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狂気の神の胎動
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封印の入り口に立っていた一団の一人・・魔法使いの男は言う
「大きなヒビが幾つも入っています・・封印解除の魔法は必要ありません・・
長い月日の間に ここも大きな地震などが数十回ありましたから・・壊れています」
「・・逆に・・再度の封印には 私達の魔法だけでは足りない」
「出来る限りの魔法の仮の封印はしますが・・」
「誰か・・特に白の魔法に精通した魔法使いか
白のリアン様の魔法を得意とする者でも連れてこないと
危険かも知れませんね」
「他には・・あるいは
黒の・・幻惑や時の魔法の黄金の魔法に精通した者か・・」
「・・我々 魔法ギルド(組合)との取り決め通り
立ち入るのは ここの入口付近とその入口付近の中のみ
奥の中 現場には
羽のついた魔法の人形達を飛ばして
最近普及したカラー写真を取り 他にも撮影も・・」
「火竜王・・最後の竜の王アーシュラン様と
犠牲になったテインタル王女の
それぞれの血と魔力を吸い上げたという赤い水晶の欠片と
調査などの見比べる為に 廻りの透明な水晶の欠片も回収して
それ以上の事は危険ですので禁止です・・これ一度だけ」魔法使いのシルリラ
シルリラ・・・
彼は今度の調査の全権を 魔法ギルド(組合)から預けられている
「・・今後は ここは魔法ギルドが管理 封印します
また このような状態になると世界にとっても危険ですから見回りに来ます」
「何せ・・この魔法の魔の水晶群を作り出したのは・・」
「二千年もの間の戦乱の時代を生み出し
歴代の黒の王達や白の国を治めていた宗主達さえ
裏で操った・・暗黒の魔法使い・・追放された神ですから」
「そして・・戦乱を治めた最後の黒の王・火竜王(サラマンデイア)
最後の竜の王アーシュラン様が死んだ原因を作り
もう一人の闇に落ちた火竜王・・異母兄妹 アーシュラン様の妹
哀れな麗しき火竜王テインタル王女の一生を滅茶苦茶にして
彼女を闇に落とした・・張本人・・恐るべき魔力を持つ者」
「彼女に呪いの入れ墨をした者」
「テインタル王女は
8年間 水晶群に貫かれた兄のアーシュランを救う為
身代わりの呪文を唱えて 身体を水晶群に貫かれて」
「代わりに彼を刺し貫いていた
彼の血と魔力で 赤く染まった水晶群は砕け散り・・
彼はやっと・・8年間の煉獄の苦しみから解放された」
「彼女は 彼女の場合は
すでに呪いの入れ墨で死期も迫り 身体が弱っていたが」
「私は 死ぬのに2年の月日がかかる
その間 苦しみもがくのは嫌だから・・と
兄アーシュランにとどめを刺すように願い
ここで死んだ・・ここは 呪われた場所 」
「あの恐ろしい神・・追放された神・・二千年の戦乱を作った
魔法使いの魔法が残っているやも知れません
我々に危険が及ぶかも知れません・・・」
「・・ただ 伝承では 火竜王(サラマンデイア)アーシュランを魔法の水晶群が
刺し貫こうとした瞬間
あの2番目の妻で一緒に闘っていた水の女王アルテイシア姫が
飛び込んで来て 彼を立っていた位置から 押しのけて 」
「彼が立っていたその位置に彼女はいたが・・魔法の水晶群は動きを止めて
確実に位置の変わった彼を刺し貫いたと言います・・黒の王達
火竜王の二人以外は反応しない可能性も大いにあります」
「研究後 次第によっては 再調査の可能性もあります」
「ただ・・今回の魔法ギルドの反応からしても・・難しいでしょう」
「発見されて・・一年もたつのに
調査にも 近くに行くのも 大反対されましたから・・」魔法使いのシルリラ
「わかっております」
ごくりと唾を飲みこむルナ教授
一団の皆にも緊張感がみなぎる
そおと 封印に入り口の封印に 手を近くに伸ばし
触れた途端に 封印はますピシっと音を立てる
そして あっという間に大きくひび割れて
ガチャ―ン 音をたて壊れて 崩れ去る
