元ゲーマーのじいじ、気ままなスローライフを始めました〜じいじはもふもふ達の世話係です〜

k-ing /きんぐ★商業5作品

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10.じいじ、散歩の必要性を思い出す

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「じいじ、帰ろう?」
「ぬぁ……」

 わしはハルキに声をかけられて目を覚ました。
 どうやら疲れて眠ってしまったようだ。
 いつもベッドの上にいることが多いから、疲れたのだろう。

『にゃあ……』

 呆れた顔でポンが見つめてくるが、二人が遊び終わるのをわしは待っていただけだ。
 時間としては30分程度寝ていたのだろう。

「じゃあ、町に帰ろうか」

 町に帰るためにマップを表示して現在の居場所を確認する。

「ここはどこだ……」

 マップには現在のわしの存在を知らせるマークと隠しの家だけが表示されていた。
 あとは真っ黒になっており、その場所に行かないとマップに表示されないのだろう。
 知らない場所に行ったら、地図を見ても中々わからないからな。
 こんなところまで、最近のゲームはリアルにできていた。

「じいじ、迷子?」

 心配そうにハルキはわしの顔を覗き込んでくる。
 迷子と言ったら迷子だろう。
 ただ、ここで迷子と言ってしまえば、また認知症扱いになってしまう。
 迷子=認知症って世間一般的なイメージだからな。

「いや……どうにかなる!」
『にゃはあー』

 どうやらポンにバレたのか、ため息をついていた。
 ベヒモスって人間みがあるんだな。

『にゃあにゃ!』
「ん? ポンの背中に乗るの?」
『にゃ!』

 ハルキはポンの言っていることがわかるのだろう。
 ポンは背中に乗りやすいように、地面に寝そべり体を屈める。
 その上を楽しそうにハルキは登っていく。
 公園の滑り台に何度も登っていた少し昔のハルキを思い出す。
 あの時はわしも病気になる前だったから、一緒に駆け回っていたっけ。

「じいじ!」

 ハルキに呼ばれていることに気づき、わしもポンに近づく。

「わしも背中に――」

 背中に乗ろうとしたら、ポンに手で押し除けられてしまった。
 肉球の圧迫感に少し嬉しくなってしまったが、今はそれどころではない。

「なっ!? わしはダメなのか!」
『にひゃ』

 ニヤリと怪しげにポンは笑う。
 ポンは何度もチラチラと後ろを見ている。
 ひょっとして、わしに走ってついて来いってことだろうか。
 まるで、わしを散歩させるみたいな……。

「ああ、運動不足のために散歩しろってことか」
『にゃにゃ!?』

 歳をとると体力がなくなるからな。
 せめてゲームの中だけでも、しっかり歩いた方が良いと教えてくれたのだろう。

「ポン、じいじは動きすぎたら死んじゃうよ?」
「『!?』」

 動きすぎたら死ぬって……そんなバカなことはないよな?
 マナ草を採取している時も、たくさん動き回っていたぞ。
 いくら高齢者だからってそんなデバフが存在していたらクレームをつけるしかない。

「だって、今のじいじってHPが1しかないもん」
「あっ……」

 ピンチの時にステータスが上がるからとそのままにしていたのを忘れていた。
 だから、マナ草の採取スピードも速かったし、疲れて寝てしまったのだろう。
 少し眠ったことで忘れていたようだ。

『にゃはぁー』

 飽きられた顔でポンも見てくるが、HPが低い原因はお前だからな。

「じいじ、やっぱり認知症……」

 どこかのネコと違って、さすがわしの孫は優しいな。
 だが、決して認知症ではないからな!
 歳を取れば忘れやすくなるものだ。

『にゃあああああ!』

 ポンはわしの目の前に来て、大きく口を開けた。

「おい、何する気だ……」

――パクッ!

「じいじ!?」

 ああ、まさかネコに食われて死ぬとは誰も思わ――。

「死んでない!?」
『にひゃ』

 気づいた時にはわしは宙に浮いていた。
 ポンは今頃、心の中で笑っているだろう。
 わしを咥えたまま、まるでご主人様にネズミを捕まえたから、褒めて欲しいってあの構図をやるつもりだな。
 うっかりして地面に落とされたりしたら、HPが0になるだろう。
 だが、わしはそんなことに負けるはずない。
 元ゲーマーのスーパーじいじだからな!

◤ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄◥
         【あとがき】

お気に入り、感想をよろしくお願いします!

荒ぶれるベヒモス!
マタタビをあげた時の様子ですwww



◣__________________________◢
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