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Chapter1: 蠱惑のパルフェ
しおりを挟む「この依頼、魅力的だけど魔法師がほしいな」
リスティスはギルドの依頼掲示板を見上げながら呟いた。掲げられた依頼書には、複数のコカトリスとバジリスクの同時討伐と記されている。
「確かに、複数体となると、できれば援護魔法と回復も欲しいな」
相棒のレリューが顎に手を当てて考える。
二人はBランク冒険者の中でも実力派で知られているが、この依頼は魔獣の数と種類を考えると、やはり魔法師の協力が必要不可欠だった。
「受付でソロのラギアがいないか聞いてみるか」
報酬額は3人で割っても魅力的だ。リスティスの提案にレリューも頷き、二人は受付へ向かった。
「ソロのラギア様ですか……なかなか見つからないのが現状ですね。そういえば、最近虹魔法師の方が登録されまして……」
ギルド男性職員の言葉に、リスティスが目を輝かせる。
「パルフェ!? すごいじゃないか!」
「ただ……ちょっと難があると言いますか……」
職員は言葉を濁し、気まずそうに目を逸らす。レリューが首を傾げた。
「難?」
「はい……。あの……」
「パルフェのセシルです」
翌日、領門近くで待ち合わせの時間が来た。二人の前に現れたのは、想像以上に目を引く青年だった。
礼儀正しく頭を下げたその青年は、胸元まで開いた白いドレスシャツに、黒のタイトレザーパンツ。肉を一切感じさせないスリムな体躯は、華奢とすら言える。両肩から腰にかけてのハーネスが、その線の細さを強調している。ルーズに伸ばしたブラウンの髪に、濃い青の瞳。腰には控えめにナイフを装備していた。
「俺は剣士のリスティス。こっちは俺の相棒で拳闘士のレリュー」
「よろしく」
レリューは戸惑いながらも頭を下げる。この青年が、本当にあの“難”を持つ人物なのだろうか。
「随分軽装備だが……大丈夫なのか?」
レリューがセシルに問う。確かに、彼の出で立ちは、冒険者というよりも夜会へ繰り出す貴族のようだ。
「はい。魔法でどうにかなるので」
セシルははにかむように微笑んだ。その表情に、二人は思わず見惚れてしまう。
「んでさ、ギルド職員から報酬の件を聞いたんだが……本気なのか?」
リスティスは気まずそうに頭を掻きながら尋ねた。
「はい。討伐完遂後、抱いてくだされば報酬は要りません」
セシルは臆することなく、まっすぐに二人の目を見て告げた。その言葉は、まるで当たり前の契約内容を話すかのようで、二人の心をかき乱した。
「ただ……ちょっと難があると言いますか……」
職員は言葉を濁し、気まずそうに目を逸らす。レリューが首を傾げた。
「難?」
「はい……。あの……、指名同行する際は男性冒険者限定で。依頼完遂後にその同行者に抱いてもらえれば、自分は報酬は要らないと……」
「はぁ!?」
リスティスが驚愕の声を上げる。
「ギルド長は何も言わなかったのか?」
レリューの問いに、職員は困ったように眉を下げた。
「本人の希望なら、それでいいのでは、と。何しろ希少なパルフェ様ですから、しかも適正ランクはAです」
「なるほど。Aランクのパルフェが所属していれば、ギルドの箔が付くってわけか」
レリューが口元に指を当て、納得したように頷く。
「女性なのか?」
リスティスの問いに、職員はかぶりを振った。
「いえ、男性です。ただ、同性の私から見ても、お綺麗な方で……」
「……はぁ、なるほどな。確かに、それは“難”だ」
リスティスは頭を掻き、渋い顔をする。しかし、報酬の魅力が勝った。
「とりあえず、明日会ってみるか」
二人は顔を見合わせ、頷き合った。
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