「・・これは・・」青くなるルナ教授と他の者達
「・・早めに調査をすませますよ・・いいですね」シルリラ
入口を塞いでいた大きな岩の幾つかは 横へと皆が協力しあって 動かす
中は暗闇・・大きな洞窟
だが・・大きな水晶幾つか 光ゴケなどがあり ほのかに明るい・・
魔法使い達は 魔法の玉を荷物の中から 取り出す
野球ボール程の大きさ
魔法玉に呪文をかける
途端に 魔法玉は浮き上がり廻りを明るく照らす
護衛の兵士は 剣を一度半分まで抜き点検して
次に最近開発されたばかりの最新の小さな拳銃も確認する
それから教授たちと同じく懐中電灯を手にする
護衛役の魔法使い数人も 明かり用の魔法玉を 宙に浮かせた後
魔法の杖を手に握る 数人の魔法使いを残して 一同は中へ
他の魔法使い達はルナ教授のサポートをする役目を仰せつかっている
ルナ教授たちは 懐中電灯を使う カチと音をさせてスイッチをいれる
「・・・水晶がこんな処まであるなんて・・」ルナ教授
魔法使いの少し上に明かり用の光る魔法玉
魔法使い達の動きにあわせて近くを浮遊する
「・・その水晶の一つは丸ごと持って帰って構いません・・
魔法ギルド(組合)から 全権を渡された私が許可します・・」
入り口付近の物ですから・・」魔法使いのシルリラ
「本当ですか!」嬉しそうなルナ教授
「・・・せっかくなので・・魔法を使って 私が運んで飛ばします
早く 調査を終わらせて・・仮の封印をしなくては・・」
「・・そうだ・・すいません教授 少しお待ちください」
「ラウゴ 来てくれ」魔法使いシルリラは仲間の魔法使いを呼ぶ
「はい シルリラ様」呼ばれて外にいた 一人の魔法使いがやって来た
「・・君は 伝達の魔法で 封印の印の石が壊れていた事を
魔法ギルドに早く知らせて下さい 仮でなく 本当の封印をしなくては」
「・・では・・水晶は これでいいですか?」
魔法使いは右にある 大きな水晶を指さす
「あ・・はい!お願いします」ルナ教授
「風の精霊シルフール 2つの王国の王 白のリアンの名のもとに
集え! そして 教授の研究所の部屋まで その水晶を運べ!!」
強い風が廻りめぐる 風の中に透けた少女の顔や上半身まで見える
それらの風が水晶を包み込み 水晶は すぐに消え去る・・
「有難うございます!!」
礼を言うルナ教授に他の数人の教授 そして・・その助手達
「では 私達の方はまず入口付近の土や石 光苔を採集します」ラルラ教授
「はい お願いします! では私達は 奥の調査を開始します」ルナ教授
ラルラ教授達は白い手袋をして
小さな円形で平たい透明のプラスチック容器に
それそれ土や光苔を採取して入れる
ほかの教授と助手は 水晶を調べている
ルナ教授の方は 助手やサポートの魔法使いに
手伝ってもらい
最大の目標である・・二人の火竜王が刺し貫かれた
現場の写真撮影やカメラの収録の準備に付近の水晶の欠片の採集する
準備に取り掛かっている
「撮影用カメラがもう少し改良されて
軽くなるといいのですが・・」一人が言う
「撮影カメラ1台だけで 三体か四体の魔法の人形でないと 運べません」
助手の一人
「・・近年 急激に技術改良が進んでいる
数年前まで 写真は白黒の銀板撮影で 時間もかかったが
今は持ち運びも簡単な小さいカメラが出来た
スイッチ一つで カラーもある
大したものだ・・まだ開発中だが 僅かの時間で難しい計算を終えたり
記憶する機械も出来た
今後も開発は進むだろう・・」ルナ教授
洞窟の奥にある 燃え上がるように美しい赤い水晶群がカチンと音を立てた
・・・何かが洞窟の奥深くでゆっくり 目を覚ます・・
その者は・・口を開く・・塵(ちり)となっていた者
塵は寄り集まり形を作る
まず・・殺された時の状態・・・その状態に戻る
斬り落とされた自分の生首・・炎に包まれ・・顔は焼けただれている
あの火竜王・最後の竜の王アーシュランの手により殺された
追放された神・・魔法使い
彼は回想する・・いにしえの大昔の8年の出来事を
8年間の・・黒の王・火竜王(サラマンデイア)の苦しみ様は楽しかった
愉快だった・・
