報酬はカラダで、

有永

文字の大きさ
3 / 14

Chapter2: 空の旅

しおりを挟む



リスティスは信じられないといった顔でセシルを見つめた。

「結構な額だぞ? 本当にいいのか?」

「はい。ある程度生活できる額があれば問題ないので。普段そこそこ稼いでるので、今日みたいな指名同行時は趣味に走ろうと」

セシルはあっけらかんと言い放つ。その顔には一切の曇りがない。

「趣味?」

レリューが眉をひそめて問い返す。

「セックス、好きなんですよ。掘られるのが特に」

セシルはにっこりと微笑む。
その飾らない、あまりにストレートな発言に、リスティスとレリューは面食らった。普段、女性冒険者からも慕われる二人だが、ここまで露骨に性的な関心を示されることは稀だ。しかも、相手は男。

「まぁ……君なら抱けそうだが」

リスティスは口元を歪めながら呟いた。端正な顔立ちに、細く引き締まった体。女のようなしなやかさと、男としての鋭い美しさが同居している。

「……悪くはないな」

レリューもまた、品定めするようにセシルを眺め、口元を緩めた。その巨躯に見合う力強い言葉に、セシルは嬉しそうに目を細めた。

「ありがとうございます。サポート頑張ります。よろしくお願いします」

まるで契約が成立したかのように、セシルは深々と頭を下げた。そのプロフェッショナルな態度と、奔放な性格とのギャップに、二人は戸惑いながらも、この冒険が退屈なものにはならないと確信した。

「話がまとまった所で、とりあえず馬車の乗り合い場に行くか。目的地まで3つほど村を挟む」

「討伐場所まで2日くらいかな」

レリューが腕を組み、旅路を計算する。その時、セシルが不思議そうに首を傾げた。

「……お二人とも、装備や買い物はまだありますか? 例えば道中の村で買い揃えるものとか」

「いや、済ませてるが?」

リスティスの問いに、セシルは満足そうに頷いた。

「では、とりあえず領を出ましょう」

セシルはすたすたと歩き出し、領門の待機騎士にギルドカードを見せる。二人は訝しげにセシルの後を追った。

領門を出て少し進んだところで、セシルは振り返った。

「では」

セシルは目を閉じ、淡い緑色の魔法陣を展開した。羽根のような形をした純白の光が花吹雪のようにセシルとリスティス、レリューの周りを舞う。

「な、なんだ!?」

リスティスが驚いて身構える。

「レビタント」

セシルが目を開いてそう唱えると、純白の光が一斉に弾け、3人の背中に純白の羽根が生えた。

「これは……!?」

レリューが自分の背中にある羽根を触って驚く。それは実体を持たず、しかし確かな存在感で風を孕んでいた。

「飛空魔法です。スピードも出るので、討伐地の手前まで一気に行きましょう」

セシルは楽しげに微笑んだ。

「鳥が飛んでいるところを想像してください。そうすれば、自由に空を動けます」

セシルがふわりと地面から浮き上がり、そのまま天高く舞い上がった。その姿は、まるで翼を得た天使のようだ。

「おい、まさか……」

リスティスが呟き、自分の背中の羽根に意識を集中させる。すると、体が軽くなり、ふわりと地面を離れた。レリューもまた、戸惑いながらも同じように空へと舞い上がる。

三人の体が宙を舞い、目指す討伐地へと一気に加速していく。地上の道を行く馬車や人々が、空を飛ぶ三人の人影を呆然と見上げていた。

「すごいな……」

リスティスが感嘆の声を上げる。空を風のように進む感覚は、想像をはるかに超えていた。

「普段はソロなので今日みたいに羽は出しませんが、せっかくお二人が居るので。いつもこうやって一気に目的地まで飛んでしまうんです」

セシルは風を切りながら優雅に答えた。リスティスとレリューは、この男の底知れない能力に畏敬の念を抱くと同時に、これから始まる冒険に胸を高鳴らせた。





しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転生場所は嫌われ所

あぎ
BL
会社員の千鶴(ちずる)は、今日も今日とて残業で、疲れていた そんな時、男子高校生が、きらりと光る穴へ吸い込まれたのを見た。 ※ ※ 最近かなり頻繁に起こる、これを皆『ホワイトルーム現象』と読んでいた。 とある解析者が、『ホワイトルーム現象が起きた時、その場にいると私たちの住む現実世界から望む仮想世界へ行くことが出来ます。』と、発表したが、それ以降、ホワイトルーム現象は起きなくなった ※ ※ そんな中、千鶴が見たのは何年も前に消息したはずのホワイトルーム現象。可愛らしい男の子が吸い込まれていて。 彼を助けたら、解析者の言う通りの異世界で。 16:00更新

灰の底で君に出会う

鮭茶漬け
BL
両親を亡くした高校生、神崎透は叔母の家に引き取られて暮らしている。しかしその家は、家族と呼べる場所ではなかった。家事、雑用、そしてバイト。どれだけ働いても感謝されることはなく、透は「穀潰し」と呼ばれながら日々を過ごしていた。 それでも透は思っている。ここに置いてもらえるだけでありがたい、と。 これは――居場所を持たなかった少年が、初めて愛を知るまでの物語。

乙女ゲームのサポートメガネキャラに転生しました

西楓
BL
乙女ゲームのサポートキャラとして転生した俺は、ヒロインと攻略対象を無事くっつけることが出来るだろうか。どうやらヒロインの様子が違うような。距離の近いヒロインに徐々に不信感を抱く攻略対象。何故か攻略対象が接近してきて… ほのほのです。 ※有難いことに別サイトでその後の話をご希望されました(嬉しい😆)ので追加いたしました。

隊長さんとボク

ばたかっぷ
BL
ボクの名前はエナ。 エドリアーリアナ国の守護神獣だけど、斑色の毛並みのボクはいつもひとりぼっち。 そんなボクの前に現れたのは優しい隊長さんだった――。 王候騎士団隊長さんが大好きな小動物が頑張る、なんちゃってファンタジーです。 きゅ~きゅ~鳴くもふもふな小動物とそのもふもふを愛でる隊長さんで構成されています。 えろ皆無らぶ成分も極小ですσ(^◇^;)本格ファンタジーをお求めの方は回れ右でお願いします~m(_ _)m

妖精です、囲われてます

うあゆ
BL
僕は妖精 森で気ままに暮らしていました。 ふと気づいたら人間に囲まれてました。 でもこの人間のそばはとても心地いいし、森に帰るタイミング見つからないなぁ、なんて思いながらダラダラ暮らしてます。 __________ 妖精の前だけはドロ甘の冷徹公爵×引きこもり妖精 なんやかんやお互い幸せに暮らします。

虚ろな檻と翡翠の魔石

篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」 不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。 待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。 しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。 「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」 記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。

拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件

碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。 状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。 「これ…俺、なのか?」 何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。 《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て『運命の相手』を見つけるまでの物語である──。》 ──────────── ~お知らせ~ ※第3話を少し修正しました。 ※第5話を少し修正しました。 ※第6話を少し修正しました。 ※第11話を少し修正しました。 ※第19話を少し修正しました。 ※第22話を少し修正しました。 ※第24話を少し修正しました。 ※第25話を少し修正しました。 ※第26話を少し修正しました。 ※第31話を少し修正しました。 ※第32話を少し修正しました。 ※第33話を少し修正しました。 ──────────── ※感想(一言だけでも構いません!)、いいね、お気に入り、近況ボードへのコメント、大歓迎です!! ※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。

悪役令嬢と同じ名前だけど、僕は男です。

みあき
BL
名前はティータイムがテーマ。主人公と婚約者の王子がいちゃいちゃする話。 男女共に子どもを産める世界です。容姿についての描写は敢えてしていません。 メインカプが男性同士のためBLジャンルに設定していますが、周辺は異性のカプも多いです。 奇数話が主人公視点、偶数話が婚約者の王子視点です。 pixivでは既に最終回まで投稿しています。

処理中です...