました

立ち聞きするつもりでは なかったのですが 偶然・・」リアン

「・・声が聞こえてきたからな」アーシュ

「リアン殿 本当の事を伏せておいた事をお許しください」リュース公

「・・いえ・・ご配慮には感謝します」リアン

「エルトニア姫には どのように話されますか?アーシュラン様」リュース公

「ただ 巨人族の国で出会ったアーサーという男の元で妻として
ささやかながら 幸せだった事だけ伝える
 アル・・アルテイシア姫にも・・

リュース家の墓標に白のエリンシア姫の髪を埋葬するなら 
話さないわけにはいかないだろう?」

「・・丁度 アル アルテイシア姫もエイルの所に遊びに来ているから」

「おや・・出かけるとは言っておりましたが こちらに来てるのですか
わかりました 
そういう事でしたなら 私も参りましょう

二人はとてもエリンシア姫の事を慕っていましたし
悲しみ 泣くでしょうから・・」リュース公

「・・私も行きます」
目頭を左手の指で両方押さえ 涙をこらえながら リアンは言う

「‥リアン エイルは もうエリンシア姫が叔母でなく 実の母親である事を知っている」
「!」
「そうですか わかりましたアーシュ殿」リアン

「そうだな じゃあ また後で 今度は酒でも持ってくるセルト」

「私もこれで・・すいませんセルト将軍」リュース公

「すいません失礼します 将軍」リアン

「はい、ではまた 
あ、リュース公 アーシュ様のお菓子の袋を・・」セルト

「すいません 
では 私が頂きます 有難うございます」リュース公

誰もいなくなり セルトだけが部屋に残された・・
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