13 / 281
第一章 外れスキル
13.冒険者ギルド
しおりを挟む
次の日はロニーの提案で冒険者ギルドに行くことになった。異世界といえば冒険者だが、俺には戦う力がないため正直不安しかなかった。
冒険者ギルドは町の中心にあり、レンガ調の二階建の大きな建物となっていた。
扉を開けるとそこには鎧やローブを着た人達で溢れかえっていた。
「おい、また子供が来たぞ」
「あいつら俺らの仕事をなんだと思ってるんだ」
ケトからの知識でもこの国は子どもでも容赦ないと知っていたが現実はやはり厳しいのだろう。奴隷時代に出会ったクロスや一緒に住んでるロニー達だけが優しいのだろう。
「じゃあ勇気を振り絞ってあそこに並んでおいで」
俺はロニーに言われるがまま受付に並ぼうとしたが、ここでも長蛇の列が出来ていた。
受付が四つある中で一つだけは何故か空いており俺なぜそこに並ばないのか気になっていた。
「あのー、何故あそこだけ空いてるんですか?」
俺は前に並んでいた冒険者に声をかけた。
「ああ、あそこは並ばない方がいいぞ。お前みたいな小僧じゃちびって終わりだ」
俺の中では冒険者ギルド入った雰囲気から邪険にされると思っていたが、意外にも声をかけた冒険者は優しく、俺は内容よりもそっちに驚いた。
「ああ、ありがとうございます。並ぶの嫌いなのであっちに行ってきます!」
正直俺は昔から列に並ぶのがあまり好きではなかった。病院の待合室とかでずっと待っている人を見るとどうにかならないのかと思うほどだ。
「おおお、おい! あちゃー、あいつもう冒険者になれねーぞ」
男はロニーに話しかけていたが、俺はそんなことも知らずに一つだけ並んでいない受付に向かった。
♢
「あのー、冒険者登録したいんですが……」
「ああん!」
「ひぃ!?」
見た目からして厳つい男に俺は戸惑った。ただ、現世でも看護師には無言の圧をかけられることも多々あったし、整形外科の先生なんて風貌からしてこの人より怖かった。
俺は前世で行われてたカンファレンスを思い出していた。入職当時は医者や看護師にいびられたのも良い思い出だ。
「おい、小僧!」
「あっ、はい!」
「要件はなんだ」
「えーっと、冒険者登録をしてギルドカードを発行してもらいたいです」
これで俺の任務は終わった。ギルドカードだけ作れれば問題ないのだ。
「お前じゃ無理だ!」
しかし、受付の男は少し威圧を高めて放った。そのため隣の列に並んでいた冒険者達は一瞬ビクっとなっていた。
たしかに怖いけど集団で質問攻めに合うよりは俺はよかった。毎回あの胃がキリキリするところに参加するぐらいならこの人と話しているほうが楽だと感じた。
「冒険者になれないんですか……?」
「おい、お前歳はいくつなんだ?」
「十一歳になりました」
「それだとEランクだから手伝い程度しかできないしな」
基本的にランクが上がる冒険者になるには十五歳からで十歳から十四歳までは仮登録と言われ、職業体験のようなものだった。
そのため俺ができる冒険者の仕事は町の雑用か採取が中心らしい。むしろ俺としては魔物と戦えないから丁度いい。
「お前スキルは?」
「スキル……」
「冒険者になりたいって言うからには、【剣士】【魔術師】【狩猟】関係か?」
俺はスキルの話しになると何も言えなかった。
「スキル【理学療法】です」
「あはは、なんだそれ」
――バン!
男は強く受付テーブルを叩いた。ただでさえ注目されているのに、大きな音を出したらさらに注目を浴びてしまう。
「冒険者を舐めているのか! 何のために冒険者になりたいんだ」
「ギルドカードとお金が欲しいです」
俺は正直に答えた。だって、そこで強くなりたいとかS級の冒険者になりたいって思ってもないことを言って戦わされるのは嫌だからな。
「くすっ」
俺の言葉を聞いた冒険者達は吹き出していた。
「そんなスキルじゃ戦えないから無理だ。町で働き場所を探せ」
男は俺を追い払うように手を動かした。
「スキルが使えないからどこも雇ってもらえないんです。生活するお金だけあればいいんで……」
俺は必死にお願いすると受付の男も戸惑っていた。
普段であれば他の受付嬢がすぐに仮登録をするがこの男はそれが出来なかった。
それはこの男がエッセン町の冒険者ギルドマスターだったからだ。
そもそも、十五歳に満たない子供で戦闘スキルがある者でさえ、森の採取で命を失うことがある。
そんな中でギルドマスターである男は戦闘スキルがない俺を冒険者にして命を失えば、命の無駄使いをさせるために冒険者にすることと同じになってしまう。
「でも、お金が……」
「じゃあ、お前はスキルで何ができるんだ」
「リハビリが出来ます!」
俺は大きな声でギルドに聞こえるように男に言った。
「リハビリ?」
「あっ、えーっとマッサージとか?」
あたりは一度静まりかえるがその後ギルド内は笑いで包まれた。
「あはは、マッサージって! もはや冒険者じゃないだろ」
「そんなやつはお婆ちゃんの肩でも揉んでろよ」
冒険者達は俺を指差し笑い者にしていた。一応これでも国家資格を持った立派な理学療法士だったのに……。
「ならその【理学療法】を使ったマッサージをしてみろよ!」
ギルドマスターは俺に挑発するように言い放つと俺も負けじと乗っていた。
伊達に毎日必死に勉強して働いてわけじゃないんだからな。俺は気づけばどこか燃えていた。
ギルドマスターはまだ気づいてなかった。妖精のコロポックルや動物達をも魅了するケントのマッサージの凄さ……。
冒険者ギルドは町の中心にあり、レンガ調の二階建の大きな建物となっていた。
扉を開けるとそこには鎧やローブを着た人達で溢れかえっていた。
「おい、また子供が来たぞ」
「あいつら俺らの仕事をなんだと思ってるんだ」
ケトからの知識でもこの国は子どもでも容赦ないと知っていたが現実はやはり厳しいのだろう。奴隷時代に出会ったクロスや一緒に住んでるロニー達だけが優しいのだろう。
「じゃあ勇気を振り絞ってあそこに並んでおいで」
俺はロニーに言われるがまま受付に並ぼうとしたが、ここでも長蛇の列が出来ていた。
受付が四つある中で一つだけは何故か空いており俺なぜそこに並ばないのか気になっていた。
「あのー、何故あそこだけ空いてるんですか?」
俺は前に並んでいた冒険者に声をかけた。
「ああ、あそこは並ばない方がいいぞ。お前みたいな小僧じゃちびって終わりだ」
俺の中では冒険者ギルド入った雰囲気から邪険にされると思っていたが、意外にも声をかけた冒険者は優しく、俺は内容よりもそっちに驚いた。
「ああ、ありがとうございます。並ぶの嫌いなのであっちに行ってきます!」
正直俺は昔から列に並ぶのがあまり好きではなかった。病院の待合室とかでずっと待っている人を見るとどうにかならないのかと思うほどだ。
「おおお、おい! あちゃー、あいつもう冒険者になれねーぞ」
男はロニーに話しかけていたが、俺はそんなことも知らずに一つだけ並んでいない受付に向かった。
♢
「あのー、冒険者登録したいんですが……」
「ああん!」
「ひぃ!?」
見た目からして厳つい男に俺は戸惑った。ただ、現世でも看護師には無言の圧をかけられることも多々あったし、整形外科の先生なんて風貌からしてこの人より怖かった。
俺は前世で行われてたカンファレンスを思い出していた。入職当時は医者や看護師にいびられたのも良い思い出だ。
「おい、小僧!」
「あっ、はい!」
「要件はなんだ」
「えーっと、冒険者登録をしてギルドカードを発行してもらいたいです」
これで俺の任務は終わった。ギルドカードだけ作れれば問題ないのだ。
「お前じゃ無理だ!」
しかし、受付の男は少し威圧を高めて放った。そのため隣の列に並んでいた冒険者達は一瞬ビクっとなっていた。
たしかに怖いけど集団で質問攻めに合うよりは俺はよかった。毎回あの胃がキリキリするところに参加するぐらいならこの人と話しているほうが楽だと感じた。
「冒険者になれないんですか……?」
「おい、お前歳はいくつなんだ?」
「十一歳になりました」
「それだとEランクだから手伝い程度しかできないしな」
基本的にランクが上がる冒険者になるには十五歳からで十歳から十四歳までは仮登録と言われ、職業体験のようなものだった。
そのため俺ができる冒険者の仕事は町の雑用か採取が中心らしい。むしろ俺としては魔物と戦えないから丁度いい。
「お前スキルは?」
「スキル……」
「冒険者になりたいって言うからには、【剣士】【魔術師】【狩猟】関係か?」
俺はスキルの話しになると何も言えなかった。
「スキル【理学療法】です」
「あはは、なんだそれ」
――バン!
男は強く受付テーブルを叩いた。ただでさえ注目されているのに、大きな音を出したらさらに注目を浴びてしまう。
「冒険者を舐めているのか! 何のために冒険者になりたいんだ」
「ギルドカードとお金が欲しいです」
俺は正直に答えた。だって、そこで強くなりたいとかS級の冒険者になりたいって思ってもないことを言って戦わされるのは嫌だからな。
「くすっ」
俺の言葉を聞いた冒険者達は吹き出していた。
「そんなスキルじゃ戦えないから無理だ。町で働き場所を探せ」
男は俺を追い払うように手を動かした。
「スキルが使えないからどこも雇ってもらえないんです。生活するお金だけあればいいんで……」
俺は必死にお願いすると受付の男も戸惑っていた。
普段であれば他の受付嬢がすぐに仮登録をするがこの男はそれが出来なかった。
それはこの男がエッセン町の冒険者ギルドマスターだったからだ。
そもそも、十五歳に満たない子供で戦闘スキルがある者でさえ、森の採取で命を失うことがある。
そんな中でギルドマスターである男は戦闘スキルがない俺を冒険者にして命を失えば、命の無駄使いをさせるために冒険者にすることと同じになってしまう。
「でも、お金が……」
「じゃあ、お前はスキルで何ができるんだ」
「リハビリが出来ます!」
俺は大きな声でギルドに聞こえるように男に言った。
「リハビリ?」
「あっ、えーっとマッサージとか?」
あたりは一度静まりかえるがその後ギルド内は笑いで包まれた。
「あはは、マッサージって! もはや冒険者じゃないだろ」
「そんなやつはお婆ちゃんの肩でも揉んでろよ」
冒険者達は俺を指差し笑い者にしていた。一応これでも国家資格を持った立派な理学療法士だったのに……。
「ならその【理学療法】を使ったマッサージをしてみろよ!」
ギルドマスターは俺に挑発するように言い放つと俺も負けじと乗っていた。
伊達に毎日必死に勉強して働いてわけじゃないんだからな。俺は気づけばどこか燃えていた。
ギルドマスターはまだ気づいてなかった。妖精のコロポックルや動物達をも魅了するケントのマッサージの凄さ……。
20
あなたにおすすめの小説
スライムに転生した俺はユニークスキル【強奪】で全てを奪う
シャルねる
ファンタジー
主人公は気がつくと、目も鼻も口も、体までもが無くなっていた。
当然そのことに気がついた主人公に言葉には言い表せない恐怖と絶望が襲うが、涙すら出ることは無かった。
そうして恐怖と絶望に頭がおかしくなりそうだったが、主人公は感覚的に自分の体に何かが当たったことに気がついた。
その瞬間、謎の声が頭の中に鳴り響いた。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
他人の寿命が視える俺は理を捻じ曲げる。学園一の美令嬢を助けたら凄く優遇されることに
千石
ファンタジー
【第17回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞】
魔法学園4年生のグレイ・ズーは平凡な平民であるが、『他人の寿命が視える』という他の人にはない特殊な能力を持っていた。
ある日、学園一の美令嬢とすれ違った時、グレイは彼女の余命が本日までということを知ってしまう。
グレイは自分の特殊能力によって過去に周りから気味悪がられ、迫害されるということを経験していたためひたすら隠してきたのだが、
「・・・知ったからには黙っていられないよな」
と何とかしようと行動を開始する。
そのことが切っ掛けでグレイの生活が一変していくのであった。
他の投稿サイトでも掲載してます。
※表紙の絵はAIが生成したものであり、著作権に関する最終的な責任は負いかねます。
田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした
月神世一
ファンタジー
「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」
ブラック企業で過労死した日本人、カイト。
彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。
女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。
孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった!
しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。
ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!?
ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!?
世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる!
「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。
これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる