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25騎士団長様の試練!
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ソファーで三人座って眠っていたら、嘶きに目を覚ます。
寝ぼけ眼で起き上がったシンヤは、窓から庭を眺めて仰天する。
「き、騎士!?」
騎士は兜を脱ぐと、頭を下げて挨拶をした。
「失礼致します! 私はニコラッドと申します!」
「え、あ……はあ……」
茶髪の青年は、副団長であり、団長に言伝があると訴えている。
シンヤはブライアンに呼びかけようとしたが、既に身なりを整えて、屋敷から庭へと出ていた。
「団長!」
「ああ。こんな所にまですまないな」
「いいえ。陛下のご命令をお伝えに……」
ユリアムがブライアンの後方から姿を現すのを見て、ニコラッドは跪いて頭を垂れた。
ユリアムは彼から話を訊いて、立つように命令した後、シンヤとブライアンに告げる。
「ブライアン、お前に父上が試練を与えるそうだ」
「はい」
「え」
試練という単語に嫌なものを感じて、生唾を飲んだ。
ユリアムがブライアンに話す試練の内容とは――胎の修復をする為に、特別な樹液が必要なので、ダークエルフ国の森の最奥から取ってこいというものであった。
ブライアン父が用意するという進言を、王は受け入れなかったらしい。
ブライアンは快諾すると、早速支度を整え始めてしまう。
成功したら、シンヤと子を成すことを認めて、結婚の解消もしなくて良いというのだが、その樹木は魔獣が守っているというので、心配になる。
「ブライアン様」
「シンヤ、必ず樹液を手に入れて戻るよ」
「でも! 魔獣が……」
頭を撫でられて、微笑まれ、口を閉じた。
――この人の性格なら、止めても行くよな。
鎧を着込み、準備を整えたブライアンは、庭に出て、ペガサスに跨がる。
皆に顔を向けて声を上げた。
「では!」
「気をつけて下さい! ブライアン様!」
「団長、お気をつけて!」
「ユリアム様、シンヤをお願い致します!」
「言われなくても!」
ペガサスは嘶き、空高く舞い上がると、優雅に羽ばたいて瞬く間に遠ざかっていった。
――ブライアン様……!
シンヤとユリアムは、この隠れ家に残り、ブライアンの帰還を待つことになった。
ユリアムはシンヤにくっついて、健やかな寝息を立てている。
どうやら、まだシンヤと子を成す為に、抱こうとはしない様子だ。
シンヤはそっと寝台から抜け出す。
やはり、ブライアンが心配だ。
庭に出たが、ダークエルフ国にどうやって行けば良いかわからず、途方にくれる。
――リューイがいてくれればなあ。
ウロウロしていたら、草を踏みしめる音がしたので振り返った。
「あ!」
「やあ。我が息子の妻よ」
「ブライアン様のお父さん!」
ブライアン父が、満面の笑みで佇み、手を振っている。
シンヤは駆け寄ると、頭を撫でられた。
「あ、あの」
「息子が心配なのは、私も一緒だ! さあ、行くぞ!」
「はい!」
「私の愛馬も飛べるんだ」
シンヤは、ブライアン父に腕を引っ張られて、黒いペガサスに跨がった。
寝ぼけ眼で起き上がったシンヤは、窓から庭を眺めて仰天する。
「き、騎士!?」
騎士は兜を脱ぐと、頭を下げて挨拶をした。
「失礼致します! 私はニコラッドと申します!」
「え、あ……はあ……」
茶髪の青年は、副団長であり、団長に言伝があると訴えている。
シンヤはブライアンに呼びかけようとしたが、既に身なりを整えて、屋敷から庭へと出ていた。
「団長!」
「ああ。こんな所にまですまないな」
「いいえ。陛下のご命令をお伝えに……」
ユリアムがブライアンの後方から姿を現すのを見て、ニコラッドは跪いて頭を垂れた。
ユリアムは彼から話を訊いて、立つように命令した後、シンヤとブライアンに告げる。
「ブライアン、お前に父上が試練を与えるそうだ」
「はい」
「え」
試練という単語に嫌なものを感じて、生唾を飲んだ。
ユリアムがブライアンに話す試練の内容とは――胎の修復をする為に、特別な樹液が必要なので、ダークエルフ国の森の最奥から取ってこいというものであった。
ブライアン父が用意するという進言を、王は受け入れなかったらしい。
ブライアンは快諾すると、早速支度を整え始めてしまう。
成功したら、シンヤと子を成すことを認めて、結婚の解消もしなくて良いというのだが、その樹木は魔獣が守っているというので、心配になる。
「ブライアン様」
「シンヤ、必ず樹液を手に入れて戻るよ」
「でも! 魔獣が……」
頭を撫でられて、微笑まれ、口を閉じた。
――この人の性格なら、止めても行くよな。
鎧を着込み、準備を整えたブライアンは、庭に出て、ペガサスに跨がる。
皆に顔を向けて声を上げた。
「では!」
「気をつけて下さい! ブライアン様!」
「団長、お気をつけて!」
「ユリアム様、シンヤをお願い致します!」
「言われなくても!」
ペガサスは嘶き、空高く舞い上がると、優雅に羽ばたいて瞬く間に遠ざかっていった。
――ブライアン様……!
シンヤとユリアムは、この隠れ家に残り、ブライアンの帰還を待つことになった。
ユリアムはシンヤにくっついて、健やかな寝息を立てている。
どうやら、まだシンヤと子を成す為に、抱こうとはしない様子だ。
シンヤはそっと寝台から抜け出す。
やはり、ブライアンが心配だ。
庭に出たが、ダークエルフ国にどうやって行けば良いかわからず、途方にくれる。
――リューイがいてくれればなあ。
ウロウロしていたら、草を踏みしめる音がしたので振り返った。
「あ!」
「やあ。我が息子の妻よ」
「ブライアン様のお父さん!」
ブライアン父が、満面の笑みで佇み、手を振っている。
シンヤは駆け寄ると、頭を撫でられた。
「あ、あの」
「息子が心配なのは、私も一緒だ! さあ、行くぞ!」
「はい!」
「私の愛馬も飛べるんだ」
シンヤは、ブライアン父に腕を引っ張られて、黒いペガサスに跨がった。
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