87 / 281
第一章 外れスキル
87.王族の外れスキル ※ガレイン視点
しおりを挟む
私は今の状況に困惑している。彼と少し時間が欲しいと思ったら会った瞬間に顔を地面に擦り付けているのだ。
何かの挨拶方法なんだろうか。
「ごめんなさい! ガレイン様のお気持ちにはお答えできません」
とりあえずそういう挨拶が彼らの中で一般的なら私も彼と同じ挨拶をしないといけない。
とりあえず膝を地面につけて頭を地面に擦り付けた。うん、なぜか王族の私がやるべきではない気がしてきた。
「顔を上げてください」
彼と同じ挨拶をしたはずが彼は焦っていた。
「あのー、どういうことですか?」
私は彼に話を聞くとどうやら勘違いをしていた。ええ、私も変な風に勘違いしていたが彼はそれを超えていた。
「いや、俺……僕には男性を好む趣味はありません」
「……」
「えっ? 違うんですか?」
「ちちち、違いますよ!」
しっかり説明をすることで彼は納得していた。彼の故郷に謝る時は彼のように高く飛んでから土下座というものをするらしい。
私も王族として博学だと思っていたが変わった謝罪の方法があるのは勉強になった。
「あー、ただ話をしたいだけなんですね」
「手紙にも書きましたよ?」
私は彼らに合わせて誤解の無いようにわかりやすく書く必要があると再認識した。
あれでもわかりやすいと思ったが気をつけないといけないな。
彼をソファーまで案内すると彼は立ち止まったままだった。
「どうされました?」
「この国にもあるのか……」
どうやらテーブルに置いてあるクッキーやスコーンのことを言っているのだろう。
最近貴族の間で砂糖で作る菓子が流行っているが彼も貴族だと私としては困る。
「お口に合わないものでしたか?」
「いえ、懐かしいもので……」
私は彼の言葉が引っかかった。懐かしいってことは今は食べられる環境ではないってことだ。
「たくさん食べてくださいね」
「ありがとうございます」
どこか彼は複雑な顔をしていた。
「ケント殿はいつから冒険者をやってるんですか?」
「あー、ケントって呼んでいいですよ。あと敬語もいらないです」
「なら私もガレインと呼んで……くれ」
「ガレインだな! 俺はちょうど半年前ぐらいの十一歳の時に冒険者になったんだ」
「十一!? 私と同い年だ」
体は小さいがまさか同い年だとは思わなかった。あの時の顔は私と同年代がするような顔ではないのだ。
「そっかー。まぁ、同い年ってことでよろしくね」
「こちらこそよろしく頼む」
突然目の前に出された手を私は握った。
王族という理由で私に近寄って来るものは多い。ただ、それは私を利用しようとするものばかりだ。
彼からは他の貴族とは同じ雰囲気は感じなかった。貴族でも冒険者だから王族に興味がないのだろうか。
「言いたくなければいいんだがケントはあんなすごい魔法が使えるってことはスキルは【賢者】とかか?」
スキル【賢者】は、火・水・風・土の適性を持つ【魔法使い】や【魔術師】と聖の適性を持つ【神官】や【聖職者】の上位版のスキルにあたる。
「いや、俺は外れスキルってやつだぞ?」
「はぁん? 嘘はだめだぞ?」
私は彼が嘘をつく人に見えなかったが、やはり彼も他の貴族と同じなのか。
私も外れスキルと言われている。だからこそ俺に近づいてくる人達は同じ外れスキルだからと嘘をつく人ばかりだった。
「嘘じゃないぞ。スキル【理学療法】って知ってるか?」
「いや、初めて聞いた」
「ただ俺はこのスキルが何のタイプかわかっていたから外れスキルにはならなかっただけだな」
私でも聞いたことないスキルを彼は持っていた。しかもその使い方まで知っていたらしい。
あれだけ調べてもわからなかった私のスキルもひょっとしたら彼は知っているのかもしれない。
「実は私も外れスキルなんだ」
彼は私の言葉を聞いて驚いていた。王族に外れスキルっていてはいけない存在だからな。
「でもスキルって一般的に遺伝するんじゃないのか?」
貴族は基本的に外れスキルがいないと言われている。彼はそれを知っているのだろう。
「私は母親が平民なんだ」
私の母親は平民から側室になったため、スキルは平民向けのスキルになる可能性があった。
貴族の子が貴族になれるのはスキルが関係する。逆に平民は平民に適したスキルのため、どれだけ頑張っても成果を残しても男爵程度にしかなれない。
そんな中私は外れスキルで親も平民のため城の中での扱いはあまり良くない。
「それで結局ガレインのスキルってなんだ?」
「私のスキルは【医師】ってやつなんだ。王城のスキル図鑑にも載ってないような外れスキル――」
私の言葉を聞いても彼は態度を変えなかった。それは彼も私の外れスキルを知らないということを示唆していた。
「ガレインはステータスボードを横にずらすことはできるか?」
彼は何を言っているのだろうか。私は言われた通りにやったが何も変わらないいつものステータスボードだった。
「だから私は外にも勝手に出ることもできないし城でもいらない扱いだ」
「いや、ガレインのスキルは結構強力だと思うぞ?」
「えっ!?」
「その前にラルフを呼んできてもいいか?」
「ラルフって?」
「ああ、一緒に住んでるやつなんだけど、あいつも外れスキルなんだ」
「それでラルフがいればどうにかなるんか?」
「ああ、多分大丈夫だと思う」
「わかった! すぐに呼んできてもらおう」
私は急いでラルフというものを呼ぶように執事に頼んだ。まさか少し話すだけだったがこんなことになるとは思いもしなかった。
何かの挨拶方法なんだろうか。
「ごめんなさい! ガレイン様のお気持ちにはお答えできません」
とりあえずそういう挨拶が彼らの中で一般的なら私も彼と同じ挨拶をしないといけない。
とりあえず膝を地面につけて頭を地面に擦り付けた。うん、なぜか王族の私がやるべきではない気がしてきた。
「顔を上げてください」
彼と同じ挨拶をしたはずが彼は焦っていた。
「あのー、どういうことですか?」
私は彼に話を聞くとどうやら勘違いをしていた。ええ、私も変な風に勘違いしていたが彼はそれを超えていた。
「いや、俺……僕には男性を好む趣味はありません」
「……」
「えっ? 違うんですか?」
「ちちち、違いますよ!」
しっかり説明をすることで彼は納得していた。彼の故郷に謝る時は彼のように高く飛んでから土下座というものをするらしい。
私も王族として博学だと思っていたが変わった謝罪の方法があるのは勉強になった。
「あー、ただ話をしたいだけなんですね」
「手紙にも書きましたよ?」
私は彼らに合わせて誤解の無いようにわかりやすく書く必要があると再認識した。
あれでもわかりやすいと思ったが気をつけないといけないな。
彼をソファーまで案内すると彼は立ち止まったままだった。
「どうされました?」
「この国にもあるのか……」
どうやらテーブルに置いてあるクッキーやスコーンのことを言っているのだろう。
最近貴族の間で砂糖で作る菓子が流行っているが彼も貴族だと私としては困る。
「お口に合わないものでしたか?」
「いえ、懐かしいもので……」
私は彼の言葉が引っかかった。懐かしいってことは今は食べられる環境ではないってことだ。
「たくさん食べてくださいね」
「ありがとうございます」
どこか彼は複雑な顔をしていた。
「ケント殿はいつから冒険者をやってるんですか?」
「あー、ケントって呼んでいいですよ。あと敬語もいらないです」
「なら私もガレインと呼んで……くれ」
「ガレインだな! 俺はちょうど半年前ぐらいの十一歳の時に冒険者になったんだ」
「十一!? 私と同い年だ」
体は小さいがまさか同い年だとは思わなかった。あの時の顔は私と同年代がするような顔ではないのだ。
「そっかー。まぁ、同い年ってことでよろしくね」
「こちらこそよろしく頼む」
突然目の前に出された手を私は握った。
王族という理由で私に近寄って来るものは多い。ただ、それは私を利用しようとするものばかりだ。
彼からは他の貴族とは同じ雰囲気は感じなかった。貴族でも冒険者だから王族に興味がないのだろうか。
「言いたくなければいいんだがケントはあんなすごい魔法が使えるってことはスキルは【賢者】とかか?」
スキル【賢者】は、火・水・風・土の適性を持つ【魔法使い】や【魔術師】と聖の適性を持つ【神官】や【聖職者】の上位版のスキルにあたる。
「いや、俺は外れスキルってやつだぞ?」
「はぁん? 嘘はだめだぞ?」
私は彼が嘘をつく人に見えなかったが、やはり彼も他の貴族と同じなのか。
私も外れスキルと言われている。だからこそ俺に近づいてくる人達は同じ外れスキルだからと嘘をつく人ばかりだった。
「嘘じゃないぞ。スキル【理学療法】って知ってるか?」
「いや、初めて聞いた」
「ただ俺はこのスキルが何のタイプかわかっていたから外れスキルにはならなかっただけだな」
私でも聞いたことないスキルを彼は持っていた。しかもその使い方まで知っていたらしい。
あれだけ調べてもわからなかった私のスキルもひょっとしたら彼は知っているのかもしれない。
「実は私も外れスキルなんだ」
彼は私の言葉を聞いて驚いていた。王族に外れスキルっていてはいけない存在だからな。
「でもスキルって一般的に遺伝するんじゃないのか?」
貴族は基本的に外れスキルがいないと言われている。彼はそれを知っているのだろう。
「私は母親が平民なんだ」
私の母親は平民から側室になったため、スキルは平民向けのスキルになる可能性があった。
貴族の子が貴族になれるのはスキルが関係する。逆に平民は平民に適したスキルのため、どれだけ頑張っても成果を残しても男爵程度にしかなれない。
そんな中私は外れスキルで親も平民のため城の中での扱いはあまり良くない。
「それで結局ガレインのスキルってなんだ?」
「私のスキルは【医師】ってやつなんだ。王城のスキル図鑑にも載ってないような外れスキル――」
私の言葉を聞いても彼は態度を変えなかった。それは彼も私の外れスキルを知らないということを示唆していた。
「ガレインはステータスボードを横にずらすことはできるか?」
彼は何を言っているのだろうか。私は言われた通りにやったが何も変わらないいつものステータスボードだった。
「だから私は外にも勝手に出ることもできないし城でもいらない扱いだ」
「いや、ガレインのスキルは結構強力だと思うぞ?」
「えっ!?」
「その前にラルフを呼んできてもいいか?」
「ラルフって?」
「ああ、一緒に住んでるやつなんだけど、あいつも外れスキルなんだ」
「それでラルフがいればどうにかなるんか?」
「ああ、多分大丈夫だと思う」
「わかった! すぐに呼んできてもらおう」
私は急いでラルフというものを呼ぶように執事に頼んだ。まさか少し話すだけだったがこんなことになるとは思いもしなかった。
11
あなたにおすすめの小説
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
他人の寿命が視える俺は理を捻じ曲げる。学園一の美令嬢を助けたら凄く優遇されることに
千石
ファンタジー
【第17回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞】
魔法学園4年生のグレイ・ズーは平凡な平民であるが、『他人の寿命が視える』という他の人にはない特殊な能力を持っていた。
ある日、学園一の美令嬢とすれ違った時、グレイは彼女の余命が本日までということを知ってしまう。
グレイは自分の特殊能力によって過去に周りから気味悪がられ、迫害されるということを経験していたためひたすら隠してきたのだが、
「・・・知ったからには黙っていられないよな」
と何とかしようと行動を開始する。
そのことが切っ掛けでグレイの生活が一変していくのであった。
他の投稿サイトでも掲載してます。
※表紙の絵はAIが生成したものであり、著作権に関する最終的な責任は負いかねます。
田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした
月神世一
ファンタジー
「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」
ブラック企業で過労死した日本人、カイト。
彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。
女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。
孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった!
しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。
ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!?
ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!?
世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる!
「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。
これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる