96 / 281
第一章 外れスキル
96.孤児院の外れスキル
しおりを挟む
子供達と遊び終わりると小さい子達はそのまま昼寝をしていた。
さっきまで大声で駆け回っていたのが嘘みたいに今は静かに寝ている。
俺がエイマーの元へ戻るとそこには俺と歳がさほど変わらない双子の男女がいた。
エイマーはその二人に簡単な文字と勉強を教えていた。
「エイマーさん子ども達寝ました」
「ケントくんありがとね」
エイマーが気づくと双子の男女も寄ってきた。
「あいつらの相手してもらって助かった。俺はウルだ」
「私はラルよ。双子だけどウルの方が兄ってことになってるわ」
「俺はケントだ。あいつら元気過ぎて疲れたよ」
「ははは、みんな遊びたい年頃だからな」
ウルとラルはこの孤児院の中では一番年上で来年から住み込みで働きに行く予定のため今はその勉強中だ。
「二人はどこに働きに行くの?」
「……」
俺が話を聞くとどこか雰囲気が悪くなってきた。二人からは何も返事がないのだ。
さっきまでの笑顔はなくどこか諦めたような悲しい顔をしていた。
「ケントくんごめんね」
「どうかしたんですか?」
「この子達もさっき言ったように外れスキルと言われているから中々働き先がみつからないのよ」
エイマーはそんな二人を見て頭を撫でていた。働き先を増やす意味合いで文字の練習や簡単な計算を教えていたらしい。
「そんなに外れスキルって多いんですね……」
「王都の孤児院はそういう人の集まりだからな」
「そうね。ウルとラルは悪くないのにスキルでこんな扱いされちゃうとね」
孤児院出身に対しては特に何も言われることはないが、スキルに関しては働くことの条件に入っていることが多いらしい。
飲食店でもそこまで必要になさそうなに感じるが、スキル【料理人】や【給仕】などのスキル持ちが優先されるのは当たり前の話だ。
料理人であればあまり教えなくても手際が良かったりなどすぐにお店で使えることが多いらしい。
即戦力になるのは努力より才能ってことらしい。
「気分を悪くしたならごめん」
そんな二人を見て俺はすぐに謝った。
「それは仕方ないことだからな。だから俺達は勉強してるんだ」
「ウルの言う通りよ。ケントくんが気にすることでもないわ」
「そういえばケントくんってこの子達のスキルを知ってる?」
エイマーはさっきケントと約束したことを思い出し、ラルとウルにステータスを開示するように伝えた。
――――――――――――――――――――
《ステータス》
[名前] ウル
[種族] 人間/男
[固有スキル] 介護福祉士
[職業] 孤児
――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――
《ステータス》
[名前] ラル
[種族] 人間/女
[固有スキル] 介護福祉士
[職業] 孤児
――――――――――――――――――――
双子が影響しているのか名前以外の項目はほぼ同じだった。
それよりもスキルがやはりケントの身近に感じるものだった。
この世界では医療・福祉は外れスキルと言われているのだろうか。むしろ俺としては最近当たりスキルにしか見えない。
「介護福祉士か」
「ケント知ってるんか?」
「ケントくんわかるの?」
俺の反応にウルとラルは肩を強く掴んできた。
「痛たたた!」
手の力は肩が痛くなるほどだった。それほど二人にとっては必死なことだったんだろう。
「ごめん」
「別に大丈夫だよ」
すぐに手を離したが離すタイミングや謝るタイミングが同じなのは双子だからだろうか。基本的に息が合ってるのだ。
「ケントはスキル【介護福祉士】って知ってるの?」
俺はもちろん知っていたため頭を縦に振った。
「おおお、これはどういうスキルなんだ!」
無意識にウルはまた俺の肩を掴むと前後に揺らされていた。どこかこの子からは冒険者と同じ匂いがした。
ウルに揺らされ続けたからなのか若干酔ってきた。
「ウル! これじゃあ話が進まないでしょ」
「ああ、すまん」
ラルに止められるとウルは手を止めた。兄はウルの方だが妹のラルの方がしっかりはしていた。
「ケントくんごめんね」
「ああ、大丈夫だよ。それで介護福祉士についてだよね?」
「そうそう。ここの孤児院には私達以外にもこのスキルを持っている子達はたくさんいるの。だから私達がスキルを使えたらあの子達もどうにか働くときの手助けになればいいと思ってね」
孤児院の子ども達の中には二人と同じスキルを持っている子は数人いた。
しかしその子らも含めて世間の認識では外れスキルだった。
俺の中では孤児院のイメージは変わり、孤児院という名の専門学校のように感じてきていた。
「んー、多分王都でもそのスキルを使うのは難しい気もするけどな……」
「やっぱり俺達のスキルって外れスキルなんだな」
俺の一言でウルは落ち込んでいた。
そもそも介護福祉士の活躍の場所は介護が必要な場所だ。
だが王都でも医療のレベルがそこまで高くないため、すぐに亡くなる人の方が多いのが現状だった。
回復スキルは外傷を治すか薬師みたいに風邪などを治すスキルが基本だが、その中で元に戻らない現状があった。
そこで俺のスキル【理学療法】がうまく一致しただけだ。
現にまだ介助が必要な人を見たことがなかった。お風呂を入る文化もないため入浴介助もいらないしな。
「ごめんね。少しスキルが使えそうな仕事があったらまた伝えるよ」
「ありがとう! まぁ、今までと変わらないってことだからウルも落ち込んでないで勉強するよ」
ウルはラルに励まされ勉強を始めた。
――二時間後
子ども達は目が覚めると俺達の見送りに来ていた。
「兄ちゃんまた遊んでね」
「絶対また来いよ」
水球鬼ごっこが良かったのか俺はいつのまにか子ども達に懐かれていた。
「みんなも元気でね! また今度来るよ」
俺達は荷物を背負い憩いの宿屋に帰った。元気に遊んでいた子達のためにも介護が必要とする現場を探す必要があると俺は改めて思った。
さっきまで大声で駆け回っていたのが嘘みたいに今は静かに寝ている。
俺がエイマーの元へ戻るとそこには俺と歳がさほど変わらない双子の男女がいた。
エイマーはその二人に簡単な文字と勉強を教えていた。
「エイマーさん子ども達寝ました」
「ケントくんありがとね」
エイマーが気づくと双子の男女も寄ってきた。
「あいつらの相手してもらって助かった。俺はウルだ」
「私はラルよ。双子だけどウルの方が兄ってことになってるわ」
「俺はケントだ。あいつら元気過ぎて疲れたよ」
「ははは、みんな遊びたい年頃だからな」
ウルとラルはこの孤児院の中では一番年上で来年から住み込みで働きに行く予定のため今はその勉強中だ。
「二人はどこに働きに行くの?」
「……」
俺が話を聞くとどこか雰囲気が悪くなってきた。二人からは何も返事がないのだ。
さっきまでの笑顔はなくどこか諦めたような悲しい顔をしていた。
「ケントくんごめんね」
「どうかしたんですか?」
「この子達もさっき言ったように外れスキルと言われているから中々働き先がみつからないのよ」
エイマーはそんな二人を見て頭を撫でていた。働き先を増やす意味合いで文字の練習や簡単な計算を教えていたらしい。
「そんなに外れスキルって多いんですね……」
「王都の孤児院はそういう人の集まりだからな」
「そうね。ウルとラルは悪くないのにスキルでこんな扱いされちゃうとね」
孤児院出身に対しては特に何も言われることはないが、スキルに関しては働くことの条件に入っていることが多いらしい。
飲食店でもそこまで必要になさそうなに感じるが、スキル【料理人】や【給仕】などのスキル持ちが優先されるのは当たり前の話だ。
料理人であればあまり教えなくても手際が良かったりなどすぐにお店で使えることが多いらしい。
即戦力になるのは努力より才能ってことらしい。
「気分を悪くしたならごめん」
そんな二人を見て俺はすぐに謝った。
「それは仕方ないことだからな。だから俺達は勉強してるんだ」
「ウルの言う通りよ。ケントくんが気にすることでもないわ」
「そういえばケントくんってこの子達のスキルを知ってる?」
エイマーはさっきケントと約束したことを思い出し、ラルとウルにステータスを開示するように伝えた。
――――――――――――――――――――
《ステータス》
[名前] ウル
[種族] 人間/男
[固有スキル] 介護福祉士
[職業] 孤児
――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――
《ステータス》
[名前] ラル
[種族] 人間/女
[固有スキル] 介護福祉士
[職業] 孤児
――――――――――――――――――――
双子が影響しているのか名前以外の項目はほぼ同じだった。
それよりもスキルがやはりケントの身近に感じるものだった。
この世界では医療・福祉は外れスキルと言われているのだろうか。むしろ俺としては最近当たりスキルにしか見えない。
「介護福祉士か」
「ケント知ってるんか?」
「ケントくんわかるの?」
俺の反応にウルとラルは肩を強く掴んできた。
「痛たたた!」
手の力は肩が痛くなるほどだった。それほど二人にとっては必死なことだったんだろう。
「ごめん」
「別に大丈夫だよ」
すぐに手を離したが離すタイミングや謝るタイミングが同じなのは双子だからだろうか。基本的に息が合ってるのだ。
「ケントはスキル【介護福祉士】って知ってるの?」
俺はもちろん知っていたため頭を縦に振った。
「おおお、これはどういうスキルなんだ!」
無意識にウルはまた俺の肩を掴むと前後に揺らされていた。どこかこの子からは冒険者と同じ匂いがした。
ウルに揺らされ続けたからなのか若干酔ってきた。
「ウル! これじゃあ話が進まないでしょ」
「ああ、すまん」
ラルに止められるとウルは手を止めた。兄はウルの方だが妹のラルの方がしっかりはしていた。
「ケントくんごめんね」
「ああ、大丈夫だよ。それで介護福祉士についてだよね?」
「そうそう。ここの孤児院には私達以外にもこのスキルを持っている子達はたくさんいるの。だから私達がスキルを使えたらあの子達もどうにか働くときの手助けになればいいと思ってね」
孤児院の子ども達の中には二人と同じスキルを持っている子は数人いた。
しかしその子らも含めて世間の認識では外れスキルだった。
俺の中では孤児院のイメージは変わり、孤児院という名の専門学校のように感じてきていた。
「んー、多分王都でもそのスキルを使うのは難しい気もするけどな……」
「やっぱり俺達のスキルって外れスキルなんだな」
俺の一言でウルは落ち込んでいた。
そもそも介護福祉士の活躍の場所は介護が必要な場所だ。
だが王都でも医療のレベルがそこまで高くないため、すぐに亡くなる人の方が多いのが現状だった。
回復スキルは外傷を治すか薬師みたいに風邪などを治すスキルが基本だが、その中で元に戻らない現状があった。
そこで俺のスキル【理学療法】がうまく一致しただけだ。
現にまだ介助が必要な人を見たことがなかった。お風呂を入る文化もないため入浴介助もいらないしな。
「ごめんね。少しスキルが使えそうな仕事があったらまた伝えるよ」
「ありがとう! まぁ、今までと変わらないってことだからウルも落ち込んでないで勉強するよ」
ウルはラルに励まされ勉強を始めた。
――二時間後
子ども達は目が覚めると俺達の見送りに来ていた。
「兄ちゃんまた遊んでね」
「絶対また来いよ」
水球鬼ごっこが良かったのか俺はいつのまにか子ども達に懐かれていた。
「みんなも元気でね! また今度来るよ」
俺達は荷物を背負い憩いの宿屋に帰った。元気に遊んでいた子達のためにも介護が必要とする現場を探す必要があると俺は改めて思った。
11
あなたにおすすめの小説
スライムに転生した俺はユニークスキル【強奪】で全てを奪う
シャルねる
ファンタジー
主人公は気がつくと、目も鼻も口も、体までもが無くなっていた。
当然そのことに気がついた主人公に言葉には言い表せない恐怖と絶望が襲うが、涙すら出ることは無かった。
そうして恐怖と絶望に頭がおかしくなりそうだったが、主人公は感覚的に自分の体に何かが当たったことに気がついた。
その瞬間、謎の声が頭の中に鳴り響いた。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
他人の寿命が視える俺は理を捻じ曲げる。学園一の美令嬢を助けたら凄く優遇されることに
千石
ファンタジー
【第17回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞】
魔法学園4年生のグレイ・ズーは平凡な平民であるが、『他人の寿命が視える』という他の人にはない特殊な能力を持っていた。
ある日、学園一の美令嬢とすれ違った時、グレイは彼女の余命が本日までということを知ってしまう。
グレイは自分の特殊能力によって過去に周りから気味悪がられ、迫害されるということを経験していたためひたすら隠してきたのだが、
「・・・知ったからには黙っていられないよな」
と何とかしようと行動を開始する。
そのことが切っ掛けでグレイの生活が一変していくのであった。
他の投稿サイトでも掲載してます。
※表紙の絵はAIが生成したものであり、著作権に関する最終的な責任は負いかねます。
田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした
月神世一
ファンタジー
「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」
ブラック企業で過労死した日本人、カイト。
彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。
女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。
孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった!
しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。
ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!?
ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!?
世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる!
「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。
これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる