11 / 281
第一章 外れスキル
11.町へ向かいます
しおりを挟む
俺は森で過ごすようになってから約一年が経過していた。
スキルのお陰で体の激痛は特になくただの筋肉痛程度で済んでいた。そもそも本当に魔素というものが存在しているのかも不思議なぐらいだ。
森にいた時は時折、魔物に狙われることもあったがそれはコロポのスキル【コロポックル】で姿を惑わし戦うことなく生活できていた。
特に生活は変わりなくコロポと森の散策をしては食材を集め、ひたすらスキル【理学療法】の慈愛の心を使っていた。
変わったことと言えば……。
「ほーい、こっちこっち!」
「キャンキャン!」
「あー、お前達は可愛いな。ふかふかだしな」
「ガゥ?」
俺は狼の頭をワシャワシャと撫でていた。
あれから俺は実験として自身やコロポ以外に森で出会った動物達に慈愛の心を使っていた。
はじめは怪我をしていた狼に対してスキルを発動したら次の日には狼の列が出来ていた。
アニマルマッサージをしたことがないはずだが、いつのまにか俺の回りは動物達の憩いの場になっていた。
「あー、これももらってもいいのか?」
「ガゥ! ガゥ!」
「サンキュー!」
動物達はお礼としてきのみや果物を中心に持ってきてくれた。たまに肉を持ってきてくれた時は格別だった。
服などは魔物に殺された人達の物を洗って着ていた。
「よし、これで最後か! 今日でお別れだな」
狼やリス、鳥などが常連客として来ていたが動物達は俺の旅立ちに悲しんでいた。
俺は長いこといたこの森を今日離れるつもりだ。
「小僧のスキルはやっぱり変わってるな」
「この子らのお陰でどうにか生きていけたのもあるからな。準備も出来たから街に向かおうか!」
俺は蕗の葉で包んだ肉や果物を持って、街の方へ向かうことにした。
♢
町までは意外に近く奴隷商があった街とも近かった。
南側に俺が捨てられた森があり、北西に向かうと町、北東に向かうと奴隷商の街があった。
ちなみに俺が住んでいた村は東に行くと点在している村の一つだった。
その中でケントは北西にある町に向かっていた。
「小僧大丈夫か?」
「森を歩き慣れてるから大丈夫だけど流石に靴がないのはな……」
道に迷いながらも町に向かって歩き初めて気づいたら半日が経った。
森にいた時は柔らかい土のところを蕗で作った葉の靴で歩いていたため問題はなかったが、石や砂利で出来た道を歩くには流石に葉の靴では痛かった。
「ほれ、もう町が見えとるぞ!」
「ほんとだね」
俺の足はついた頃にはボロボロになっており葉からも血がにじみ出ていた。
町は奴隷商があったところに比べると質素だがある程度の外壁で囲んであった。
森もそんなに遠くないため魔物や動物が侵入できないように最低限な作りにはなっているのだろう。
「じゃあ、わしは姿を隠すからな」
そう言ってコロポは俺の服の中に隠れていた。
女の子の妖精であれば俺も嬉しいが胸の中に入っているのが小さいおっさんとはな……。
次第に外壁に近づくと門の前には長蛇の列ができていた。
俺はその列に並ぶことにしたが、格好も貧相で汚く、ケント自身が年の割には小柄で貧相なため周りからは蔑むような目で見られていた。
「じゃあ、身分を証明書するものを出してくれ!」
犯罪者を入れないよう門には門番が身分の確認をしていた。奴隷になった俺は身分証明書を奴隷商が持っていた。
もちろん死んで捨てられた身だから身分証明書も今どこにあるかわからない。
「おい、坊主身分証を出せ」
門番は俺に詰め寄ってきたが俺はどうすることもできなかった。
「あのー、身分証が無くて……」
門番の男は俺を頭上から足先までくまなく見ていた。
「お前ちょっと来い! おい、コラムちょっと変わってくれ」
門番は他の人に声をかけていた。
「えー、またですか。こっちも忙しいのに……痛っ!?」
「お前は黙って仕事せい」
「はーい」
二十代前半と思われる男性は門番をしていた四十代の男に殴られていた。
それを見ていた俺も今後どうなるか分からず知らない間に体が震えだしていた。
「坊主大丈夫だ! こっちに来い」
門番は震えている俺を見ると、そのまま抱え込み門の近くにある建物へ連れて行かれた。
普通であれば十歳になる子であれば抱えるのも大変だが俺は小さいためあっさりと連れて行かれた。
「ごめんなさい……ごめんなさい……」
俺はケトの意識に引っ張られいつのまにか幼児退行していた。
胸の中に入っていたコロポも初めての俺のの様子を見て驚いていた。
「おい、坊主!」
「はい!」
俺はびっくりして声が裏返っていた。
「そのー、すまんな」
門番の男は俺を椅子に座らせると頭をガシガシと撫でた。
その手の温もりに俺はいつも通りの落ち着きを取り戻した。
「取り乱してすみませんでした」
「ああ、こっちこそ急に連れ出してすまんな。ここに手を置いてもらってもいいか?」
