ゲームの世界に転生したらモブだったけど、愛されてしんどい!

彩月野生

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7勇者様に攫われてしまった!

「お前は今日から俺の下僕だっ」
「いやいやいや! 下僕になるだなんて! いつお話を!?」
「あの時、一緒に酒を飲んで話してただろ!?」
「は、はいい!?」

 ――酒の場かあ。じゃ、覚えてないなあ~。

 これは夢で知ることはできないなあと落胆した。
 謎の文字は消えたが、勇者が俺に恋をしているのは確かなようだ。
 どうも無自覚らしいのがやっかいである。

 ――このままじゃ、俺は魔王に反逆者として、こ、殺されるんじゃ!?

 とはいえ、雑魚モブな俺が勇者に勝てるはずもない……今は大人しくして、逃げる隙を伺うしかない。

 勇者に森の中に連れて行かれると、魔術師が待っていた。
 陣が描かれた中心に立っている。
 彼は黒髪黒目の端正な顔つきで、勇者とは違って柔らかい雰囲気だ。

 ――俺、この魔術師嫌いじゃないみたいだ。

 魔術師はニコニコしながら、俺を見ている。

「ちゃんと顔を合わせたのは、久しぶりだね」
「あ、そっすね」
「アランスがあわせてくれないから……」
「そんな事を言うなよ、今日は魔王の配下を捕まえた記念日なんだぞ」
「はいはい。カズヤ、僕のミミを助けてもらったのは忘れてないよ」
「は?」

 脳裏にある光景が蘇る。
 猫の姿をした聖霊獣が、池で溺れていたのを拾って、めちゃめちゃ懐かれた。
 そこにこの魔術師がやってきて、聖霊獣を渡して逃げたのだ。

 ――そういう訳か。

 勇者は魔術師に転移するように告げて、俺は勇者達の本拠地へと連れて行かれてしまった。

 ついた先は城の中だった。
 目の前に、無数の人間が跪いている。
 俺はその光景に呆然とした。
 王が跪いているのだ。

「「「勇者様! お帰りなさいませ!」」」
「ただいま戻りました」
「さあ。こちらへ!」

 そそくさと進み出たのは、位の高そうな臣下だ。

 ――勇者は、どこの国を拠点にしてるんだっけ?

「陛下、何か変わったところはありまんか?」
「はい! 大丈夫です、シーク様」
「王様、こいつは、魔王の配下だったカズヤだ。俺の下僕になったから、それなりに対応してやってくれ」
「ははっ!」

 王は勇者に深々と頭を下げて、何とも謙虚な態度をとっている。
 勇者は背伸びをしながら、誰かにもらった盃で水を飲んでいた。

 俺は腕を組み、首をかしげる。

 ――魔王だって、こんな出迎えられ方はしてないぞ?

 やっぱり、この勇者はまともではないと、改めて認識した。



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