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六章 私の『学園生活』……

《幕間》勇者の誕生

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 これは、少し先の、未来の話。

 マオが学園で生活している頃、東にある辺境の村で、勇者は生まれた。

「おおおおおお!この、紋章!ついに、ついに勇者様が生まれたぞー!」

「私たちの子が、まさか勇者様だなんてね」

「そうだな。ただ、今までと違って勇者がなのは、少し気がかりだな」

「そうね。でも、きっと立派な勇者になってくれますよ、きっと」 

「それも、そうだな!なんたって、私たちの子なのだから!」

 そして、勇者が生まれたという噂は、あっという間に広まっていった。
 王宮から、西にある辺境の村まで。
 そして、魔族たちの住むところでも、それは例外ではなかった。
 勇者が生まれたという話は、あっという間に広まっていった。
 学園にいるマオちゃんのもとまで。


 そんな、この世界の理。

 魔王が生まれれば、勇者も生まれる。

 そして、勇者は魔王を倒す宿命をもって生まれてくる。勇者がどうしたいかなんて、関係なく。

 それが、この世界の理だから。

 変わることのない、繰り返される歴史。

 終わることのない、世界の理。
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