ゲームの世界に転生したらモブだったけど、愛されてしんどい!

彩月野生

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8勇者様に膝枕を提供します。

「勇者様の下僕様、こちらの部屋をお使い下さい」
「うおお~」

 俺は与えられた部屋を見回して感動した。
 大の男が十人は余裕で過ごせるぞ。
 王様の臣下なのに、俺のようなモブにまでよくしなきゃいけないとは……大変だな。

 ――まあ、ともかく! 逃げる隙を見つけるまではくつろごう!

 大きなベッドに飛び込んでみたら、あまりにも柔らかすぎて、睡魔に襲われてしまう。

 しばらくの後、ノックの音に意識がはっきりとした。

「は~い」
「全く! さっさと返事をしろ! 下僕のくせに!」
「な!?」

 勇者の声に、俺は混乱する。

 ――な、なんで、ここに来るんだよ!?

 ドアを蹴破る勢いで入ってきた勇者は、ベッドに向かって飛び込んだ。


「うわああ!?」
「あはははは! 柔らかいなあ!」
「ちょ、あ、あの?」
「膝枕だ! 膝を貸せ!」
「はああ?」

 何を言い出すんだと怒りをぶつけたくなるが、雑魚キャラの俺は命令を素直にきくだけである。
 ため息をつきながら、黙ってされるがまま、膝枕を提供した。
 勇者は酒くさい。

 ――酔っ払い相手なのだから我慢我慢!


「う~ん、お前の膝枕、なかなかいいなあ~ん?」

 勇者が俺の太ももやら膝を撫で回す。
 非常に気持ち悪い。

「あ、あの勇者さま、俺の膝枕なんかよりも、美女の膝枕のほうが、いいっすよ?」
「ああん? 黙っとけ!!」
「ひゃいい!!」

 ――だめだあ! モブの性根が勇者を怖がって仕方ない!

 仕方なく、俺は大人しく勇者に身を委ねた。

 やがて勇者の寝息が聞こえてくる。
 俺はそっと、勇者の頭を膝から退かした。

「ふうう~~」

 足が痺れていたい。
 勇者の隣で寝転がり、一息ついていると、声がした。

『貴様あ! 一体どういうつもりだ!』
「ひ!?」

 ――い、今のは!

 間違いない。魔王の声だ。




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