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第一章 外れスキル

66.合流

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 森に近づくといつもの雰囲気とは異なっていた。それは森に来たことがないラルフでさえも感じるぐらいだ。

「本当に入るんか……」

 コロポもいつもとの違いに戸惑っている。感じたこともない何かが肌を刺激する。小さな細かい針に刺される感覚に近い。

「俺は行くけど無理そうなら待ってて」

 最悪一人で行くことも考えた。怪我をしている可能性を考えると俺一人でも充分だ。

「ガゥ!」

 ボスが寄り添ってきた。どうやらボスは俺についてくるようだ。

「後輩に先を越されたら先輩は行くしかないのじゃ!」

 それに続きコロポも森に入ることになった。あとはラルフだけだった。彼は体を震えて額からは汗が垂れていた。

「ラルフはここで待っててくれ」

「でも……」

「無理したらだめだからな」

 俺はコロポとボスともに森の奥に入った。ラルフは森の入り口に待ってもらうことにした。

「ボス場所はわかるか?」

「ワォーン!」

 ボスは雄叫びをあげるとぞろぞろと狼が出てきていた。きっとさっきの雄叫びは元の仲間に何かの信号を送ったのだろう。

「おい、オラもやっぱり行く!」

「なんで来た――」

「何もできないオラはもう嫌なんだ。大事な家族を失いたくないんだ」

 待ってもらうつもりのラルフが追いついてきた。ラルフの過去はあえて聞いていないが、マルクスと帰ったらしっかり話し合う必要があるだろう。

 俺のこともまだ伝えてはいないからな。


――ガキン!


 金属の弾かれる音が聞こえてくると俺達はそこに向かうことにした。

「おい、こっちだ!」

 どこからかマルクスの声が聞こえるのだ。

 さらに近づくとマルクスは盾で魔物の攻撃を防いでいた。

「ラルフあの魔物の詳細って見えるか?」

 ラルフにスキルを発動してもらったが、一度も見たことが無いため細かい表示はされないようだ。

「あいつは熊って出てるよ」

「バイオレンスベアーじゃないのか?」

 冒険者ギルドで聞いた話では災害級のバイオレンスベアーと言っていた。しかし、ラルフのスキルから得られた情報は"熊"とただの動物だった。

「あっ、ちょっと待って」

 何かを詳しく見ているのか目を大きく開いてる。

「強制進化の首輪って知ってる?」

 ラルフのスキルで見えていたのは熊という名前となぜか"強制進化の首輪"だった。

 確かによく見るとバイオレンスベアーの首元には首輪がついており時折赤く光っていた。

 前世の智識では奴隷の腕輪や魔物を操る首輪などの存在を知っていた。ラノベにあるテンプレートが実際に目の前に現れるとは思ってもいなかった。

「マルクスさん!」

 俺はマルクスに声をかけた。マルクスはたまに視線を向けるが、コロポのスキルで俺達の姿は見えていないのだろう。

「ケント、ラルフなんできたんだ」

「俺達は家族じゃないですか!」

 俺はスキルボードを開き異次元医療鞄に医療ポイント10を振り空き数を増やした。

「今はそんな余裕はねえ。はやく逃げろ」

「少しだけ時間をください」

「わかった!」

 もう準備は整った。後はバイオレンスベアーに近づくだけだ。

 そんな時にマルクスのまさかの行動に俺は笑ってしまった。

「熊やろー! アホグマ! クソグマ! クマクマクマ!」
 
「ふっ!」

 急にバイオレンスベアーに悪口を言い出したのだ。もはや園児かと思うぐらいのレベルに俺は耐えられなかった。

 プラナスがマルクスも脳筋だって言ってたのはこういうところなのかもしれない。

「おりゃー!」

 それでもマルクスは強く盾をバイオレンスベアーに叩きつけた。

 ハンマーではなく盾で叩きつけることで、全体的に姿勢が崩れた。

 その瞬間に俺は走り出した。近くにはボスも一緒に走っている。

 バイオレンスベアーに近づくがあまりの大きさに近づくことができなかった。

 それを感じ取ったボスはバイオレンスベアーのお尻に噛み付いた。そのまま雄叫びとともにバイオレンスベアーは倒れた。

「今がチャンス!」

 俺はさらにバイオレンスベアーに近づき手を伸ばした。そう、"強制進化の首輪"を異次元医療鞄の中に回収するためだ。
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