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第二章<王を支える者>
騎士団長の苦悩3(触手×アルノルト注意)
しおりを挟む碧の森はバステオ領内と隣国との境目にある、精霊が住むとされる森である。
そんな神聖な場所に禍々しいとされる魔術師が何故――?
アルノルトは丸一日馬を走らせて森へと辿り着くと、めまいに襲われてあやうく馬から落ちそうになり、どうにか踏ん張ると顔を上げた。
月と星々に照らされる森は神秘的にも見えて唾を飲みこむ。
夜になれば森の中は危険で溢れている。
今夜は夜通したき火をして過ごす事に決めた。
適当に見繕ってきた水と食料を胃に流し込みつつ、火を眺める。
こうして炎を見つめていると、ランドルフを思い出して胸がずきりと痛んだ。
膝を抱えて瞳を閉じてため息をつく。
――ランドルフ様は、愛に飢えたケダモノだ。
母親の愛情を充分に受けられなかったのかも知れない。
父と兄弟達とも心を通わせる事ができなかったのだろう。
どちらにせよ、誰か一人でもランドルフの心に寄り添ってくれる存在がいれば、彼の性格はもっと違っていたのかも知れない。
アルノルトは自分の立場を初めて呪った。
――もしも、私がもっとランドルフ様の傍にいれる立場であったなら。
今でこそ力をつけてランドルフの一声で傍にいれるが、所詮自分はただの騎士である。
地道に努力をして這い上がったのを誇りには思うが、もっと早ければとも思うのだ。
どうすればランドルフは、アルノルトの愛を信じてくれるのだろう。
「……愛、か」
自然と胸中に浮かぶ愛という言葉に苦笑する。
溢れ出る感情に名前をつけるとすれば、愛としか言えないのだとやっと自覚した。
ガサリ。
「!?」
突然、草を踏みしめる音が聞こえたので周囲に目を見張る。
たき火が辺りを照らし出しているが、森の奥は当然見えない。
アルノルトは警戒し、傍に置いていた剣を手に取っていつでも戦えるように身構えた。
「こちらですよ、騎士殿」
「な……っ」
突如として現れた漆黒の男が何かをアルノルトに向かって放つ。
それは紛れもなく触手であり、あっという間に全身を絡め取られてしまい、身動きが取れなくなる。
「むぐうううう!?」
口の中にまで入り込み、軽装であるが故に肌を這うぬるぬるとした触手の感覚に悶えてしまう。
魔術師があざ笑う声が暗闇に響き渡る。
「このまま私のモノになっていただきますよ!」
「うぐう!?」
――わ、私とした事がまたしてもこんな失態を!!
アルノルトはまだ握っていた剣を思い切り触手に向かって振りかざすと、幾つか斬り落とす事に成功する。
だが、衣服を無理矢理引きちぎられて、とうとう性器と尻穴をなぶられてしまうと、快感に弱くなった肉体が悲鳴をあげた。
じゅりゅううっ!! ごりゅりゅううっ!!
「んひいいいいいっ!?」
「イイ反応ですね!! そのまま触手に身を任せて躍って下さい!!」
ごりゅ~っ!! ぶぢゅううっ!! ぢゅるるるるっ!!
「んほおおおっ!! おほおおお~っ!!」
――しょ、しょくしゅがああっ!! はらのなかにまでええっ!!
激しく尻孔を穿たれ、性器をしごかれながらアルノルトは何回も絶頂させられては、甲高い声で喘ぎ狂った。
己の甘ったるい声を、忌むべき魔術師に聞かれている、善がる姿を観察されている。
その事実に四肢がさらに火照るのを感じて、泣き叫んだ。
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