76 / 79
終章【心を紡ぎ我が世は華やぐ】
十三話※
しおりを挟む
晴れた秋空の下、視素羅木の屋敷の庭にて。
ごく親しい者だけで行われる婚礼の儀は、露顕での宴で賑やかだ。
桟敷には、泰正の弟子である千景、二人の共通の友人である清太呂、師である忠行、それに、英心の両親が並んで座り、酒や帝の好意で用意された御膳を楽しんでいる。
交菓子に、鯉や焼き鯛の酒肴はどれも品があり、特に千景や清太呂は、人生で初めて食べたと歓喜した。
土器の酒盃は折敷に置かれており、銀製の提は皆に回された。
秋の深まる外は寒さに震えるため、松明で火を燃やしている。
焔は悪鬼や怨霊を近寄らせず、宴は厳かながらも、明るい雰囲気を放つ。
泰正と英心は、たいそくに身を包み、皆に挨拶をしつつ話かけていた。
「おめでとう、二人共」
「いやあめでたい!」
「おめでとうございます!」
「ありがとうございます、師匠」
「ありがとう、清太呂、千景」
英心の父上と母上が、泰正に労いの言葉をかける。
「泰正よ、今まで苦労したであろう」
「これからは、存分に息子を頼るのよ」
「ありがとうございます」
「父上、母上、こたびは視素羅木への婿入りをお許し頂き、ありがとうございました」
「感謝いたします」
二人は手を繋ぎ、深々と頭を垂れて、感謝の意を伝えた。
英心の両親は、顔を綻ばせて、喜びの声を上げて笑う。
「しかし、まさか息子が男となあ」
「あら、私は不思議とは思わないわ」
「はは……」
泰正は思わず苦笑すると、英心と視線を交わした。
千景が傍に駆け寄って来て、二人の手を取る。
「中で成春が待ってます、行きましょう」
「ああ」
「いこう、泰正」
座敷に上がると、成春が赤い実をつけた枝を手に歩み寄り、二人に差し出した。
「母上、父上に」
「成春、これは」
「南天か」
「はい!」
「私が縁起物よって教えたら、どこからか取ってきたみたいで……」
余計な真似をしたのかもしれない、というように、千景は瞳を伏せた。
彼女は、帝の計らいで贈られた小袿を身に纏い、普段結っている髪を下ろしているからか、大人びて見える。
この子にも近い内に、良い縁談があれば……と、泰正は口元を緩めた。
「成春、誰かの庭に入ったわけではないな?」
「もし、誰かの物ならば、謝りにいかなければ」
「はい! 父上、母上!」
「やっぱり、泰正様が母上で英心様が父上なんですねえ」
泰正が成春を抱き上げて、英心に手渡している所を見た千景が、含み笑いをするので、なんとなく気恥ずかしく感じてしまう。
「些細な話だ、子の好きなように呼ばせれば良い」
「私は、お前が母なのはあっていると思うぞ」
「え、英心! それは……」
「お二人共、成春がまた眠りそうです」
「本当だな、奥で寝かせよう」
なんだかモヤモヤした気分だが、あどけない寝顔を見たら、愛しさに心が満ちて、この子に母上と呼ばれて嬉しいと思いを改めた。
婚礼の儀は無事に済み、成春を一時、千景に預けた後、泰正は英心と二人きりで向き合う。
お互いに髪を下ろし、裸体を曝け出している。
今更だが、今夜は特別に感じた。
差し込む月明かりの中で、弄るように抱き締めあって、口づけを交わす。
「んむ……」
「ふ……ん……っ」
舌を絡めながら、お互いの胸元を弄り、突起をこねくり回した。
「んっンッ」
「はあ……」
泰正が英心の膝に乗り、顔をつきあわせて、男根を擦りつけあう。
ぬちゅぬちゅと卑猥な音が聴覚を刺激して、興奮が増していく。
「泰正、私に不満があるだろ」
「……あっんっ……なんの、はなしだ?」
「たまに、恨めしそうに、私を見ている」
「そ、れはっあはっんっ」
ぶちゅりとひときわ強く肉棒が擦れあい、快感が脳天へと突き抜ける。
すでに後孔は淫具で解されており、我慢できず、泰正自ら、愛しい夫の男根を尻孔に埋めた。
「く、ほっ、んっんぐうっ」
「あ、泰正、力を抜け」
「く……ひい……」
グボボッと肉壁でしめつけ、奥へと迎え入れる。
繋がってから、泰正は口を開いた。
――いま、言わなければ、もう機会はない。
「英心、私は、さびしいんだ」
「さびしい?」
「私は……はっきりと、貴方から、ききたい……言葉を……」
「……っ泰正、そうだったか!」
合点がいったという様子で、腰を突き上げ始めた英心に、泰正は翻弄されて彼に必死にしがみつき、喘ぎ声を上げて乱れた。
「あっひいっぐふっつ、つよすぎるうっ」
「愛している……愛している……泰正ああっ」
「え、英心!!」
肉同士がぶつかる乾いた音が響く。
弄りあう熱に浮かされて、泰正も叫んだ。
「あ、愛している、英心……! わたし、もっすきだあっ愛しているうっんくうっうあああっ」
「あっ泰正あっうけとってくれ! わたしの、熱い、おもいをっ」
「くっひいっいいいっ」
ドクドクと腹奥を迸りが満たしていく。
泰正はのけぞり、舌を突き出して震えた。
「あついあついいっ」
「やすまさあっ」
「え、いしんっ」
――英心……ああっわたしは、しあわせだ……!
熱い口づけをしながら、身体を満たす愛しい人の生命の源を受け入れて、泰正はまるで天上に昇るような心地で、歓喜に打ち震えたのだった。
ごく親しい者だけで行われる婚礼の儀は、露顕での宴で賑やかだ。
桟敷には、泰正の弟子である千景、二人の共通の友人である清太呂、師である忠行、それに、英心の両親が並んで座り、酒や帝の好意で用意された御膳を楽しんでいる。
交菓子に、鯉や焼き鯛の酒肴はどれも品があり、特に千景や清太呂は、人生で初めて食べたと歓喜した。
土器の酒盃は折敷に置かれており、銀製の提は皆に回された。
秋の深まる外は寒さに震えるため、松明で火を燃やしている。
焔は悪鬼や怨霊を近寄らせず、宴は厳かながらも、明るい雰囲気を放つ。
泰正と英心は、たいそくに身を包み、皆に挨拶をしつつ話かけていた。
「おめでとう、二人共」
「いやあめでたい!」
「おめでとうございます!」
「ありがとうございます、師匠」
「ありがとう、清太呂、千景」
英心の父上と母上が、泰正に労いの言葉をかける。
「泰正よ、今まで苦労したであろう」
「これからは、存分に息子を頼るのよ」
「ありがとうございます」
「父上、母上、こたびは視素羅木への婿入りをお許し頂き、ありがとうございました」
「感謝いたします」
二人は手を繋ぎ、深々と頭を垂れて、感謝の意を伝えた。
英心の両親は、顔を綻ばせて、喜びの声を上げて笑う。
「しかし、まさか息子が男となあ」
「あら、私は不思議とは思わないわ」
「はは……」
泰正は思わず苦笑すると、英心と視線を交わした。
千景が傍に駆け寄って来て、二人の手を取る。
「中で成春が待ってます、行きましょう」
「ああ」
「いこう、泰正」
座敷に上がると、成春が赤い実をつけた枝を手に歩み寄り、二人に差し出した。
「母上、父上に」
「成春、これは」
「南天か」
「はい!」
「私が縁起物よって教えたら、どこからか取ってきたみたいで……」
余計な真似をしたのかもしれない、というように、千景は瞳を伏せた。
彼女は、帝の計らいで贈られた小袿を身に纏い、普段結っている髪を下ろしているからか、大人びて見える。
この子にも近い内に、良い縁談があれば……と、泰正は口元を緩めた。
「成春、誰かの庭に入ったわけではないな?」
「もし、誰かの物ならば、謝りにいかなければ」
「はい! 父上、母上!」
「やっぱり、泰正様が母上で英心様が父上なんですねえ」
泰正が成春を抱き上げて、英心に手渡している所を見た千景が、含み笑いをするので、なんとなく気恥ずかしく感じてしまう。
「些細な話だ、子の好きなように呼ばせれば良い」
「私は、お前が母なのはあっていると思うぞ」
「え、英心! それは……」
「お二人共、成春がまた眠りそうです」
「本当だな、奥で寝かせよう」
なんだかモヤモヤした気分だが、あどけない寝顔を見たら、愛しさに心が満ちて、この子に母上と呼ばれて嬉しいと思いを改めた。
婚礼の儀は無事に済み、成春を一時、千景に預けた後、泰正は英心と二人きりで向き合う。
お互いに髪を下ろし、裸体を曝け出している。
今更だが、今夜は特別に感じた。
差し込む月明かりの中で、弄るように抱き締めあって、口づけを交わす。
「んむ……」
「ふ……ん……っ」
舌を絡めながら、お互いの胸元を弄り、突起をこねくり回した。
「んっンッ」
「はあ……」
泰正が英心の膝に乗り、顔をつきあわせて、男根を擦りつけあう。
ぬちゅぬちゅと卑猥な音が聴覚を刺激して、興奮が増していく。
「泰正、私に不満があるだろ」
「……あっんっ……なんの、はなしだ?」
「たまに、恨めしそうに、私を見ている」
「そ、れはっあはっんっ」
ぶちゅりとひときわ強く肉棒が擦れあい、快感が脳天へと突き抜ける。
すでに後孔は淫具で解されており、我慢できず、泰正自ら、愛しい夫の男根を尻孔に埋めた。
「く、ほっ、んっんぐうっ」
「あ、泰正、力を抜け」
「く……ひい……」
グボボッと肉壁でしめつけ、奥へと迎え入れる。
繋がってから、泰正は口を開いた。
――いま、言わなければ、もう機会はない。
「英心、私は、さびしいんだ」
「さびしい?」
「私は……はっきりと、貴方から、ききたい……言葉を……」
「……っ泰正、そうだったか!」
合点がいったという様子で、腰を突き上げ始めた英心に、泰正は翻弄されて彼に必死にしがみつき、喘ぎ声を上げて乱れた。
「あっひいっぐふっつ、つよすぎるうっ」
「愛している……愛している……泰正ああっ」
「え、英心!!」
肉同士がぶつかる乾いた音が響く。
弄りあう熱に浮かされて、泰正も叫んだ。
「あ、愛している、英心……! わたし、もっすきだあっ愛しているうっんくうっうあああっ」
「あっ泰正あっうけとってくれ! わたしの、熱い、おもいをっ」
「くっひいっいいいっ」
ドクドクと腹奥を迸りが満たしていく。
泰正はのけぞり、舌を突き出して震えた。
「あついあついいっ」
「やすまさあっ」
「え、いしんっ」
――英心……ああっわたしは、しあわせだ……!
熱い口づけをしながら、身体を満たす愛しい人の生命の源を受け入れて、泰正はまるで天上に昇るような心地で、歓喜に打ち震えたのだった。
0
あなたにおすすめの小説
虚ろな檻と翡翠の魔石
篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」
不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。
待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。
しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。
「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」
記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。
-----------------------------------------
0時,6時,12時,18時に2話ずつ更新
【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】
古森きり
BL
【書籍化決定しました!】
詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります!
たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました!
アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。
政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。
男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。
自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。
行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。
冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。
カクヨムに書き溜め。
小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。
売れ残りオメガの従僕なる日々
灰鷹
BL
王弟騎士α(23才)× 地方貴族庶子Ω(18才)
※ 第12回BL大賞では、たくさんの応援をありがとうございました!
ユリウスが暮らすシャマラーン帝国では、平民のオメガは18才になると、宮廷で開かれる選定の儀に参加することが義務付けられている。王族の妾となるオメガを選ぶためのその儀式に参加し、誰にも選ばれずに売れ残ったユリウスは、国王陛下から「第3王弟に謀反の疑いがあるため、身辺を探るように」という密命を受け、オメガ嫌いと噂される第3王弟ラインハルトの従僕になった。
無口で無愛想な彼の優しい一面を知り、任務とは裏腹にラインハルトに惹かれていくユリウスであったが、働き始めて3カ月が過ぎたところで第3王弟殿下が辺境伯令嬢の婿養子になるという噂を聞き、従僕も解雇される。
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✻本作品(オリジナル)の結末をif(運命の番)ルートに入れ替えて、他サイトでの投稿を始めました。タイトルは「一度目の結婚で愛も希望も失くした僕が、移住先で運命と出逢い、二度目の結婚で愛されるまで」に変えてます。
オリジナルの本編結末は完全なハッピーエンドとはいえないかもしれませんが、「一度目の〜…」は琳が幸せな結婚をするハッピーエンド一択です。
【完結】抱っこからはじまる恋
* ゆるゆ
BL
満員電車で、立ったまま寄りかかるように寝てしまった高校生の愛希を抱っこしてくれたのは、かっこいい社会人の真紀でした。接点なんて、まるでないふたりの、抱っこからはじまる、しあわせな恋のお話です。
ふたりの動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵もあがります。
YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!
完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
BLoveさまのコンテストに応募しているお話を倍以上の字数増量でお送りする、アルファポリスさま限定版です!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
あなたの隣で初めての恋を知る
彩矢
BL
5歳のときバス事故で両親を失った四季。足に大怪我を負い車椅子での生活を余儀なくされる。しらさぎが丘養護施設で育ち、高校卒業後、施設を出て一人暮らしをはじめる。
その日暮らしの苦しい生活でも決して明るさを失わない四季。
そんなある日、突然の雷雨に身の危険を感じ、雨宿りするためにあるマンションの駐車場に避難する四季。そこで、運命の出会いをすることに。
一回りも年上の彼に一目惚れされ溺愛される四季。
初めての恋に戸惑いつつも四季は、やがて彼を愛するようになる。
表紙絵は絵師のkaworineさんに描いていただきました。
身代わりにされた少年は、冷徹騎士に溺愛される
秋津むぎ
BL
第13回BL大賞奨励賞頂きました!
最終17位でした!応援ありがとうございます!
あらすじ
魔力がなく、義母達に疎まれながらも必死に生きる少年アシェ。
ある日、義兄が騎士団長ヴァルドの徽章を盗んだ罪をアシェに押し付け、身代わりにされてしまう。
死を覚悟した彼の姿を見て、冷徹な騎士ヴァルドは――?
傷ついた少年と騎士の、温かい溺愛物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる