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第一章 外れスキル
93.魔力の常識
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光ったバターナイフを傷口押し当て、そこからバターを塗るようにバターナイフを滑らせた。
「おー! おっ?」
傷口の血が広がっていくためパッと見では治ったのかどうかまではわからない。
「ちょっと待って」
俺は水治療法を小さめに発動させラルフの指を洗った。
「おー、治ってるね!」
ラルフの指からは血が止まり、綺麗に傷口が消えている。
俺のスキルではかさぶたができるのに対し、ガレインは皮膚が元に戻っていた。
「やっぱすごいよ!」
「オラの指も元通りだ」
改めてガレインのスキルの凄さを実感した。同じ医療職でも医師には勝てないからな。
「私が治したのか……」
「ほら!」
ラルフはガレインにしっかりと指を見せると、実感が湧いたのか体を震わせていた。
今まで発動出来なかった外れスキルがちゃんと目で確認できるとやはり違うのだろう。
「本当に……私がやったのか?」
「そうだよ! これがガレインのスキル【医師】の力だよ」
ガレインの目から溜まっていた涙が流れ落ちた。
「私はこの世界の中で無意味な人じゃなかった」
きっと今まで散々な扱いを周りから受けても必死に耐えてきたのだろう。
そんなガレインを見て俺達はそっと肩に腕を回した。
王族って生きるだけでも大変なんだな……。
♢
――数分後
ガレインは落ち着いたのかもう一度スキルを発動させようとイメージしていた。
しかし、先程と違いバターナイフには光りが集まらなかった。
体調の変化は特に見られず発動する雰囲気もなかった。
「えっ……また元に戻――」
また過去に戻ったのかと不安に襲われていた。
「多分魔力が足りないんだろうね。強力なスキルならなおさら魔力消費も多そうだし」
以前コロポに言われたことを思い出した。魔力は体外の魔素を吸収し、魔力の器に集まることで体に馴染み魔力が上がっていく。
今まで貴族街から出ることが少なかったためか魔素が多いところに行く機会が少ないのだろう。
「そんなことあるのか?」
「あれ? そうやって言われてるんじゃないの?」
この世界の知識はほぼコロポから森で一年間教えてもらったこととケトが生きていた頃の記憶しかない。
「あまり聞いたことないです。王族なので勉強する機会は多いですけど、魔法って才能に左右されるって聞きますよ?」
「えっ……」
コロポの知識は人間には知られていない知識だったのかもしれない。
俺自身が一年間魔素の濃い森で生活していたが、魔力の容量は他の人よりもかなり多くなっているはずだ。
――――――――――――――――――――
《ステータス》
[名前] ケント
[種族] 人間/男
[能力値] 力E/C 防御E/C 魔力B/A 速度E/C
[固有スキル] 理学療法
[職業]Eランク冒険者
――――――――――――――――――――
現に俺の魔力の最大容量はAと表記してある。
「ラルフのスキルで見えたら少しはわかるかもしれないね」
「今度やってみようか?」
きっと協力してくれそうなのは破滅のトラッセンのリチアだろう。
彼女ならラルフと同じで美味しい食事で釣ることができそうだ。
しっかり透視するにはガレインのスキルも必要だろう。
「じゃあまずは貴族街に出る目的を作らないといけないね」
ガレインを貴族街から出るには公務があるときだけだ。
公務って言っても王族が村に行って祝辞を述べる程度のこと。この間襲われたのもその帰り道だった。
だがその公務もよっぽどのことがない限り兄の二人が行くことになっている。
「何か理由があれば……」
「殿下こういうのはどうでしょう」
いつのまにか後ろでガレインの専属執事が話を聞いていた。
彼の提案は今後の公務に生かすために市民の生活を見て回るというものだった。
この先どちらかの兄の下で働くことになる時に王都の現状も知らないような人では王族として恥になる。
王都から出るわけでもないため、よっぽどのことがない限りは大丈夫だと執事も言っていた。
「やってみる価値はありそう?」
「んー、どうなんだろうか……」
「やってみる価値は有ると思いますよ。殿下はケント殿達とお友達になられてから明るくなりました。それがきっかけで公務にも興味を示したとなれば、少なからず陛下は考えてくださると思います」
ガレインを間近で見ている執事だからこそ小さな変化にも気づいているのだろう。
「ひとまずそれでやってみる?」
「わかった。私のためにも頑張ってみる」
「ガレインならできるよ。オラも待ってるね」
「ああ。今日はここまでに次回作戦を練ることにしようか」
俺達は荷物をまとめて帰ることにした。あまり長居をすると周りからの視線も痛かった。
「おー! おっ?」
傷口の血が広がっていくためパッと見では治ったのかどうかまではわからない。
「ちょっと待って」
俺は水治療法を小さめに発動させラルフの指を洗った。
「おー、治ってるね!」
ラルフの指からは血が止まり、綺麗に傷口が消えている。
俺のスキルではかさぶたができるのに対し、ガレインは皮膚が元に戻っていた。
「やっぱすごいよ!」
「オラの指も元通りだ」
改めてガレインのスキルの凄さを実感した。同じ医療職でも医師には勝てないからな。
「私が治したのか……」
「ほら!」
ラルフはガレインにしっかりと指を見せると、実感が湧いたのか体を震わせていた。
今まで発動出来なかった外れスキルがちゃんと目で確認できるとやはり違うのだろう。
「本当に……私がやったのか?」
「そうだよ! これがガレインのスキル【医師】の力だよ」
ガレインの目から溜まっていた涙が流れ落ちた。
「私はこの世界の中で無意味な人じゃなかった」
きっと今まで散々な扱いを周りから受けても必死に耐えてきたのだろう。
そんなガレインを見て俺達はそっと肩に腕を回した。
王族って生きるだけでも大変なんだな……。
♢
――数分後
ガレインは落ち着いたのかもう一度スキルを発動させようとイメージしていた。
しかし、先程と違いバターナイフには光りが集まらなかった。
体調の変化は特に見られず発動する雰囲気もなかった。
「えっ……また元に戻――」
また過去に戻ったのかと不安に襲われていた。
「多分魔力が足りないんだろうね。強力なスキルならなおさら魔力消費も多そうだし」
以前コロポに言われたことを思い出した。魔力は体外の魔素を吸収し、魔力の器に集まることで体に馴染み魔力が上がっていく。
今まで貴族街から出ることが少なかったためか魔素が多いところに行く機会が少ないのだろう。
「そんなことあるのか?」
「あれ? そうやって言われてるんじゃないの?」
この世界の知識はほぼコロポから森で一年間教えてもらったこととケトが生きていた頃の記憶しかない。
「あまり聞いたことないです。王族なので勉強する機会は多いですけど、魔法って才能に左右されるって聞きますよ?」
「えっ……」
コロポの知識は人間には知られていない知識だったのかもしれない。
俺自身が一年間魔素の濃い森で生活していたが、魔力の容量は他の人よりもかなり多くなっているはずだ。
――――――――――――――――――――
《ステータス》
[名前] ケント
[種族] 人間/男
[能力値] 力E/C 防御E/C 魔力B/A 速度E/C
[固有スキル] 理学療法
[職業]Eランク冒険者
――――――――――――――――――――
現に俺の魔力の最大容量はAと表記してある。
「ラルフのスキルで見えたら少しはわかるかもしれないね」
「今度やってみようか?」
きっと協力してくれそうなのは破滅のトラッセンのリチアだろう。
彼女ならラルフと同じで美味しい食事で釣ることができそうだ。
しっかり透視するにはガレインのスキルも必要だろう。
「じゃあまずは貴族街に出る目的を作らないといけないね」
ガレインを貴族街から出るには公務があるときだけだ。
公務って言っても王族が村に行って祝辞を述べる程度のこと。この間襲われたのもその帰り道だった。
だがその公務もよっぽどのことがない限り兄の二人が行くことになっている。
「何か理由があれば……」
「殿下こういうのはどうでしょう」
いつのまにか後ろでガレインの専属執事が話を聞いていた。
彼の提案は今後の公務に生かすために市民の生活を見て回るというものだった。
この先どちらかの兄の下で働くことになる時に王都の現状も知らないような人では王族として恥になる。
王都から出るわけでもないため、よっぽどのことがない限りは大丈夫だと執事も言っていた。
「やってみる価値はありそう?」
「んー、どうなんだろうか……」
「やってみる価値は有ると思いますよ。殿下はケント殿達とお友達になられてから明るくなりました。それがきっかけで公務にも興味を示したとなれば、少なからず陛下は考えてくださると思います」
ガレインを間近で見ている執事だからこそ小さな変化にも気づいているのだろう。
「ひとまずそれでやってみる?」
「わかった。私のためにも頑張ってみる」
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