90 / 281
第一章 外れスキル
90.兄弟
しおりを挟む
あれから時折は俺とガレインは王城へ呼ばれるようになった。
ガレインが貴族街から出ることができないため貴族街へ入る許可を王様から与えられた。
そんな俺達は今王城の図書館に居る。意外に図書館の出入りはバタバタとしており、特に話していても文句を言われることはなかった。
「ガレインはもう王様にスキルのことを伝えたのか?」
「まだなんだ……」
「でもなんで伝えないんだ?」
「今伝えると多分私の派閥が出来るから、それもめんどくさいのもあるかな」
ガレインは王の三番目の子供であり、王位継承権はそのままの順番であれば三番目だ。
兄二人とも親が異なっているのも、才能というスキルを広げるのが目的だ。スキルで人生が決まる異世界らしい常識なんだろう。
現在の王のスキルは【剣聖】。その力は強力で一人で魔物Aランクの災害級を討伐できるほどらしい。
その結果自身の世継ぎに受け継がせたいと婚約を申し出る貴族が多く、自身の国だけではなくと近隣他国からも来るほどだった。
そして優しさと性欲の強さが災いを呼び妻を三人に娶ってしまった。
冒険者ということは王様もどこか脳筋なんだろうか。
国を他国に奪われないように正室を自身の国の公爵家、側室を友好国であるベズギット魔法国から妻にしている。
ガレインの母は元々一緒にパーティーを組んでいた平民らしい。
派閥は二つに分かれており、正室に付く貴族は自身の身分を上げるもしくは発展させようとする者が第一王子のマルヴェインを支持している。
また、他国との絆を深め魔法を発展させながら身分を上げたい貴族は第二王子セヴィオンの派閥だ。
「派閥が出来ると何か問題でもあるの?」
「んー、特に私達兄弟の仲は良いから問題はないんだが、それに巻き込まれることになると仲も悪くなるだろう」
「そうなんだね」
「派閥が出来るほどお兄さん達のスキルはすごいのか?」
ラルフがガレインに聞くと彼の目は輝いていた。
「二人とも凄いんですよ! ヴェン兄は指揮する才能に開花してセヴィ兄は剣と魔法が凄いんだ」
マルヴェインはスキル【奇才軍師】、セヴィオンはスキル【魔法剣士】だ。
そもそもこの国クレイウェン王国は剣のスキルで栄えている国のためスキルは剣や騎士関係のものが多いらしい。
公爵家との子であるマルヴェインは剣と指揮に特化し、ベズギット魔法国との子であるセヴィオンは剣と魔法に特化していた。
それよりもこの国にも名前があることに驚いている。ケトはあまり裕福な家ではなかったから知識すらないのだ。
「名前から凄そうなスキルだね……」
「それに比べて私は――」
「いやいや、医師も凄いからね!」
異世界に医師という職業も言葉もないため、何が凄いのかを伝えようにも伝えられなかった。
「あれからスキルは使ってみたの?」
「まだ使ってないんだ。外科の王も治療しようと思って発動しなかったら怖いし、そもそも真剣を使うこともないからね」
ガレインのスキルを使うためには刃物が必要だった。そのためガレインは真剣でスキルが発動するか確認しようとしていたが、恐怖感があり試せなかったのだ。
「何か手軽に確認出来たらいいんだけどね」
「ん? 別に真剣じゃなくても良いんじゃないの?」
「ん? どういうこと?」
二人は俺の言っていることが理解できなかったようだ。
「だって外科医って手術でメスを使うから普通に刃物ならナイフでいいんじゃないの?」
「カトラリーでナイフを使うならお肉を食べる時にでもこっそり使ってみればいいんじゃないのかな?」
「そういうことか」
ガレインは俺の"ナイフ"という言葉に何か気づいたのだろう。
この世界で刃物と言われたら一般的には真剣なのだ。
話していると執事が紙に何かを書いてガレインの目の前に差し出した。
「今日は何を用意したんだ?」
「お客様がいらっしゃると聞いたので簡易的に食べれるサンドイッチとシチューを用意しました」
「わかった。もちろん二人も食べて行くよね?」
「ご馳走になります」
もちろん王城に来る理由の一つは美味しいものが食べれるからだ。
「それではテラスでご用意しています」
執事は挨拶すると仕事に戻って行った。
「今回はカトラリー無さそうだね」
「そうだね」
「ねぇ! ご飯行こうよ!」
そんな中ラルフは一人尻尾を大きく振っていた。
「獣人って他の人もこんな感じなのかな?」
「いや、俺もラルフが初めて見た獣人だけど、ラルフってどこかボスと似てるからやっぱり獣人って動物に似てるんじゃないのか?」
「あー、ボスってケントが言ってる狼のことだよね?」
「そうそう」
ガレインには一度連れてきてと言われているが、流石に狼を城には連れて来れないかった。
――グゥー!
どこからか大きなお腹の音が聞こえてきた。ラルフに目を向けると涎が垂れそうになっている。
「ご飯! ご飯!」
「くくく、はやく行こうか」
「おん!」
ラルフの声は図書館にあまりに大きく響き周りの注目を集めていた。俺達は本を片付けテラスに向かった。
ガレインが貴族街から出ることができないため貴族街へ入る許可を王様から与えられた。
そんな俺達は今王城の図書館に居る。意外に図書館の出入りはバタバタとしており、特に話していても文句を言われることはなかった。
「ガレインはもう王様にスキルのことを伝えたのか?」
「まだなんだ……」
「でもなんで伝えないんだ?」
「今伝えると多分私の派閥が出来るから、それもめんどくさいのもあるかな」
ガレインは王の三番目の子供であり、王位継承権はそのままの順番であれば三番目だ。
兄二人とも親が異なっているのも、才能というスキルを広げるのが目的だ。スキルで人生が決まる異世界らしい常識なんだろう。
現在の王のスキルは【剣聖】。その力は強力で一人で魔物Aランクの災害級を討伐できるほどらしい。
その結果自身の世継ぎに受け継がせたいと婚約を申し出る貴族が多く、自身の国だけではなくと近隣他国からも来るほどだった。
そして優しさと性欲の強さが災いを呼び妻を三人に娶ってしまった。
冒険者ということは王様もどこか脳筋なんだろうか。
国を他国に奪われないように正室を自身の国の公爵家、側室を友好国であるベズギット魔法国から妻にしている。
ガレインの母は元々一緒にパーティーを組んでいた平民らしい。
派閥は二つに分かれており、正室に付く貴族は自身の身分を上げるもしくは発展させようとする者が第一王子のマルヴェインを支持している。
また、他国との絆を深め魔法を発展させながら身分を上げたい貴族は第二王子セヴィオンの派閥だ。
「派閥が出来ると何か問題でもあるの?」
「んー、特に私達兄弟の仲は良いから問題はないんだが、それに巻き込まれることになると仲も悪くなるだろう」
「そうなんだね」
「派閥が出来るほどお兄さん達のスキルはすごいのか?」
ラルフがガレインに聞くと彼の目は輝いていた。
「二人とも凄いんですよ! ヴェン兄は指揮する才能に開花してセヴィ兄は剣と魔法が凄いんだ」
マルヴェインはスキル【奇才軍師】、セヴィオンはスキル【魔法剣士】だ。
そもそもこの国クレイウェン王国は剣のスキルで栄えている国のためスキルは剣や騎士関係のものが多いらしい。
公爵家との子であるマルヴェインは剣と指揮に特化し、ベズギット魔法国との子であるセヴィオンは剣と魔法に特化していた。
それよりもこの国にも名前があることに驚いている。ケトはあまり裕福な家ではなかったから知識すらないのだ。
「名前から凄そうなスキルだね……」
「それに比べて私は――」
「いやいや、医師も凄いからね!」
異世界に医師という職業も言葉もないため、何が凄いのかを伝えようにも伝えられなかった。
「あれからスキルは使ってみたの?」
「まだ使ってないんだ。外科の王も治療しようと思って発動しなかったら怖いし、そもそも真剣を使うこともないからね」
ガレインのスキルを使うためには刃物が必要だった。そのためガレインは真剣でスキルが発動するか確認しようとしていたが、恐怖感があり試せなかったのだ。
「何か手軽に確認出来たらいいんだけどね」
「ん? 別に真剣じゃなくても良いんじゃないの?」
「ん? どういうこと?」
二人は俺の言っていることが理解できなかったようだ。
「だって外科医って手術でメスを使うから普通に刃物ならナイフでいいんじゃないの?」
「カトラリーでナイフを使うならお肉を食べる時にでもこっそり使ってみればいいんじゃないのかな?」
「そういうことか」
ガレインは俺の"ナイフ"という言葉に何か気づいたのだろう。
この世界で刃物と言われたら一般的には真剣なのだ。
話していると執事が紙に何かを書いてガレインの目の前に差し出した。
「今日は何を用意したんだ?」
「お客様がいらっしゃると聞いたので簡易的に食べれるサンドイッチとシチューを用意しました」
「わかった。もちろん二人も食べて行くよね?」
「ご馳走になります」
もちろん王城に来る理由の一つは美味しいものが食べれるからだ。
「それではテラスでご用意しています」
執事は挨拶すると仕事に戻って行った。
「今回はカトラリー無さそうだね」
「そうだね」
「ねぇ! ご飯行こうよ!」
そんな中ラルフは一人尻尾を大きく振っていた。
「獣人って他の人もこんな感じなのかな?」
「いや、俺もラルフが初めて見た獣人だけど、ラルフってどこかボスと似てるからやっぱり獣人って動物に似てるんじゃないのか?」
「あー、ボスってケントが言ってる狼のことだよね?」
「そうそう」
ガレインには一度連れてきてと言われているが、流石に狼を城には連れて来れないかった。
――グゥー!
どこからか大きなお腹の音が聞こえてきた。ラルフに目を向けると涎が垂れそうになっている。
「ご飯! ご飯!」
「くくく、はやく行こうか」
「おん!」
ラルフの声は図書館にあまりに大きく響き周りの注目を集めていた。俺達は本を片付けテラスに向かった。
11
あなたにおすすめの小説
スライムに転生した俺はユニークスキル【強奪】で全てを奪う
シャルねる
ファンタジー
主人公は気がつくと、目も鼻も口も、体までもが無くなっていた。
当然そのことに気がついた主人公に言葉には言い表せない恐怖と絶望が襲うが、涙すら出ることは無かった。
そうして恐怖と絶望に頭がおかしくなりそうだったが、主人公は感覚的に自分の体に何かが当たったことに気がついた。
その瞬間、謎の声が頭の中に鳴り響いた。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
他人の寿命が視える俺は理を捻じ曲げる。学園一の美令嬢を助けたら凄く優遇されることに
千石
ファンタジー
【第17回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞】
魔法学園4年生のグレイ・ズーは平凡な平民であるが、『他人の寿命が視える』という他の人にはない特殊な能力を持っていた。
ある日、学園一の美令嬢とすれ違った時、グレイは彼女の余命が本日までということを知ってしまう。
グレイは自分の特殊能力によって過去に周りから気味悪がられ、迫害されるということを経験していたためひたすら隠してきたのだが、
「・・・知ったからには黙っていられないよな」
と何とかしようと行動を開始する。
そのことが切っ掛けでグレイの生活が一変していくのであった。
他の投稿サイトでも掲載してます。
※表紙の絵はAIが生成したものであり、著作権に関する最終的な責任は負いかねます。
田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした
月神世一
ファンタジー
「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」
ブラック企業で過労死した日本人、カイト。
彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。
女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。
孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった!
しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。
ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!?
ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!?
世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる!
「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。
これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる