復讐のために生贄になった筈が、獣人王に狂愛された

彩月野生

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10望まない受胎

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 人間の王太子が獣同然の行為を強制され、ケダモノ達に嘲笑され、蔑まれる。
 こんな屈辱と羞恥は味わった事がない。
 フリオの精神は歪んでいく。
 サビーノにはどうにか反応を返してはいたが、だんだんと覇気もなくなり、世界は朧気になっていった。

 今日も朝からサビーノに連れ出されたが、途中で動けなくなり、奴がウサギの獣人と話し込んでいる姿をぼんやり眺めている。

 ――なんの話だ?

 ウサギの獣人は白いローブを身につけており、フリオについて精神がどうだのと勝手な憶測でしゃべっていた。
 以前のフリオならば、馬鹿にしているのか、と激高する所だが、今のフリオは堕落しきっている。
 怒りがわいてきても、外に発散しようとは思わなかった。

 ――もうどうでもいい。

 目的を果たすという意志は消えかけていた。

 その日から、何故か自室に放置された。
 軟禁状態なのは変わらないが、首輪も鎖も外されている。
 部屋を出ようと思えば出れるし、手足は自由だ。
 服も着せられている。

 どうしてこうなったのか、何があったのか思い出せない。
 全ての感情は遠くに消えたきり、戻りそうもない。

 寝台の上に蹲り、窓の外から降り注ぐ日の光から顔を背ける。
 視線の先に大きな白い枕を見つけて、その下に手を突っこむ。
 手の平に固い紙の感触が触れた。
 あれから、まともに読んでいない……。

 その本を、弟の日記を抱えて横になる。
 頁を開く気にはなれず、鬱蒼とした気分でただ眠った。

 眠りに落ちて数時間は経っただろうか。
 窓から差し込む日差しは傾いていた。
 もう夕刻らしい。空腹は特に感じない代わりに、ひどく喉が渇いていた。

 寝台の傍にある卓の上に用意されている、水入りの瓶をそのまま口元によせて、ごくごくと水を喉に流し込む。

「はあ……」

 喉をたっぷりと潤し、急激に眠気に襲われてふと疑問に思う。
 
 ――この、水、いつからあったっけ?
 
 疑問を考えている最中、意識は深く沈んでいった。

 しばらくの後、身体が揺れているのに気付いて目を開ける。
 真っ暗で何も見えない。
 目隠しをされている。それに、口も塞がれて、両手足も縛られているようだ。

「むぐ、むぐうう~!」
「暴れんなこら!」

 がしっと頭を強く掴まれて、引っ張られ、痛みが全身に走る。
 顔が柔らかい布に押しつけられた。
 いったいここは何処なのだろう、こいつは何者なんだ!?

 死にかけていた感情が、こんな事で復活するのは不本意だが、まだ死ぬわけにはいかないと思い出せた。精一杯暴れたつもりだが、意味もなく、尻を高くあげた体勢で、後ろから抱え込まれてしまう。

 頭上から感じる呼吸音や、獸のニオイ――これは、人狼だ。
 声はサビーノではない……ならば、思い当たる節は一つ。

「ま、まさかサビーノの弟!?」
「ガハハハッ! 流石に分かったか!?」
「な、なぜこんな真似を!?」
「衛兵共に話を聞いてなあ。まだ兄者に突っこまれてはいないらしいな? なら、先にオマエを孕ませてやったら、兄者は悔しがると思ってな!」
「な、な……!?」

 ――そ、そんな事をされたら、全てが台無しだ!

 胎を使えるのは、一度きりなのに!!

 その時、尻孔に粘着質な物を突っこまれ、腹で暴れる感触に身悶えた。

 ぐぢゅぶぢゅぐぢゅぢゅ!!

「んおお~っ!? おほおおお~っ!!」
「感じているな!? ならば、遠慮はいらんな!」

 どずんっ!! ずりゅうう――っ!!

「くっほおおおお~っ!!」

 熱い楔が唐突に尻孔に突き入れられ、腹奥まで串刺しにされた。
 その衝撃で身体が大きく跳ねて痙攣し、腰がぶるりと震える。

 ぶびゅ!! びゅるるる~っ!!

「あぎいぃいいい~っ」
「お? イれられただけで絶頂するとは! とんだマゾ王子よ!」
「ひぃいいい」

 そ、そんな。
 フリオは己の淫乱さに落胆した。
 特に気持ちのいい場所を突かれた訳ではないのに、尻孔に男根を挿入されただけで絶頂するなんて。
 唇を噛みしめて声をこらえたかったが、無意味だった。

「子種をたっぷり注いでやるぞオオオ!! 兄者の生贄よ!!」

 がくっ!! がくっ!! ごっ!! ごっ!! ごっ!! ごっ!! ごずっ!!

「んおぉおおおお~っ!! おっほおおお~っ!!」

 舌を噛みそうな勢いで背後から責められ、四肢ががくがくと揺さぶられる。
 腹をぶっとい狼ペニスがどづき、脳内をとろけさせた。

「あひゃああああ~っ!!」

 ――こ、こりぇが、おおかみにょ……じん、ろうの、なま、ちんぽっ!!

 肉同士がぶつかりあい、もみくちゃにされる乾いた音と、卑猥な水音が混ざり合い、滑稽な不協和音を作り上げている。
 屈強な人狼に蹂躙され、最後に腹奥でケダモノの子種を、濁流のごとく注ぎ込まれる。

 狼の性器は射精が終わるまで抜けない。
 獣人の様々な種について調べてはいたので、それくらいは知っていたが、長い……長すぎる。    
 中出しされている最中も、フリオは何度もイッた。

 やっと解放された頃には、頭はぼんやりして麻痺している状態であり、目隠しを外されて、口も両手足も解放されたとはいえ、微動だにする事もできず、穢されたまましばらくそうしていた。


 結局、自分を襲った奴の顔ははっきりと見えなかった。
 だが、確かにサビーノの弟であると言っていたし、あの射精は狼の物である筈だ。

 こんな事がバレたら、フリオもサビーノの弟も、ただではすまされないだろう。
 こんな真似をして何の得があるというのだ。

「う」

 ずきりと腹が痛むのを感じて、お腹をさすった。
 身体の奥がずきずきと痛くて、熱い。
 あれだけ中で出されたのだから、受胎してしまったのだろう。
 呪術師の話によれば、子は急激に成長するはずだ。
 順調に子供は胎の中で成長するだろう。

 コンコン。

「フリオ様?」

 ――この声は。

 一瞬警戒をしたが、呼ぶ声は聞き覚えがあり、安心できる相手だと思い出して、返事を返した。

「ちょうど良かった、悪いが手伝ってくれミール」
「どうかされましたかにゃ……?」
 
 ミールがフリオを見て硬直する。
 仕方のない話だ。鼻腔をつく雄クサさに、全身にはりついた白濁の痕。
 こんな姿を見せてしまって申し訳ない気持ちで一杯だったが、頼れるのはこの猫の獸人だけだ。

 ミールは耳と鼻をぴくぴくさせて、さっと部屋を出て行ったかと思えば、すぐに戻ってくる。
 その手には、水入りの大きな木の桶が抱えられていた。
 
「じっとしててくださいにゃ」
「ああ、ありがとう」

 桶の水に浸してきつく絞った綺麗な布を、フリオの胸元の肌に押しつけて、強めにこすってくれる。
 丁寧に全身を拭いてくれたミールは、居たたまれないように俯く。

「何があったのかは聞きませんにゃ。でも、サビーノ様には知られない方がいいですにゃ」
「ああ、そうだな」
「ひとまずはこれで。あとはお風呂で洗って下さいにゃ」
「ありがとう」

 幾分すっきりした気分で頬が緩んだ。
 ミールは、マリユスの日記を取りに来たと話した。
 そろそろ元の場所に戻しておかないと、危ない気がするのだと。
 フリオは2冊の本をミールに手渡し、何度もお礼を伝える。

「これを見せて貰えたおかげで、マリユスがどんな風に過ごしていたのかを知れて、本当に助かった」
「……最後まで読みましたかにゃ?」
「ああ」
「そうですにゃ」

 若干暗い面持ちで、ミールは部屋を出て行った。
 去り際に「また何かあればお声をかけてください」と言ってくれた。

 フリオは腹をさすり、思案する。
 宿ったこの命をどうするべきか、利用できるなら使うべきだ。
 あの野蛮な人狼の子だ。遠慮する必要はないだろう。

 口元がつり上がるのを感じて、瞳を伏せた。 
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