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一章【鬼神に取り憑かれし者】
八話
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今、平安京は混沌の最中に在る。
安倍晴明が姿を消した際、陰陽寮ではいざこざがおこっていた。
清明は陰陽寮の中でも、最重要人物であったので、誰が後任になるのかで揉めに揉めたのだが、結果的に清明の師匠である賀茂忠行の存在を無視できず、賀茂一族が統括する事に決まり、ひとまずは落ち着きを取り戻している。
それでも、清明が都から消えた影響の深刻さは、計りしれない。
とりわけ貴族達が魑魅魍魎の起こす奇怪な現象に怯えきって、毎日のように陰陽寮に文を出してくるので、管人の陰陽師達は困り果てていた。
その件で管人陰陽師から相談の文を受けとった泰正は、気になった貴族の屋敷に偵察に出向いたのだが、そこに、その奇妙な男子がいたのだ。
薄地の衣装を身にまとい、主に寄り添って微笑む様は艶っぽく、主は彼に傾倒している様子である。
和泉氏の屋敷に招き入れられたものの、和泉氏は常にその男子を傍らにおいている為に、なかなか本題に入れず、結局は有耶無耶のまま泰正は帰るしかなかったのだ。
話を聞いた蓮は、男子に会いたいと必死に懇願するが、泰正は容易にはいかないであろうと答えた。
「それは……なんとなくわかります」
「そうなのか?」
「先輩は、僕を困らせようとして、なんでもするんです、その身体を使ったりして」
その発言には、泰正も千景も絶句する。
一体、あの男子は、どんな性格をしているのだろうか。
蓮は黙り込んでしまい、考え事をしている様子である。
泰正は、蓮を見守る事しか出来なかった。
祭りの最終日には、蓮を“主”に預けなければならない。
蓮が例の男子の元へ直接出向くのは難しいだろう。
泰正は蓮にいずれ顔を会わせる機会を設けるから、今は、魔鏡師について、充分に学ぶ様に話す。
蓮は納得したように頷くが、ふいに口を開いた。
「……泰正さんは、僕が何者なのかは訊かないのですか」
「ん? その時が来れば、去れば良い事だ。何も心配しなくて良い」
「……はい、ありがとうございます」
蓮は深々と頭を下げて礼を述べた。
安倍晴明が姿を消した際、陰陽寮ではいざこざがおこっていた。
清明は陰陽寮の中でも、最重要人物であったので、誰が後任になるのかで揉めに揉めたのだが、結果的に清明の師匠である賀茂忠行の存在を無視できず、賀茂一族が統括する事に決まり、ひとまずは落ち着きを取り戻している。
それでも、清明が都から消えた影響の深刻さは、計りしれない。
とりわけ貴族達が魑魅魍魎の起こす奇怪な現象に怯えきって、毎日のように陰陽寮に文を出してくるので、管人の陰陽師達は困り果てていた。
その件で管人陰陽師から相談の文を受けとった泰正は、気になった貴族の屋敷に偵察に出向いたのだが、そこに、その奇妙な男子がいたのだ。
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話を聞いた蓮は、男子に会いたいと必死に懇願するが、泰正は容易にはいかないであろうと答えた。
「それは……なんとなくわかります」
「そうなのか?」
「先輩は、僕を困らせようとして、なんでもするんです、その身体を使ったりして」
その発言には、泰正も千景も絶句する。
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泰正は、蓮を見守る事しか出来なかった。
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泰正は蓮にいずれ顔を会わせる機会を設けるから、今は、魔鏡師について、充分に学ぶ様に話す。
蓮は納得したように頷くが、ふいに口を開いた。
「……泰正さんは、僕が何者なのかは訊かないのですか」
「ん? その時が来れば、去れば良い事だ。何も心配しなくて良い」
「……はい、ありがとうございます」
蓮は深々と頭を下げて礼を述べた。
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