門番は水晶玉を持ち出し手を置くように指示をしてきた。俺は言われた通りにそこへ手を置くと、水晶玉は青く光った後にしばらくすると落ち着いた。
「これは……?」
「犯罪歴がないか確認しているところだ。赤くなると何かしらの犯罪歴があるってことで街の中には入れれないんだ。基本的には赤く光れば犯罪奴隷としての扱いになるしな。犯罪奴隷が終われば教会にいくことで元に戻すこともできるから何とも言えないがな」
俺は犯罪奴隷の扱いを受けていたが、普通奴隷のため赤くは反応しなかった。
「坊主、親はどうしたんだ?」
門番はわかりながらも俺に質問してきた。内心正直に伝えても良い気がしたが、小声で胸元にいるコロポに俺は相談することにした。
「コロポどうするべき?」
「こいつには悪意を感じないからいいと思うぞ」
コロポには妖精特有なのか相手に悪意があるのかどうかが分かる力があった。
だから俺はコロポを信じて門番である男に今までの経緯を話すことにした。
スキルのお陰で体の激痛は特になくただの筋肉痛程度で済んでいた。そもそも本当に魔素というものが存在しているのかも不思議なぐらいだ。
森にいた時は時折、魔物に狙われることもあったがそれはコロポのスキル【コロポックル】で姿を惑わし戦うことなく生活できていた。
特に生活は変わりなくコロポと森の散策をしては食材を集め、ひたすらスキル【理学療法】の慈愛の心を使っていた。
変わったことと言えば……。
「ほーい、こっちこっち!」
「キャンキャン!」
「あー、お前達は可愛いな。ふかふかだしな」
「ガゥ?」
俺は狼の頭をワシャワシャと撫でていた。
あれから俺は実験として自身やコロポ以外に森で出会った動物達に慈愛の心を使っていた。
はじめは怪我をしていた狼に対してスキルを発動したら次の日には狼の列が出来ていた。
アニマルマッサージをしたことがないはずだが、いつのまにか俺の回りは動物達の憩いの場になっていた。
「あー、これももらってもいいのか?」
「ガゥ! ガゥ!」
「サンキュー!」
動物達はお礼としてきのみや果物を中心に持ってきてくれた。たまに肉を持ってきてくれた時は格別だった。
服などは魔物に殺された人達の物を洗って着ていた。
「よし、これで最後か! 今日でお別れだな」
狼やリス、鳥などが常連客として来ていたが動物達は俺の旅立ちに悲しんでいた。
俺は長いこといたこの森を今日離れるつもりだ。
「小僧のスキルはやっぱり変わってるな」
「この子らのお陰でどうにか生きていけたのもあるからな。準備も出来たから街に向かおうか!」
俺は蕗の葉で包んだ肉や果物を持って、街の方へ向かうことにした。
♢
町までは意外に近く奴隷商があった街とも近かった。
南側に俺が捨てられた森があり、北西に向かうと町、北東に向かうと奴隷商の街があった。
ちなみに俺が住んでいた村は東に行くと点在している村の一つだった。
その中でケントは北西にある町に向かっていた。
「小僧大丈夫か?」
「森を歩き慣れてるから大丈夫だけど流石に靴がないのはな……」
道に迷いながらも町に向かって歩き初めて気づいたら半日が経った。
森にいた時は柔らかい土のところを蕗で作った葉の靴で歩いていたため問題はなかったが、石や砂利で出来た道を歩くには流石に葉の靴では痛かった。
「ほれ、もう町が見えとるぞ!」
「ほんとだね」
俺の足はついた頃にはボロボロになっており葉からも血がにじみ出ていた。
町は奴隷商があったところに比べると質素だがある程度の外壁で囲んであった。
森もそんなに遠くないため魔物や動物が侵入できないように最低限な作りにはなっているのだろう。
「じゃあ、わしは姿を隠すからな」
そう言ってコロポは俺の服の中に隠れていた。
女の子の妖精であれば俺も嬉しいが胸の中に入っているのが小さいおっさんとはな……。
次第に外壁に近づくと門の前には長蛇の列ができていた。
俺はその列に並ぶことにしたが、格好も貧相で汚く、ケント自身が年の割には小柄で貧相なため周りからは蔑むような目で見られていた。
「じゃあ、身分を証明書するものを出してくれ!」
犯罪者を入れないよう門には門番が身分の確認をしていた。奴隷になった俺は身分証明書を奴隷商が持っていた。
もちろん死んで捨てられた身だから身分証明書も今どこにあるかわからない。
「おい、坊主身分証を出せ」
門番は俺に詰め寄ってきたが俺はどうすることもできなかった。
「あのー、身分証が無くて……」
門番の男は俺を頭上から足先までくまなく見ていた。
「お前ちょっと来い! おい、コラムちょっと変わってくれ」
門番は他の人に声をかけていた。
「えー、またですか。こっちも忙しいのに……痛っ!?」
「お前は黙って仕事せい」
「はーい」
二十代前半と思われる男性は門番をしていた四十代の男に殴られていた。
それを見ていた俺も今後どうなるか分からず知らない間に体が震えだしていた。
「坊主大丈夫だ! こっちに来い」
門番は震えている俺を見ると、そのまま抱え込み門の近くにある建物へ連れて行かれた。
普通であれば十歳になる子であれば抱えるのも大変だが俺は小さいためあっさりと連れて行かれた。
「ごめんなさい……ごめんなさい……」
俺はケトの意識に引っ張られいつのまにか幼児退行していた。
胸の中に入っていたコロポも初めての俺のの様子を見て驚いていた。
「おい、坊主!」
「はい!」
俺はびっくりして声が裏返っていた。
「そのー、すまんな」
門番の男は俺を椅子に座らせると頭をガシガシと撫でた。
その手の温もりに俺はいつも通りの落ち着きを取り戻した。
「取り乱してすみませんでした」
「ああ、こっちこそ急に連れ出してすまんな。ここに手を置いてもらってもいいか?」
門番は水晶玉を持ち出し手を置くように指示をしてきた。俺は言われた通りにそこへ手を置くと、水晶玉は青く光った後にしばらくすると落ち着いた。
「これは……?」
「犯罪歴がないか確認しているところだ。赤くなると何かしらの犯罪歴があるってことで街の中には入れれないんだ。基本的には赤く光れば犯罪奴隷としての扱いになるしな。犯罪奴隷が終われば教会にいくことで元に戻すこともできるから何とも言えないがな」
俺は犯罪奴隷の扱いを受けていたが、普通奴隷のため赤くは反応しなかった。
「坊主、親はどうしたんだ?」
門番はわかりながらも俺に質問してきた。内心正直に伝えても良い気がしたが、小声で胸元にいるコロポに俺は相談することにした。
「コロポどうするべき?」
「こいつには悪意を感じないからいいと思うぞ」
コロポには妖精特有なのか相手に悪意があるのかどうかが分かる力があった。
だから俺はコロポを信じて門番である男に今までの経緯を話すことにした。
19
あなたにおすすめの小説
スライムに転生した俺はユニークスキル【強奪】で全てを奪う
シャルねる
ファンタジー
主人公は気がつくと、目も鼻も口も、体までもが無くなっていた。
当然そのことに気がついた主人公に言葉には言い表せない恐怖と絶望が襲うが、涙すら出ることは無かった。
そうして恐怖と絶望に頭がおかしくなりそうだったが、主人公は感覚的に自分の体に何かが当たったことに気がついた。
その瞬間、謎の声が頭の中に鳴り響いた。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
他人の寿命が視える俺は理を捻じ曲げる。学園一の美令嬢を助けたら凄く優遇されることに
千石
ファンタジー
【第17回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞】
魔法学園4年生のグレイ・ズーは平凡な平民であるが、『他人の寿命が視える』という他の人にはない特殊な能力を持っていた。
ある日、学園一の美令嬢とすれ違った時、グレイは彼女の余命が本日までということを知ってしまう。
グレイは自分の特殊能力によって過去に周りから気味悪がられ、迫害されるということを経験していたためひたすら隠してきたのだが、
「・・・知ったからには黙っていられないよな」
と何とかしようと行動を開始する。
そのことが切っ掛けでグレイの生活が一変していくのであった。
他の投稿サイトでも掲載してます。
※表紙の絵はAIが生成したものであり、著作権に関する最終的な責任は負いかねます。
田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした
月神世一
ファンタジー
「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」
ブラック企業で過労死した日本人、カイト。
彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。
女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。
孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった!
しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。
ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!?
ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!?
世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる!
「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。
これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる