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「いい話を聞いた」
最近調子に乗ってるサラを突き落とすチャンスがやってきた。
サラは明日注文書を出すらしい。
つまり、その注目書を偽造することができればサラはまた失敗することになる。
次の日の昼に私は郵便係の元に向かった。
郵便係がいつも昼過ぎに出発することはサラも知っているからこの時間にはすでに注文書を渡しているはずだから。
「ねぇ、あなたが郵便係?」
「はい、そうですけど?」
「さっきサラから色々受け取ってるでしょ?例えば注文書とか」
「受け取りましたけど、あなたに渡すことは出来ません」
感がいいのか、郵便係はすでに私が何をしようとしているのか分かった様子だった。
「これでもダメ?」
私は郵便係の3ヶ月分の給料と同じ金額が入った袋を渡した。
サラを陥れるためならこれくらいはする。
「分かりました……」
郵便係は迷った末に承諾してくれた。
(まぁ、承諾してくれたかったら家族を使って脅すつもりだったけどね)
郵便係から注文書を受け取った私は急いで部屋に戻ると用意しておいたペンと公爵家の家紋が刻まれた印を出した。
食材や装飾の注文書を偽造しても与えられるダメージは少ないから偽造するのは楽器だけで十分。
私は楽器の注文書からバラッドの項目を消した。
[バラッドとはピアノのようなもので、鍵盤を調整したり、配送に専用の馬車を用意する必要があるため注文してから届くまでに時間がかかる]
バラッドを使う貴婦人は多いからこれが無ければサラの評判は落ちる。
私は偽造した注文書を郵便係に渡した。
「くれぐれも誰かに言おうなんて考えないこと」
***
裏で何が行われるかなんて全く知らない私は仕事が終わったのでバイオリンを楽しんでいると軽快な足音と共にアリアが来た。
手にはバイオリンが握られていた。
「ついに届きました!」
「良かったわね!今から時間あるかしら?」
「あ、ごめんなさい。まだ仕事が残ってます」
「そう?じゃあ仕事が終わったら私の部屋に来てくれる?」
「はい!なるべく早く終わらせてきます!」
(これからは2人で弾くことができるようになるのね!)
「終わらせてきました!」
「早かったわね。はい」
「これは?」
「バイオリンを手入れに使う道具よ。私からのプレゼントだから受け取って」
「いいんですか?ありがとうございます!」
それから私は手入れの方法を教えたあとアリアと一緒に簡単な曲の練習をした。
「あなた、素質あるわね」
「ほんとですか?もっと練習して上手になります」
「では、私はそろそろ戻りますね」
アリアは部屋を出る直前に思い出したようにこう言った。
「そう言えば奥様、ダンスの練習は大丈夫なのですか?」
(どうしよう、当たり前のことなのに忘れてた)
パーティーに出ると言うことは公爵様と踊らなければいけない。
本番になると緊張して動けなくなるという欠点があったけど、サラのダンスはかなり上手な方だった。
サラの能力が私に引き継がれてるか分からないから練習はしないといけない。
「ねぇアリア、男性パートってできたりする?」
「無理ですよー。女性パートですらあまり上手く踊れないのに……」
今からダンスの先生を見つけないといけなくなってしまった。さすがに、公爵様に練習の相手をしてもらう訳にはいかないから。
「執事長と一緒に練習してはいかがですか?ダンスの先生ってわけではありませんが……」
「そうしようかしら……」
「では、私は失礼します。今日もありがとうございました!」
「ええ、また今度」
(ハーベルも忙しいし、サラの能力を受け継いでなかったら時間もかかるから先生を雇うことにしよ)
能力を受け継いでいることを願いながらハーベルのところへ行った。
「ダンスの練習ですか?」
「もちろん無理に、とは言わないわ」
「大丈夫ですよ。早速始めますか?」
「ええ、お願い。最近はハーベルに頼ってばかりね……」
「これが仕事ですから、気にしないでください」
最初は踊れないと思ったけど、すぐに踊る時の感覚が掴めてきた。能力は受け継いでいたよう。
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