身動きも出来ず 痛みに耐えきれず悲鳴を上げる様も良かった
魔法は効かずに・・水晶を握り拳や 剣で壊そうともした ヒビ一つ入らない
解っているが 腹立ちまぎれに・・幾度となく叩いていた
そうしていた 痛みを堪え 自分に突き貫く赤い水晶を睨みつけて
悔しがる様も・・気を失いかけながら 見せた朦朧した表情も
長い間 手こずらせてくれた敵だ
私の胸を剣で まず刺し貫き背中まで貫通させて
・・その剣を引き抜くなり
すぐさま 私の首を斬り落とし 炎で包んだ・・
・・そう・・一度 絶叫して 泣いた様を視た・・あれは痛快だった
最愛のエルトニア姫が死んだ瞬間
死んでゆく彼女の意識と触れあい 同調して 知ったのだ
泣きながら 絶叫して彼女の名も何度も叫んでいた・・そして気を失った
テインタル王女の死に様も良かった
本来なら 純粋な血を重んじる黒の王族
兄妹婚も可能・・天上の神々に約束されていた・・本当の運命の一対
二人の・・最後の炎の世代の火竜王(サラマンデイア)
同じ あの美しい輝く燃えるような焔の色の瞳
アーシュランとテインタルの瞳
最後までテインタル王女は兄である彼を愛していた
彼の身代わりとなり 魔法の水晶群にすぐに刺し貫かれ
代わりに火竜王アーシュランの刺し貫いた赤い水晶は砕け散り
火竜王・最後の竜の王は解放された
命の尽きる2年の地獄を送る事なく・・その場で死を願い
愛する兄のアーシュランの手で苦しみ事なく殺された
美しいあの死に顔 あの美貌・・
入れ墨を彫る際に 抵抗したが上半身は全裸にした
麻痺の呪文で押さえつけて
入れ墨を彫られる痛み 唇を噛み締め 堪えていた
恥ずかしさと痛みで 堪えきれず 泣いていた様も美しかった
あの白磁のような肌・・まだ少女ではあったが 完璧な美しい肢体
まだ胸のふくらみは完全には成長していなかった・・愛らしい形
一度 抱いてみるのも 今更ながら惜しかったか・・
ふふ その後 妹を殺した兄・・
白の宗主リアンと水の女王アルテイシアが
気を失った火竜王を連れ去った
テインタル王女の身体を水晶から取り外せなかったから
髪をひと房切り 死体は魔法で塵に還した・・
彼女の魔力をこれ以上奪われぬように
髪は葬儀と埋葬用に残したのだろう・・
・・だが
すでにほとんどの魔力は奪った・・あの火竜王アーシュランと同じく
アーシュラン・・彼は おそらく 数か月ともたなかったろう
半分はただの人族だ・・すでに彼の魔力と命のほとんどは
この深く赤い色に変化した美しい赤い水晶群に吸い取られてから
「この場所を焼き尽くして・・破壊すれば良かったのだろが
それも出来ずに封印するのやっとだった」
残念だな・・一人だけ あの最後の火竜王がいたのに
彼なら この水晶を破壊する事が出来たのだ
あの天才的な先読み 片方の黄金の瞳の子供も可能だった
出来るのは 炎の火竜王か黄金の竜の王のみ
アーシュランの子供が 本当の最後の炎の魔法の世代
アーシュランの父王の力 先読みの力で
少しだけ 視えた
焼けただれていた顔の皮膚は元に戻る
「身体は・・腕と上半身だけなら・・すぐに元に戻る・・最初はな」
「・・白の宗主リアンと水の女王アルテイシアの封印は 砕け散った・・
私はもう自由だ」
「・・・・いる 長い長い・・時が過ぎ去り・・
あの莫大な魔力を持った魔法の王達は消え去ったが・・
この時・・この時代にたった一人・・その魔法の王達に匹敵する
その王達の中の数十人
稀なる・・最終世代 最大の魔法の力
あのテインタルやアーシュランのような
あのアルテイシア・・リアン・・・あの二人程ではないが
その魔力は かなり強かった
いや・・あの二人を 火竜王達をもしや超えているかも知れない
特に優れた絶大な魔力の持ち主がいる」
「それも頂いておこう まずは最初の獲物」
「おびき寄せる為の餌 いけにえ達
洞窟の入り口付近にいる あの猫耳の人間達」
あの魔法の王達の時代に比べて なんと弱弱しい魔法使い達
数人は わざと逃す・・おびき寄せる為に
そして 全ては破壊する神が復活した事を知らせる為に!
「大きなヒビが幾つも入っています・・封印解除の魔法は必要ありません・・
長い月日の間に ここも大きな地震などが数十回ありましたから・・壊れています」
「・・逆に・・再度の封印には 私達の魔法だけでは足りない」
「出来る限りの魔法の仮の封印はしますが・・」
「誰か・・特に白の魔法に精通した魔法使いか
白のリアン様の魔法を得意とする者でも連れてこないと
危険かも知れませんね」
「他には・・あるいは
黒の・・幻惑や時の魔法の黄金の魔法に精通した者か・・」
「・・我々 魔法ギルド(組合)との取り決め通り
立ち入るのは ここの入口付近とその入口付近の中のみ
奥の中 現場には
羽のついた魔法の人形達を飛ばして
最近普及したカラー写真を取り 他にも撮影も・・」
「火竜王・・最後の竜の王アーシュラン様と
犠牲になったテインタル王女の
それぞれの血と魔力を吸い上げたという赤い水晶の欠片と
調査などの見比べる為に 廻りの透明な水晶の欠片も回収して
それ以上の事は危険ですので禁止です・・これ一度だけ」魔法使いのシルリラ
シルリラ・・・
彼は今度の調査の全権を 魔法ギルド(組合)から預けられている
「・・今後は ここは魔法ギルドが管理 封印します
また このような状態になると世界にとっても危険ですから見回りに来ます」
「何せ・・この魔法の魔の水晶群を作り出したのは・・」
「二千年もの間の戦乱の時代を生み出し
歴代の黒の王達や白の国を治めていた宗主達さえ
裏で操った・・暗黒の魔法使い・・追放された神ですから」
「そして・・戦乱を治めた最後の黒の王・火竜王(サラマンデイア)
最後の竜の王アーシュラン様が死んだ原因を作り
もう一人の闇に落ちた火竜王・・異母兄妹 アーシュラン様の妹
哀れな麗しき火竜王テインタル王女の一生を滅茶苦茶にして
彼女を闇に落とした・・張本人・・恐るべき魔力を持つ者」
「彼女に呪いの入れ墨をした者」
「テインタル王女は
8年間 水晶群に貫かれた兄のアーシュランを救う為
身代わりの呪文を唱えて 身体を水晶群に貫かれて」
「代わりに彼を刺し貫いていた
彼の血と魔力で 赤く染まった水晶群は砕け散り・・
彼はやっと・・8年間の煉獄の苦しみから解放された」
「彼女は 彼女の場合は
すでに呪いの入れ墨で死期も迫り 身体が弱っていたが」
「私は 死ぬのに2年の月日がかかる
その間 苦しみもがくのは嫌だから・・と
兄アーシュランにとどめを刺すように願い
ここで死んだ・・ここは 呪われた場所 」
「あの恐ろしい神・・追放された神・・二千年の戦乱を作った
魔法使いの魔法が残っているやも知れません
我々に危険が及ぶかも知れません・・・」
「・・ただ 伝承では 火竜王(サラマンデイア)アーシュランを魔法の水晶群が
刺し貫こうとした瞬間
あの2番目の妻で一緒に闘っていた水の女王アルテイシア姫が
飛び込んで来て 彼を立っていた位置から 押しのけて 」
「彼が立っていたその位置に彼女はいたが・・魔法の水晶群は動きを止めて
確実に位置の変わった彼を刺し貫いたと言います・・黒の王達
火竜王の二人以外は反応しない可能性も大いにあります」
「研究後 次第によっては 再調査の可能性もあります」
「ただ・・今回の魔法ギルドの反応からしても・・難しいでしょう」
「発見されて・・一年もたつのに
調査にも 近くに行くのも 大反対されましたから・・」魔法使いのシルリラ
「わかっております」
ごくりと唾を飲みこむルナ教授
一団の皆にも緊張感がみなぎる
そおと 封印に入り口の封印に 手を近くに伸ばし
触れた途端に 封印はますピシっと音を立てる
そして あっという間に大きくひび割れて
ガチャ―ン 音をたて壊れて 崩れ去る
「・・これは・・」青くなるルナ教授と他の者達
「・・早めに調査をすませますよ・・いいですね」シルリラ
入口を塞いでいた大きな岩の幾つかは 横へと皆が協力しあって 動かす
中は暗闇・・大きな洞窟
だが・・大きな水晶幾つか 光ゴケなどがあり ほのかに明るい・・
魔法使い達は 魔法の玉を荷物の中から 取り出す
野球ボール程の大きさ
魔法玉に呪文をかける
途端に 魔法玉は浮き上がり廻りを明るく照らす
護衛の兵士は 剣を一度半分まで抜き点検して
次に最近開発されたばかりの最新の小さな拳銃も確認する
それから教授たちと同じく懐中電灯を手にする
護衛役の魔法使い数人も 明かり用の魔法玉を 宙に浮かせた後
魔法の杖を手に握る 数人の魔法使いを残して 一同は中へ
他の魔法使い達はルナ教授のサポートをする役目を仰せつかっている
ルナ教授たちは 懐中電灯を使う カチと音をさせてスイッチをいれる
「・・・水晶がこんな処まであるなんて・・」ルナ教授
魔法使いの少し上に明かり用の光る魔法玉
魔法使い達の動きにあわせて近くを浮遊する
「・・その水晶の一つは丸ごと持って帰って構いません・・
魔法ギルド(組合)から 全権を渡された私が許可します・・」
入り口付近の物ですから・・」魔法使いのシルリラ
「本当ですか!」嬉しそうなルナ教授
「・・・せっかくなので・・魔法を使って 私が運んで飛ばします
早く 調査を終わらせて・・仮の封印をしなくては・・」
「・・そうだ・・すいません教授 少しお待ちください」
「ラウゴ 来てくれ」魔法使いシルリラは仲間の魔法使いを呼ぶ
「はい シルリラ様」呼ばれて外にいた 一人の魔法使いがやって来た
「・・君は 伝達の魔法で 封印の印の石が壊れていた事を
魔法ギルドに早く知らせて下さい 仮でなく 本当の封印をしなくては」
「・・では・・水晶は これでいいですか?」
魔法使いは右にある 大きな水晶を指さす
「あ・・はい!お願いします」ルナ教授
「風の精霊シルフール 2つの王国の王 白のリアンの名のもとに
集え! そして 教授の研究所の部屋まで その水晶を運べ!!」
強い風が廻りめぐる 風の中に透けた少女の顔や上半身まで見える
それらの風が水晶を包み込み 水晶は すぐに消え去る・・
「有難うございます!!」
礼を言うルナ教授に他の数人の教授 そして・・その助手達
「では 私達の方はまず入口付近の土や石 光苔を採集します」ラルラ教授
「はい お願いします! では私達は 奥の調査を開始します」ルナ教授
ラルラ教授達は白い手袋をして
小さな円形で平たい透明のプラスチック容器に
それそれ土や光苔を採取して入れる
ほかの教授と助手は 水晶を調べている
ルナ教授の方は 助手やサポートの魔法使いに
手伝ってもらい
最大の目標である・・二人の火竜王が刺し貫かれた
現場の写真撮影やカメラの収録の準備に付近の水晶の欠片の採集する
準備に取り掛かっている
「撮影用カメラがもう少し改良されて
軽くなるといいのですが・・」一人が言う
「撮影カメラ1台だけで 三体か四体の魔法の人形でないと 運べません」
助手の一人
「・・近年 急激に技術改良が進んでいる
数年前まで 写真は白黒の銀板撮影で 時間もかかったが
今は持ち運びも簡単な小さいカメラが出来た
スイッチ一つで カラーもある
大したものだ・・まだ開発中だが 僅かの時間で難しい計算を終えたり
記憶する機械も出来た
今後も開発は進むだろう・・」ルナ教授
洞窟の奥にある 燃え上がるように美しい赤い水晶群がカチンと音を立てた
・・・何かが洞窟の奥深くでゆっくり 目を覚ます・・
その者は・・口を開く・・塵(ちり)となっていた者
塵は寄り集まり形を作る
まず・・殺された時の状態・・・その状態に戻る
斬り落とされた自分の生首・・炎に包まれ・・顔は焼けただれている
あの火竜王・最後の竜の王アーシュランの手により殺された
追放された神・・魔法使い
彼は回想する・・いにしえの大昔の8年の出来事を
8年間の・・黒の王・火竜王(サラマンデイア)の苦しみ様は楽しかった
愉快だった・・
身動きも出来ず 痛みに耐えきれず悲鳴を上げる様も良かった
魔法は効かずに・・水晶を握り拳や 剣で壊そうともした ヒビ一つ入らない
解っているが 腹立ちまぎれに・・幾度となく叩いていた
そうしていた 痛みを堪え 自分に突き貫く赤い水晶を睨みつけて
悔しがる様も・・気を失いかけながら 見せた朦朧した表情も
長い間 手こずらせてくれた敵だ
私の胸を剣で まず刺し貫き背中まで貫通させて
・・その剣を引き抜くなり
すぐさま 私の首を斬り落とし 炎で包んだ・・
・・そう・・一度 絶叫して 泣いた様を視た・・あれは痛快だった
最愛のエルトニア姫が死んだ瞬間
死んでゆく彼女の意識と触れあい 同調して 知ったのだ
泣きながら 絶叫して彼女の名も何度も叫んでいた・・そして気を失った
テインタル王女の死に様も良かった
本来なら 純粋な血を重んじる黒の王族
兄妹婚も可能・・天上の神々に約束されていた・・本当の運命の一対
二人の・・最後の炎の世代の火竜王(サラマンデイア)
同じ あの美しい輝く燃えるような焔の色の瞳
アーシュランとテインタルの瞳
最後までテインタル王女は兄である彼を愛していた
彼の身代わりとなり 魔法の水晶群にすぐに刺し貫かれ
代わりに火竜王アーシュランの刺し貫いた赤い水晶は砕け散り
火竜王・最後の竜の王は解放された
命の尽きる2年の地獄を送る事なく・・その場で死を願い
愛する兄のアーシュランの手で苦しみ事なく殺された
美しいあの死に顔 あの美貌・・
入れ墨を彫る際に 抵抗したが上半身は全裸にした
麻痺の呪文で押さえつけて
入れ墨を彫られる痛み 唇を噛み締め 堪えていた
恥ずかしさと痛みで 堪えきれず 泣いていた様も美しかった
あの白磁のような肌・・まだ少女ではあったが 完璧な美しい肢体
まだ胸のふくらみは完全には成長していなかった・・愛らしい形
一度 抱いてみるのも 今更ながら惜しかったか・・
ふふ その後 妹を殺した兄・・
白の宗主リアンと水の女王アルテイシアが
気を失った火竜王を連れ去った
テインタル王女の身体を水晶から取り外せなかったから
髪をひと房切り 死体は魔法で塵に還した・・
彼女の魔力をこれ以上奪われぬように
髪は葬儀と埋葬用に残したのだろう・・
・・だが
すでにほとんどの魔力は奪った・・あの火竜王アーシュランと同じく
アーシュラン・・彼は おそらく 数か月ともたなかったろう
半分はただの人族だ・・すでに彼の魔力と命のほとんどは
この深く赤い色に変化した美しい赤い水晶群に吸い取られてから
「この場所を焼き尽くして・・破壊すれば良かったのだろが
それも出来ずに封印するのやっとだった」
残念だな・・一人だけ あの最後の火竜王がいたのに
彼なら この水晶を破壊する事が出来たのだ
あの天才的な先読み 片方の黄金の瞳の子供も可能だった
出来るのは 炎の火竜王か黄金の竜の王のみ
アーシュランの子供が 本当の最後の炎の魔法の世代
アーシュランの父王の力 先読みの力で
少しだけ 視えた
焼けただれていた顔の皮膚は元に戻る
「身体は・・腕と上半身だけなら・・すぐに元に戻る・・最初はな」
「・・白の宗主リアンと水の女王アルテイシアの封印は 砕け散った・・
私はもう自由だ」
「・・・・いる 長い長い・・時が過ぎ去り・・
あの莫大な魔力を持った魔法の王達は消え去ったが・・
この時・・この時代にたった一人・・その魔法の王達に匹敵する
その王達の中の数十人
稀なる・・最終世代 最大の魔法の力
あのテインタルやアーシュランのような
あのアルテイシア・・リアン・・・あの二人程ではないが
その魔力は かなり強かった
いや・・あの二人を 火竜王達をもしや超えているかも知れない
特に優れた絶大な魔力の持ち主がいる」
「それも頂いておこう まずは最初の獲物」
「おびき寄せる為の餌 いけにえ達
洞窟の入り口付近にいる あの猫耳の人間達」
あの魔法の王達の時代に比べて なんと弱弱しい魔法使い達
数人は わざと逃す・・おびき寄せる為に
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