復讐のために生贄になった筈が、獣人王に狂愛された

彩月野生

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30二人きりの世界

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 二人きりの旅路の中で見つけた死に場所は、草原の中だった。
 平野なので空がとても近いし、天気が良ければ陽光が祝福のように降り注ぐし、夜空は宝石で輝いている。

 草原の中で見つけた小屋でごく普通の生活を送る日々。
 作物を育て、狩りに行き、身体を繋げる。
 フリオの弟への愛は成就しなかったが、サビーノは愛の成就を確信しているようで、それにすこしムッとした。

 確かに、フリオはサビーノへの愛を自覚し始めているからだ。
 弟への歪んだ愛の執着には決着をつけられそうだし、サビーノと共に生きていくと決意もした。

「いい加減我への愛を認めろ」
「勝手なケダモノだな」
「認めるまで、傷をつけるぞ」
「……っ」

 そう言っては肌に噛み痕をつけて血がうっすらと滲む。
 もう全身にそんな真似をされているので、噛まれて欲情をする変態になってしまった。
 
 かぷ。

「んふぅう!」
「フン。強情な奴だ」
「と、共にいるだけじゃダメなのか?」
「オマエから愛の言葉を聞かぬかぎり、やめないぞ」
「勝手な、奴だな……!」

 全身を分厚い獣の舌でなめられて四肢がびくびくと震える。
 胸の突起、下腹、太もも、性器を執拗に丁寧にじっくりとなめられ、しゃぶられると、快感に耐えきれず腰が震えた。

「あ、はぁああ……!」

 どぷどぷと射精する感覚に目を見開き、涎を垂れ流す。
 サビーノは精液を口の中に受け止めて、喉を慣らすとフリオの両足を開き、腰を持ち上げられた。
 猛ったケダモノのイチモツを見せつけられて目を背けると、くすりと笑われる。
 フリオの羞恥心などお構いなしに、ズズンッと腹奥まで一気に突っこんで来た。

「あっひいいい~っ!!」
「キツいな、オマエの中は熱い」
「お、ほ……ひい……!」

 どうにかして四肢の力を抜かなければと意識をするも、激しい抽挿が開始されてしまえば、理性が吹っ飛び、馬鹿みたいに喘ぐ事しかできない。
 サビーノの背中に腕を回し必死にしがみついて肉体を踊らせる。
 寝台が壊れそうなほどに軋み、不快な音を響かせた。
 繋がる秘部が灼熱の石を埋められたように熱くてたまらず、浅い呼吸を繰り返し、舌を突き出して熱に浮かされたようにサビーノを呼ぶ。

「サビーノぉおお~っ」
「フリオ……!」
「あちゅいい……さびーのおお~っ!!」

 あひあひと喘ぎ、サビーノのザーメンが腹奥に注がれきるまで、フリオは肉体を快楽に揺さぶられて、何度も絶頂した。
 びゅるびゅると吐き出した白濁が、フリオの腹とサビーノの胸元を汚した。

 久しぶりにこんなに思い切りイッた気がする。
 熱を解放した後、抱きしめ合って眠り、窓の外から聞こえてくる虫の音と風の音に耳を澄ませた。
 サビーノの胸元に顔を埋めて甘えるように囁く。

「このままずっと、最期まで一緒にいれたらいいな……」
「ああそうだな。感謝しているぞ」
「感謝?」
「我は、オマエのおかげで父の妄念から解き放たれた」

 頭を優しい手つきで撫でられ、穏やかな声音が耳を震わせる。

「サビーノ?」
「言葉で言えぬのなら、いい。このまま傍にいてくれフリオ」
「……うん」

 頑固な自分を許してくれ。
 内心で己に呆れながら、サビーノに感謝する。

 役立たずの王太子でどうしようもない兄だった自分を、求めてくれるこのケダモノが愛しくてたまらない。
 ある想いがむくむくと育っているが、決して望んではいけないと自分に強く言い聞かせた。

 誰かと愛し合ったなら生まれる自然の感情なのだろうが、俺達には赦されない願いだと。

 朝、共に目を覚まして、共に日常を過ごし、夜共に眠る。
 それだけで充分に幸福なのだ。

 サビーノの好物は肉料理の中でも、鶏肉を使ったものが好きだった。
 早朝、食料の調達に出かけて剣と弓で獲物を狩って、小屋に帰る。
 しばらくはサビーノの仕事だったが、フリオがなまった身体を鍛え直したいと申し出ると、役目を譲って貰えた。
 今頃は畑を耕しているはずだ。サビーノの滑稽な姿を始めて見た時は笑ったものだ。
 
 森の中を歩き帰路を急いでいると、何かの気配を感じて物音に集中する。
 足を止めて周囲を見回すと、どこからともなく声がした。

「フリオ様」
「!?」

 大木から姿を現したのは鎧姿の男であり、大国の騎士であった。
 何故、こんな場所に。
 疑問を投げかける前に騎士は冷ややかな声で告げた。

「貴方の父が処刑されます」
「――な」

 ――何を言っているんだ!?

 叫び出す前に騎士に歩み寄り、甲冑に拳を振りあげていた。

「おかしなことを言うな! 何故、父が!?」
「民は怒っているのです。その怒りをぶつけた結果です」
「……」

 それくらいわかるだろう。
 そんな騎士の威圧感に息を飲む。
 フリオはだいぶ頭がおかしくなっていたのだと己を恥じた。
 息を大きく吐き出すと顔を上げる。

「俺を父上の元へ連れて行け!!」
「承知しております」

 歩き出す騎士の後をついていくフリオは、一度立ち止まり、振り返る。

 ――サビーノ……。

「ごめんな」

 この先に待つ運命を思い、フリオの胸は悔しさで張り裂けそうだった。
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