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第九章 反逆の狼牙編
EP268_② 合わせ鏡の向こう側 <☆>
しおりを挟む「うわぁ!?」
驚いて声が出た。声を掛けられた方を見ると、その発生源は鏡の中だった。
前に立つ物を反射して映す。それだけの機能しか無い、ありふれた鏡。そのはずなのに今日は違う。
鏡の中に、もう1人の征夜がいた。
合わせ鏡となって連なった像の一つが、自分とは違う動きをして、向かい合っている。征夜に話しかけて来たのは、その鏡像だった。
<何を笑っているんだ。>
「え?」
<何が面白いんだ。>
「いや……別に……。」
鏡の征夜は詰問する。
征夜が、何故笑っているのか。その理由が分からないらしい。
<大した理由も無いなら笑うなよ。>
「笑うのに理由が要るのかよ。」
<笑えない理由なら、あるだろ。>
「…………。」
語気が荒くなった鏡像に対して、征夜は臨戦態勢を取る。喧嘩腰で返答するが、相手の方が上手だった。
ハゼルを死なせた今、笑っている場合でないのは事実。そこを突かれると言い返せない。
<為すべきことを為し、成るべきものに成る。 その決意を、済ませたんじゃないのか。>
「一体何を言ってるんだ。」
<なに?>
「僕はもう、変わらなくて良いんだ。」
<は?>
「僕は今の自分のまま頑張る。 それで十分だって、思うんだ。」
<何故?>
「花が……そう言ってたから。」
<…………は?>
鏡の征夜は畳み掛けた。
だが、ここで待ったが掛かる。征夜には、言葉の意味が分からなかったのだ。
まるで何か違う人生を歩んで来たかのように、鏡像との間に深い溝を感じた。
(コイツ……何なんだよ……。)
先ほどから続く、この怪現象。
疲労による幻覚でないのなら、一体何なのか。
まず思い至ったのは、本当の自分という存在。鏡は真実を映すという。「この姿も声も全て、自分の本心の投影ではないか?」と思った。
だが、そうだとすれば問題だ。
鏡の征夜と征夜は、話が全く噛み合っていない。
まるで片方が偽物で、もう片方が本物であるかのように。言っている事が食い違っている。
<冗談じゃない……良い加減にしろよ、お前。>
「僕は本気で言ってる。」
<黙れ。 お前がくだらない言い訳を吐き散らしている間も、子どもが死んでいるんだ。
子どもだけじゃない、俺を信じてくれた人……求めてくれた人たちが、死んでいるんだ。>
「…………。」
<救えたはずの命が、失われているんだ。>
「…………。」
<そんな事が……まだ分からないのか……お前は……。>
「お前は何を言ってるんだ……。」
言っている意味は分かる。だが、その話はもう済んだ事だ。自分の中で折り合いを付け、終わらせたはずの事だ。――征夜の中で違和感が募っていく。
「花と……ずっと一緒にいたい。
彼女と僕の人生は不可分だ。 彼女を心配させたり、危険に晒すような事はしたくない。
僕だって、助けられる命は助けたいよ……でも、気負いすぎるのもダメだって、花が言うんだ。」
<花は俺の人生の責任を取ってはくれない。 俺の幸福を願っても、俺の夢を叶えはしない。>
「責任なんて言ってない! ただの優先順位だ……。
僕にも限界がある。 全部は守れない。 脇道に逸れて、本当に大切な物を取り零したら……僕は一生後悔する。 花だけは失えない……!」
<彼女を言い訳に使うなよ。>
耳が熱くなるのを感じた。怒りと羞恥が湧き上がって来る。
鏡の征夜は淡々と否定して来る。表情一つ変えぬまま、まるで子供を嗜めるように。征夜の発言を自分の意思で塗り潰そうとする。
(クソ……コイツ……。)
言い訳――そう言われると、頭痛がする。
嫌いな言葉だ。言われたくない言葉だ。それが分かっていて、この鏡像は言って来ている。
<俺は俺の道を行く。 父さんとも、爺さんとも違う道だ。 もちろん花の道とも違う。
俺が選び取り、進むべきと信じ、進み続けると決めた道だ。 その道を曲げる権利は誰にも無い。>
(爺さんって……誰だ?)
祖父のことは爺ちゃんと呼ぶ。爺さんなる人物が、誰なのか分からない。
「道を曲げないなら、なおさら脇道は通るべきじゃない。 そうだろ……?」
<俺の人生に脇道は無い。 通る場所全てが俺の道だ。
この世の全てを守る事はできない。 それでも、俺に手を伸ばす人くらいは守り抜ける。>
「…………。」
<感謝も、称賛も、名誉も要らない。
俺は自分を信じる。 救いを求めて伸ばされた手を、目に映る限り掴み上げる為の力が、俺にはあるからだ。>
<何も要らないのに、叶えたい夢はあるのか?……花はそれを叶えてくれないと、そう言いたいのか?」
<あぁ、そうだ。>
「でも結局、誰も守れてない……そうだろ?」
<だからこそ、俺は変わりたい。>
「感謝されない人助けでも、お前はするのか?」
<する。>
「そうやって死んだのが、ハゼルじゃないのか。」
<だからこそ、俺は変わらなくちゃいけないんだ。>
「何もしない事、何も変わらない事、それが他人の為だとしてもか?」
<ミサラもハゼルも少年兵も、死んだのは俺が弱いせいだ。 人として未熟だったせいだ。 戦士としての覚悟が無い、クズだったせいだ。>
「…………。」
<何が他人の為かなど、誰にも分からない。
俺に出来るのは、関わったすべての事物に責任を持ち、最後まで守り切ることだ。>
話し合いは平行線だった。
ありとあらゆる角度から、相手の論理を突き崩そうとする。だが、鏡の征夜は堅牢だった。
論戦が強いのではない。意思が強いのだ。譲れない何かを堅持する為に、投げ掛けられた反論の全てを遮断している。
(僕が……間違ってるのか?)
言葉に詰まる事が増えると、頭がクールダウンした。
売り言葉に買い言葉で、喧嘩腰になっていた。だが、これほど整然と諌められると、自分の方が間違っている気がする。
<お前の夢は俺の夢だ。 俺には他意など無い。 お前が俺と違うことは、有り得ない。>
「……どうかな。 僕には夢なんて無いけど。」
<何故だ?>
俺の夢――吹雪征夜の夢。鏡の言葉が本心なら、自分の中には隠し持った夢がある筈だ。
だが、どれだけ心を砕いてみても、夢の破片すら見つからない。最初から道が違うかのように、鏡像の言葉には賛同出来なかった。
「全部が全部……上手くいくとは思ってない。
僕は……今の生活をずっと続けたい。 花との幸せな生活を続けたいんだ。」
これが、今の征夜の全てだった。
破片すら残さず霧散した夢は、風に乗って消えた。
現実的に考えて、幸せの限界はこれだ。これ以上を望めば、全てが崩れると思えた。
<それは無理だ。>
「何故?」
<俺たちは、この世に生まれ落ちたからだ。>
「生まれ……落ちたから?」
しかし――鏡の征夜は、そのささやかな願望を否定する。
<この大宇宙に生まれた1つの命。
2つと居ない生命が、今ここに立っている。 俺はその意味を知り、遂行しなければならない。>
「2つと居ない……生命?」
<他の誰でもない人間に、なりたいと思っていた。
だが、そんな必要はなかった。 人間は皆、誕生の瞬間から特別だ。
俺にしか出来ない事は、あるか分からない。 だが、俺に出来る事を探さなければ、救える物を取り零す。>
鏡像の言う事は事実だ。
吹雪征夜はずっと特別な存在に憧れていた。吹雪カンパニーの跡取りではない、自分という存在。その意味を、特別な価値に求めていた。
誰にも出来ない事をすれば、特別な人間になれると思った。だが――そんな物は無いかもしれない。そう思い始めると無性に不安になる。
「僕に……出来る事……。」
しかし――もしも他人にも出来る事で、本当に大切な事があるのなら。
それは他人に任せず、自分がやるべき事なのかもしれない。鏡像はそう諭した。
<俺に出来ることは、花と幸せになるだけか。
この身に有り余る力を、それだけに注いで良いのか。 考えるまでもないことだ。>
暴力、破壊、殺戮。荒ぶる本能の爆発。
永征眼の力、氷狼神眼流、正体不明の剣術。そのどれもが、1人を守るには大き過ぎる。
その意味が何なのか――現実を正視すれば、答えは一つだ。
<俺はもっと大きな物の為に生まれてきた。
