76 / 281
第一章 外れスキル
76.スローライフ?
しおりを挟む
一夜だけ宿屋に泊まると朝方には出発していた。
乗り合い馬車に特に乗る人もいないため、人数は変わらない。
「なんか元気になったな!」
休憩している時にリモンが話しかけてきた。
「はい。リモンさんにもご迷惑おかけしました」
「ん? そんな迷惑とも思ってないぞ? むしろ俺の方が迷惑かけてるからな」
「迷惑だなんて……あっ、樽を貰うの忘れてた!」
リモンの治療のために店主に声をかけたのに色々なことがあって本来の目的を忘れていた。
「だろうと思ってもらっておいたぞ」
リモンは馬車の奥を指差すとそこには樽がいくつか置いてあった。
「ありがとうございます」
異次元医療鞄が一枠空いていたため、そのまま空間へ片付けた。
「えっ? アイテムボックスも使えたんか?」
「あっ……」
俺は無意識で使っていたため、初めてリモンに異次元医療鞄をみられてしまった。
「ちゃんとした冒険者になったら絶対俺達とパーティーを組んでくれ! 魔法も使えるし、荷物も持たなくて良いって最高じゃないか! あっ、ケントのスキルだけが目的じゃないからな! それだけはわかってくれよ」
あまりにも必死なリモンに俺はいつのまにか笑っていた。冒険者になるには後二年程度はかかるけどな……。
「おーい、リモン戻ってこーい」
パーティーメンバーから声がかかり、リモンは見回りに戻った。
♢
今日は初めての野営だが基本的な道具は各々のパーティーや御者が準備している。乗り合い馬車でも結構値が張るのはそういうところにお金がかかるからだ。
「一応皆さんの分の毛布とテント数個は用意してありますが、食品に関してはパンと干し肉しか用意していません」
「んー、しっかりと肉も食べたいしな。各々役割を分担しようか」
御者は用意しているが依頼を受けた冒険者が有能なほど道中が楽になるのだ。
リモンの一言で子どもだけど冒険者の仮登録をしている俺とラルフを含めて、七人で食料・水分・寝床の準備となった。
「えーっとまずは水の確保と食料の確保なんだが――」
「あっ、水なら出せますよ」
俺は水治療法で水球を出した。魔法だからすぐに消すこともできるが飲み水にも使えることは事前にわかっている。
俺の中でも感覚的には通常より便利な生活魔法という位置づけだ。これのおかげで異世界スローライフを夢見ることができるしな。
食料はリモン達のパーティーで調達、寝床は俺達三人がマルクスに教えてもらいながら受け持つことになった。
「じゃあケントはスキルで水をこの容器に出してる間に俺とラルフがテントを張ってくる」
マルクスはラルフを連れてテントを立てに行った。
「水を出すって言ってもすぐに終わるんだけどな……」
御者に樽を取り出してもらい水を入れた。
普段お風呂の準備をしている俺にとっては樽に水を入れるのは簡単だ。
「すみません、樽って他にもありますか?」
特にやることもないため、御者にお風呂を準備するために声をかけた。
「ああ、あるけど何に使うんだ?」
「お風呂の準備をしようと思って――」
「お風呂ですか?」
俺の発言に御者は驚いていた。基本的に貴族しかお風呂は入れないし、移動中は水浴びもできるかわからない環境だ。
「じゃあこれを使ってください」
「ありがとうございます」
俺は出してもらったドラム缶にお湯を張っていると、テントを張り終わったマルクスとラルフが戻ってきた。
「お風呂を作るんか?」
「やることなくて暇なんです」
「なら俺は見張りに使う焚き火のために木材を集めてくる」
「お願いします!」
今度は木材を探しに近場の林に入り、木材を回収しに行った。よく考えれば俺だけ何もしていないほど楽をしている。
「そういえば調味料もありますか?」
「何に使うんだ?」
「一応我が家の料理番は俺がやってるので簡単な物であれば味付けを整え――」
「ぜひぜひお願いします! いやー、冒険者は皆さん腕っ節ばかりなので料理ができる方がいて助かりました」
「ははは、任せてください」
この世界には料理ができる男性は珍しいようだ。俺は水の確保以外にお風呂の準備と食事を作ることになった。
初めての野営に俺が異世界に求めていたスローライフ?にテンションは上がっていた。
乗り合い馬車に特に乗る人もいないため、人数は変わらない。
「なんか元気になったな!」
休憩している時にリモンが話しかけてきた。
「はい。リモンさんにもご迷惑おかけしました」
「ん? そんな迷惑とも思ってないぞ? むしろ俺の方が迷惑かけてるからな」
「迷惑だなんて……あっ、樽を貰うの忘れてた!」
リモンの治療のために店主に声をかけたのに色々なことがあって本来の目的を忘れていた。
「だろうと思ってもらっておいたぞ」
リモンは馬車の奥を指差すとそこには樽がいくつか置いてあった。
「ありがとうございます」
異次元医療鞄が一枠空いていたため、そのまま空間へ片付けた。
「えっ? アイテムボックスも使えたんか?」
「あっ……」
俺は無意識で使っていたため、初めてリモンに異次元医療鞄をみられてしまった。
「ちゃんとした冒険者になったら絶対俺達とパーティーを組んでくれ! 魔法も使えるし、荷物も持たなくて良いって最高じゃないか! あっ、ケントのスキルだけが目的じゃないからな! それだけはわかってくれよ」
あまりにも必死なリモンに俺はいつのまにか笑っていた。冒険者になるには後二年程度はかかるけどな……。
「おーい、リモン戻ってこーい」
パーティーメンバーから声がかかり、リモンは見回りに戻った。
♢
今日は初めての野営だが基本的な道具は各々のパーティーや御者が準備している。乗り合い馬車でも結構値が張るのはそういうところにお金がかかるからだ。
「一応皆さんの分の毛布とテント数個は用意してありますが、食品に関してはパンと干し肉しか用意していません」
「んー、しっかりと肉も食べたいしな。各々役割を分担しようか」
御者は用意しているが依頼を受けた冒険者が有能なほど道中が楽になるのだ。
リモンの一言で子どもだけど冒険者の仮登録をしている俺とラルフを含めて、七人で食料・水分・寝床の準備となった。
「えーっとまずは水の確保と食料の確保なんだが――」
「あっ、水なら出せますよ」
俺は水治療法で水球を出した。魔法だからすぐに消すこともできるが飲み水にも使えることは事前にわかっている。
俺の中でも感覚的には通常より便利な生活魔法という位置づけだ。これのおかげで異世界スローライフを夢見ることができるしな。
食料はリモン達のパーティーで調達、寝床は俺達三人がマルクスに教えてもらいながら受け持つことになった。
「じゃあケントはスキルで水をこの容器に出してる間に俺とラルフがテントを張ってくる」
マルクスはラルフを連れてテントを立てに行った。
「水を出すって言ってもすぐに終わるんだけどな……」
御者に樽を取り出してもらい水を入れた。
普段お風呂の準備をしている俺にとっては樽に水を入れるのは簡単だ。
「すみません、樽って他にもありますか?」
特にやることもないため、御者にお風呂を準備するために声をかけた。
「ああ、あるけど何に使うんだ?」
「お風呂の準備をしようと思って――」
「お風呂ですか?」
俺の発言に御者は驚いていた。基本的に貴族しかお風呂は入れないし、移動中は水浴びもできるかわからない環境だ。
「じゃあこれを使ってください」
「ありがとうございます」
俺は出してもらったドラム缶にお湯を張っていると、テントを張り終わったマルクスとラルフが戻ってきた。
「お風呂を作るんか?」
「やることなくて暇なんです」
「なら俺は見張りに使う焚き火のために木材を集めてくる」
「お願いします!」
今度は木材を探しに近場の林に入り、木材を回収しに行った。よく考えれば俺だけ何もしていないほど楽をしている。
「そういえば調味料もありますか?」
「何に使うんだ?」
「一応我が家の料理番は俺がやってるので簡単な物であれば味付けを整え――」
「ぜひぜひお願いします! いやー、冒険者は皆さん腕っ節ばかりなので料理ができる方がいて助かりました」
「ははは、任せてください」
この世界には料理ができる男性は珍しいようだ。俺は水の確保以外にお風呂の準備と食事を作ることになった。
初めての野営に俺が異世界に求めていたスローライフ?にテンションは上がっていた。
12
あなたにおすすめの小説
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
他人の寿命が視える俺は理を捻じ曲げる。学園一の美令嬢を助けたら凄く優遇されることに
千石
ファンタジー
【第17回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞】
魔法学園4年生のグレイ・ズーは平凡な平民であるが、『他人の寿命が視える』という他の人にはない特殊な能力を持っていた。
ある日、学園一の美令嬢とすれ違った時、グレイは彼女の余命が本日までということを知ってしまう。
グレイは自分の特殊能力によって過去に周りから気味悪がられ、迫害されるということを経験していたためひたすら隠してきたのだが、
「・・・知ったからには黙っていられないよな」
と何とかしようと行動を開始する。
そのことが切っ掛けでグレイの生活が一変していくのであった。
他の投稿サイトでも掲載してます。
※表紙の絵はAIが生成したものであり、著作権に関する最終的な責任は負いかねます。
田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした
月神世一
ファンタジー
「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」
ブラック企業で過労死した日本人、カイト。
彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。
女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。
孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった!
しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。
ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!?
ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!?
世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる!
「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。
これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる