気弱な公爵夫人に転生しました

randge

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 「そう言えば……最近楽器を始めたのですけど、音が聞こえたりしてますか?」
 「私は食事の時以外は自分の部屋にいるので聞こえません」
 「そうですか、よかったです」
 「弾けるようになったら社交界に戻るのですか?」
 「そのつもりです」
 「今度は失敗しないでくださいね」

 嫌味のように言われたがサラがしてしまった失敗を考えるとそういう言い方をされても仕方ないと思った。
 サラの失敗のせいで公爵様まで巻き込んでしまったから。

 (今度のパーティーは公爵様も他の人たちも全員を見返してやる!)

 今度の結婚記念日のパーティーまで後1ヶ月くらいあるけど、私たちが主催者だからそろそろ準備を始めないといけない。
 バイオリンは少しの間我慢してパーティーの準備をしないといけない。

 食事が終わり部屋でパーティーについて考えていると執事長のハーベルが来た。

 「どうしたの?」
 「奥様と旦那様の結婚記念日にパーティーを開催することについてお話があるので……」
 「話してみて」
 「これはお願いなのですけど、企画書を作ったら絶対に私に見せてください」
 (そっか、私がまた失敗してしまうことを心配してるのね)

 サラが以前主催したパーティーが大失敗してしまったからハーベルは心配しているのだと思う。

 「わかったわ」
 「絶対ですよ」


 もちろん、見せるけど私だけでも大丈夫だと思う。
 私は前世で会社のお偉いさんたちが集まるようなパーティーを企画しなきゃいけないことが何度かあったから結構自信がある。違う点があるとするとパーティーに集まる女性たち用に楽器を用意しなきゃいけないことと、手紙で注文を出すから注文が届くまでにタイムラグがあることくらい。
 用意する楽器は持ってくることができないような大きなものだけで、種類が多いわけではないから問題ないはず。


 準備を始めてから3日くらいで企画書とパーティーに使う楽器や食材、装飾などの注文書を作り終わったからハーベルに見せに行った。

 「ハーベル、今大丈夫かしら?」
 「大丈夫です。どうしましたか?」
 「企画書が完成したから私に来たの」
 「え?もう出来たのですか?」
 (どうせ間に合わないだろうと思っていたのに)
 「ええ、確認したら教えて。大丈夫そうだったら楽器とかの注文も出そうと思ってるから」
 (まさか、注文書も書いたのだろうか?)
 「分かりました、確認をしたらお伝えします」


 ***

 奥様があんなにも早く企画書を完成させるとは思っていなかったが、もともとこうゆう仕事は苦手な方だし手直しは必要だろう。
 現に屋敷の予算を決めているの奥様ではなく、私だし……。

 そんなことを思いながら奥様が作った企画書に目を通したが、手直しをする場所が見つからない。それどころか、奥様が企画書を完成させられなかった時のために私が作っておいた企画書よりも良いものだった。

 (最近の奥様、一体どうしたのだろう?これなら屋敷の予算を決める仕事を奥様に返すことも考えた方が良いだろう)


 ***


 企画書をハーベルに出してから1時間くらい経ってからハーベルが部屋に来た。

 「奥様、今よろしいでしょうか?」
 「大丈夫よ。確認し終わった?」
 「はい。驚きました、完璧です」
 「ありがとう。それじゃあこれもお願い」

 そう言って注文書を出すとハーベルはその場で確認した。

 「こちらも大丈夫そうです。楽器の注文はなるべく早く出した方がいいです。在庫がない時は完成するまで少し時間がかかるので。」
 「明日にそれぞれの店に注文書を送ることにするわ。色々とありがとう」
 「いえいえ、これくらいは大丈夫です」

 
 この会話をサラを目の敵にしている人が聞いていなければ何の問題もなく順調に進むはずだった……




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