気弱な公爵夫人に転生しました

randge

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 「……え?ここは」

 目が覚めるといつもと違う天井が見えた。

 「まだ暗い……」

 たしか私は昨日いつも通り寝たはず。
 
 「なんだ、これは夢か。ということは、もう一回寝ればいいのよね」

 そう思って私はもう一度寝ることにした。


 ***


 「キャハハッ、お偉いさんのお通りよ道を開けてあげなさい」
 「……」

 「あ、あの、すいません…」
 「あら~?何か音がしません?」
 「さぁ?空耳では?」

 「奥様にこの屋敷の管理は無理です。私が代わりにやりましょう。旦那様には秘密にいたしますので」
 「す、すみません……」

 「見ました?サラが公爵様に相手もされてないところ」
 「まぁ、契約結婚だし仕方ありませんわフフッ」 


 ***


 「長い夢?というより誰かの記憶を見ているみたいだったけど、夢の中でいじめられてた人は誰だったのかしら?」

 体の感覚がいつもと違う。それに、天井もさっきと変わっていない。

 「まさかっ」

 私は急いで鏡の前まで行って自分の姿を確認した。体の違和感の理由が分かる。

 「これ、私の体じゃ無い……?」
 鏡に写っていた美しい女性は夢の中でいじめられていた人だった。

 「転生……しちゃったの?」
 「寒い……とりあえず服を着ないと」

 不思議なことにどこに服がしまってあるかがすぐに分かって、すぐに見つけられた。

 「とは言え、この服は1人だと着るの大変だし、やっぱりこのまま毛布でも羽織っておけばいいや」

 私は、まだ曖昧だけど私が転生する前の"この人"の記憶持っていた。

 どうやら私は、"サラ"という名前でポートマン公爵家の夫人に転生したらしい。けれど、公爵とは契約結婚で相手にもされていないし、私が人見知りすぎて何も言えないから使用人に虐められている。

 「大変な人生になりそうね」


 ***
 

 私は自分が転生してしまったことを受け入れて、サラの記憶を完全に思い出すまでは、今あるサラの記憶でサラを演じることにした。
 一見"サラを演じる"のは難しそうに見えるけどすごく簡単。だって、喋ったり、相手と目を合わせたりしないければいいだけだから。


 ***


 私がサラの記憶を完全に思い出すまでに2日かかった。その2日間で私は虐めの主犯格が"ある3人の使用人"で特に侍女長でもある"セリア"が深く関わっているとわかった。私はこの2日間もずっと虐められていた。その内容は?と言うと、私に聞こえるように陰口を言ったり、私に汚れたドレスを着せたり、私のお世話を疎かにしたり……他にもあるけど大体は私が前に住んでいたところのいじめと同じだった。

 もちろん、私が注意する。とか、罰をあたえる。みたいな教育をしていなかったのも原因かもしれないから、今日からはしっかり"教育"をしないとね。


 ***

 
 使用人の仕事の一つに、"毎朝夫人の着替えなどを含めた支度の手伝いをする"というものがある。でも、私の使用人はわざと時間より1時間くらい遅れてくる。
 今日はいつもよりも早めに起きて、朝の支度を全て自分でやった。

 「疲れた~、一人でやるとこんなに大変なのね。後は"あの3人"が来るのを待つだけ」


 ガチャ
 いつも通りノックもせずに入ってきた。

 「すみません。奥様のこと、忘れてて遅れ……え?一人で支度をしたんです?」
 「ええ、あなた達が来るのが遅かったから自分で済ませましたよ」

 薄笑いを浮かべているセリアに強い口調で言った。

 「そうですか。じゃあ、これからは自分で支度を済ませてくださいね」
 「あなたは何を言っているの?私が自分で支度をできたとしても、あなた達が怠けていいと言うことにはならないと言うことが分からない?」
 「分かりませんね。 そもそも、なんで私たちがあんたの世話なんて。」

 セリアは私に聞こえるように文句を言った。

 「聞こえてるわよ。あなた達が使用人で、私がこの屋敷の女主人だから。これが答えなのだけれど」
 「はいはい。そうですか」

 そう言ってその使用人達は部屋から出て行こうとした。私より立場が上だと思ってるのかしら?よっぽどプライドが高いのね。でも……

 「待ちなさい!」
 「今度はなんですか」
 「あなたのその態度は何?今度そのような態度を取ったらただでは済ませませんよ」
 「"ただでは"って、一体どうなるのか気になりますね。公爵様にでも言いつけちゃいますか?」

 私が夫に関心を持たれていないことを知っているセリアがそう言う。
 
 「セリア、こっちにきなさい」

 バチン

 私は思いっきりセリアの頬を叩いた。
 初めてセリアの顔が歪んだ。取り巻きの二人は驚いて呆然としている。

 「今度そのような態度をとったら私が直接罰を与えます。分かったら明日からは時間通りに来ることね」
 「……分かり、ました」

 私のことを一度睨んでからセリア達は出ていった。

 「どうやったらあんなにプライドが高くて生意気になれるのかしら?サラも少しは見習うべきだったかもね」
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