爺ちゃんとミノルの会話

マー坊

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「爺ちゃんとミノル」の会話(4)~6

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(126)
 
 
「そうすると前澤さんは成長して子供のような純粋な心に戻ったっていうことかな?」
「そうかもしれんし、元々純粋な心じゃったかもしれんのう」
 
 
「お父さんもお母さんも将来のためにお金を貯めておきなさいって言うよ」
「それがいけん訳じゃないんじゃけどのう。どうもシャンとせんのんじゃ」
「どうしてシャンとしないの?」
「自分さえ良けりゃあええのか?と思えることがあるんじゃ」
「どうしてそう思うの?」
「収入が無うて未来を悲観して自殺するニュースを見た時そう思ったんじゃ」
「そうだね。お金がなくて困ってる人もいっぱいいるしね」
「大食い大会の番組を見ちょる時も思ったど」
 
 
「どんなことを思ったの?」
「食べるものが無うて餓死する子供たちの前でそんな大食い大会の番組が作れるか?」
「そんな事できないよ」
「自分さえ良けりゃあええとは思うちょらんじゃろうが全体を見るとそう感じるんじゃ」
「本当の自分が悲しい思いをしてるんだね」
 
 
 
(127)
 
 
「そうなんじゃ。空気と同じようなもんじゃのう」
「どういうこと?」
「自分の周りの空気だけきれいにするんじゃのうて全体の空気をきれいにしたほうがええっちゅうことなんじゃ」
「あ~そういうことか」
「全体が良うなりゃあ自分も良うなるっちゅうことじゃのう」
「自分も全体の中にあるからなんだね?」
 
 
「そうなんじゃ。全体主義と個人主義っちゅうのがあるけどの」
「チョット待って全体主義とか個人主義って何?」
「全体主義っちゅうのはのう、全体のためにゃあ個人の自由を認めんっちゅうことで、個人主義っちゅうのは個人の権利や自由を尊重するっちゅうことなんじゃ」
「それなら個人を尊重した全体主義っていうのはどう?」
「それが一番ええことじゃのう(笑)」


「やっぱりお金の要る社会って世界平和は難しいと思う」
「そうじゃのう奪い合いやら騙し合いやら多いからのう」
「それはお金のない社会でもあるんじゃないの?」
「誰もが普通に生活が出来て本当の自分が楽しめる社会にすりゃあええと思うがのう(笑)」
 
 
 
(128)
 
 
「そうだね。お金があることが当たり前の社会だからこれを否定すると反発が起きるんだろうね」
「そうじゃのう。ミノルでもお金の要る社会が当たり前じゃと思っちょったんじゃからのう(笑)」
「これからどうすれば良いんだろう?」
「簡単な方法があるど」
「簡単な方法って?」
「それはの。未来の自分になるんじゃ」
「未来の自分?」
 
 
「未来のミノルはどんなミノルになっちょると思うか?」
「お金で困ることのない社会になって世界が平和になって楽しい生活をしてる・・・かな?(笑)」
「それでええんじゃ。その未来のミノルになってものごとを考えるんじゃ」
「どんなことを考えるの?」
「ミノルが望む世界がどのように実現したか?想像して見るんじゃ」
「なんだか変な感じ(笑)」
 
 
「歴史を習った事があるじゃろう?」
「うん」
「今のミノルが過去の歴史を見るように。未来のミノルが今から未来に起きることを見るって感じじゃ」
「未来を想像するってこと?」
 
 
 
(129)
 
 
「未来を想像するんじゃのうて、未来から過去である今からの未来を見るんじゃ」
「想像することと同じことじゃないか(笑)」
「やることは同じじゃけどの(笑)歴史を作っていくということなんじゃ」
「なんだか未来日記みたい(笑)」
 
 
「そうじゃのう(笑)夢や理想に向かって行くんじゃのうて夢や理想の世界の自分が導いてくれるって感じじゃ」
「未来を知らない僕じゃなくて未来を知ってる僕がどうしたら良いかを考えるんだね」
「そういうこっちゃ(笑)」
「未来の自分が過去を思い出すって感じかもしれないね(笑)」
「未来を思い出すっちゅうのも面白いのう(笑)」
 
 
「僕が未来を思い出すってどうすれば良いんだろう?」
「簡単なことじゃないけどの(笑)こんなふうに考えたらどうじゃろう?」
「どんなふうに?」
「ミノルはまだ12年しか生きちょらんじゃろう?」
「うん」
「ミノルが生まれる前を想像するんじゃ」
「難しそう(笑)」
「お爺ちゃんは生まれて70年以上過ぎちょるからのう(笑)」
「お爺ちゃんより僕のほうが生まれる前を覚えてるかもしれないって?(笑)」
「そうじゃ(笑)」
 
 
 
(130)
 
 
「思い出すと言うより想像するしかないよ(笑)」
「そうじゃのう。生まれる前に生まれたら何をしたかったのかを思い出すんじゃ」
「なんだか使命という言葉を思い出したよ」
「そうじゃのう。命が体を使ってやりたいことをやるんじゃろうのう(笑)」
「生まれた目的を果たすってこと?」
「そうじゃ」
 
 
「お爺ちゃんも使命を持って生まれたんだね」
「こうやってミノルに話をすることも使命の一つじゃろうのう(笑)」
「なんだか生まれたことに責任があるような感じだよ(笑)」
「この世に必要のないものは存在せんからのう」
「誰もが使命を持っているってこと?」
「体の細胞たちを思い出せばそういうことになるじゃろう?」
「そうだね」
 
 
「そりゃあそうと、ええ加減話したけど電話代は大丈夫かのう?」
「電話代は大丈夫だよ。かけ放題だから(笑)」
「そろそろ終わろうかのう」
「うん。また電話するね」
「それじゃの。しっかり勉強せえよ」
「わかった。お爺ちゃんも体に気をつけてね」
「健康第一じゃからのう(笑)」
「じゃあね」


以上
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