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終章【心を紡ぎ我が世は華やぐ】
五話
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貴族の間には、視素羅木泰正に手出しをすれば、祟られるという噂話が広がり、ひとまずは、泰正に手を出そうとする者はいなくなった。
穏やかな日々を過ごしていた泰正と英心の元へ、天照一族の長、緋那から屋敷に来いと文があり、連なって出向いた。
蝉時雨の中で出迎えたのは、蓮である。
彼は久遠と共に、緋那の元で暮らすようになっていた為、久しぶりに顔を合わせたので手を取り合う。
「泰正さん、英心さん、お久しぶりです!!」
「元気そうだな蓮!」
「蓮、久遠はどうしてる」
英心の問いかけに、蓮は妙な反応を見せる。
頬を緩めて視線を背けた。
泰正は英心と顔を見合わせてまたたく。
座敷に上がると、緋那と紅沙の二人が、大きな鏡を背にして待ち構えていた。
二人は官人陰陽師に常に見張られている身の為、泰正達のように自由な行動は取れない。
それでも権威は高いので、蓮と久遠の二人を預かるのは認められたのだ。
今回泰正と英心を呼び出した用件とは……。
「伊勢神宮に……?」
意図が読めず、泰正は英心と共に詳細を聞き出して得心する。
「泰正に取り憑いていた鬼神の正体は、大津皇子。彼が鬼神になった理由は、姉への叶わぬ想いが強かった為」
「そうじゃ。御霊は晴明のおかげで安らかにかえったが、とりつかれていた泰正の心身を浄化させるためにも、大津皇子
の想いが生きているであろう伊勢神宮にて、祈りの舞を行なうのが良い」
「先程話された、蓮と久遠を見送るというのは?」
「……二人は、この世界から移動する必要があるのじゃ。元の世界への近道となる場所にいくには、八咫鏡を使うのが確実じゃ」
……八咫鏡。
天照大御神から皇孫に授けられた神鏡であり、八坂瓊勾玉、草薙剣、とあわせ、三種の神器と称され、皇位の御璽とされている。
泰正はふと、直感が働いてつぶやいた。
「まさか、蓮がこちらにやってきたのは、天照大御神様の導きなのですか……?」
「力が働いたのは確かじゃな。実際には、千景の想いに応えた、祠に祀られていた時の神の力が大きい」
「しかし、どうしても蓮と久遠は、この世界から行かなければならぬのですか……?」
泰正はどうしても納得できないのだ。
今までの異人は、魔鏡師として育てた後、天照一族の庇護の元、役目を果たしてきた。
「それには深い理由がある」
「どんな?」
「僕から話します」
泰正の後に控えていた蓮が口を開いた。
泰正は、英心と共に蓮に向き直る。
蓮が頭を垂れると、真剣な表情で言葉を続けた。
「泰正さん、英心さん、僕の本名は土御門蓮と申します……安倍晴明の、血を引く者です」
穏やかな日々を過ごしていた泰正と英心の元へ、天照一族の長、緋那から屋敷に来いと文があり、連なって出向いた。
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「蓮、久遠はどうしてる」
英心の問いかけに、蓮は妙な反応を見せる。
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座敷に上がると、緋那と紅沙の二人が、大きな鏡を背にして待ち構えていた。
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意図が読めず、泰正は英心と共に詳細を聞き出して得心する。
「泰正に取り憑いていた鬼神の正体は、大津皇子。彼が鬼神になった理由は、姉への叶わぬ想いが強かった為」
「そうじゃ。御霊は晴明のおかげで安らかにかえったが、とりつかれていた泰正の心身を浄化させるためにも、大津皇子
の想いが生きているであろう伊勢神宮にて、祈りの舞を行なうのが良い」
「先程話された、蓮と久遠を見送るというのは?」
「……二人は、この世界から移動する必要があるのじゃ。元の世界への近道となる場所にいくには、八咫鏡を使うのが確実じゃ」
……八咫鏡。
天照大御神から皇孫に授けられた神鏡であり、八坂瓊勾玉、草薙剣、とあわせ、三種の神器と称され、皇位の御璽とされている。
泰正はふと、直感が働いてつぶやいた。
「まさか、蓮がこちらにやってきたのは、天照大御神様の導きなのですか……?」
「力が働いたのは確かじゃな。実際には、千景の想いに応えた、祠に祀られていた時の神の力が大きい」
「しかし、どうしても蓮と久遠は、この世界から行かなければならぬのですか……?」
泰正はどうしても納得できないのだ。
今までの異人は、魔鏡師として育てた後、天照一族の庇護の元、役目を果たしてきた。
「それには深い理由がある」
「どんな?」
「僕から話します」
泰正の後に控えていた蓮が口を開いた。
泰正は、英心と共に蓮に向き直る。
蓮が頭を垂れると、真剣な表情で言葉を続けた。
「泰正さん、英心さん、僕の本名は土御門蓮と申します……安倍晴明の、血を引く者です」
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