花を守るのはその一部だ。 欠けてはいけない条件だが、最低限には小さ過ぎる。>
「お前が何を言っているのか……僕には分からない。」
本当は分かっている。
だが、認めたくないのだ。だから、分からないと思い込もうとする。
<なら、ただ信じれば良い。>
「誰を?」
<自分を信じろ。>
「信じる事は出来ない……。」
自分を信じては、裏切られて来た。吹雪征夜は信じるに値しない人間だ。
他人からも信じられない人間を、自分で信じる事は出来ないと征夜は思った。
<信じれば良いだけだ。>
「僕は何も出来ない……。」
<それでも、為すべき義務はそこにある。>
「それは……。」
手を付けぬまま山積する宿題と同じように、果たすべき使命は天から降り注ぐ物だ。
意思や覚悟に関わらず、向こうからやって来る。その全てを拒否する事は出来ない。
<覚悟を決めろ。 必要なのはそれだけだ。>
「僕にも……出来るかな……。」
<簡単には死なない。
なら、死ぬ気でやって損は無い。 そうだろ?>
「ハハ……そうかも……。」
心が洗われる心地がした。
たしかに、吹雪征夜は簡単に死なない。肉体は頑強で、容易に砕け散る事は無い。
苦悩、葛藤、不安。それらは全て、歩み出す事で解決する些細な問題に思えて来た。やるべき事が目の前にあるならば、進めば道は開いていく。
鏡像の言う事は、正しいかもしれない。
その言葉に乗っかれば、今いる場所とは違うどこかに辿り着けるかもしれない。
<さっさと寝よう、明日からは忙しくなる。>
「…………ぅん。」
明日から頑張る。
そうすれば、きっと変わる。
何が変わるのかは分からないが、何をやっても上手くいかない現状からは、解き放たれるかもしれない。
<ほら、拳出せよ。>
「ぇ? ぁ、あぁ……。」
グータッチを提案された。よく分からないまま、征夜は鏡合わせに突き出された拳に自分の拳を近づける。
本当の自分と折り合いを付け、明日から自分が進むべき道の方へと歩み出す覚悟を決める。これは、その為の儀式だった。
<明日からも、気合い入れてくぞ。>
「うん……僕も、明日からも気合」
鏡面に張り付いた拳に、腕を近づけ、いよいよ接触しようとした時――背後から、殺気がした。
「ッ"!!!」
ヒュンッ!
第六感で反応して、咄嗟に屈めた体。その後頭部を風切音が掠め、ガシャンと喧しい音が鳴る。
何者かが鈍器で鏡を破壊した。――そう気がつくのに、一瞬の時間を要した。
「……ぇ?」
腰が抜け、ヘタリと座り込む征夜。
その傍を影が擦り抜け、鏡の前に立ち、何度も鈍器を打ち付ける。鏡面は粉砕され、破片が洗面器に散乱し、喧しい音が夜の静寂を破り裂く。
「はぁ"ッ! ん"ぁ"あ"ッ! うぅ"ぁ"あ"ッ!!!」
ガッシャンガッシャンガッシャンと、ガラスが砕ける音がする。鈍器を振り上げ打ち下ろす度に、憎悪を込めた叫びが響く。
暗がりで姿が見えない。
長い髪を振り乱しながら、半狂乱で鏡を殴る。
辛うじて女だと分かるが、声は太い。追い詰められ、切実な本能を爆発させた獣の声だ。
「…………花?」
月明かりが窓を通り、弾けた鏡面に反射し周囲を照らす。猛烈な憎悪と殺意を持った、悍ましい顔で鏡を叩き割る女――その正体が楠木花だと、ようやく気付いた。
美貌に湛えた表情は、普段の彼女と同じ人物には思えなかった。
握り締めた置時計の角で何度も何度も鏡面を打ち砕き、破片が飛び散っても構わずに入念に殴り続ける様は、狂気を感じさせる。
「は……花……何してるの……。」
征夜は尻餅を付いたまま、後退りする。
困惑と恐怖が脳裏で踊り、祭囃子を奏でている。感情の極限状態がボルテージを上げていく。
背後に回られるまで、その存在に気付かなかった。
扉を開けられ、寝室に入られた事に気付かなかった。
油断していたのか、あるいは気配を消されたのか。絶叫してまで鏡を破壊したい理由、それが分からない。
鏡の破壊が一段落着くと、花は腰を下り、ゼェハァと息を整えた。
ひとしきり平静を取り戻した後、闇の中で振り向く。征夜を見下ろすその顔には、一切の表情が無かった。
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