112 / 281
第一章 外れスキル

112.妖精

しおりを挟む
「妖精だ……」

 上空からヒラヒラと降りてくる妖精に俺は感動した。

 小さな見た目に半透明な羽が二枚生えた少女達だ。

「初めてわしを見た時と反応が違う気がするのじゃが……」

「ん? きっと気のせいだよ」

 何か感じ始めていたコロポに俺はすぐに話を流した。

「あたいらの住処からすぐに立ち去るのじゃ」

 そんな中赤色の妖精が近づき、怒りを露わにしていた。

「そんなに怒ってはだめよ」

 それを青色の妖精が宥めた後、緑色の妖精が赤色の妖精と遊び始めた。妖精同士が遊んでいるところを見るだけでパワースポットよりすごい何かを感じる。

「ご迷惑をお掛けしました」
 
「いえいえ、それにしても姿を見せて良かったのですか?」

「本当は人間には見せたくなかったのですが、コロポックルと一緒にいるとわかったので姿を見せることにしました」

 コロポが胸元から出てきたため、妖精達は危なくないと判断したらしい。なら早くからコロポを胸元から取り出せばよかったな。

 魔法が上空に浮いて脅されるのは結構恐怖感が強い。

「それであの者は何故あんなに怒っているのじゃ?」

「私達の住処である池に人間が来てから、魔素が強くなって魔物達が寄ってくるようになったのよ」

「どういうことじゃ?」

 コロポは青色の妖精に詳しく話を聞いた。

 五日ほど前に妖精の住処である池に一人の男が訪れた。

 その男はポケットから何かを取り出すと、池の中に放り投げて去って行った。

 妖精達はあまり気にしてはいなかったが、以前より池の魔素は強くなり魔物達が集まって来ているような気がしていた。

 ある程度の魔法は使えるため、みんなで協力して魔物を追い払っていたが、次第に数が増えてきたため妖精達は住処を変えて森の中を彷徨っていた。

 そんな時にケントの姿を見つけてこれ以上池を壊されないように赤色の妖精の提案で声をかけてきたらしい。

「アクセサリーってどんな感じか覚えている?」

 ふと気になって聞くと、どうやら大きめの物だったらしいが何かまでは分からないと……。

「魔物って結構いるんですか?」

「今はスライムを中心に低級の魔物がたくさん溢れているわ。なぜかみんな池に向かっているのよ」

「コロポの魔法でスライムにバレずに池に近づくことってできるかな?」

「また何かする気じゃな? 危ないぞ?」

「コロポが居るから大丈夫だよ! ね?」

「むむむ……そんなに頼られているなら仕方ないのじゃ。きっとバレずに近くまでは可能じゃがどうするつもりなんじゃ?」

 なんやかんやで俺に頼られて嬉しそうだ。

 俺はコロポの魔法で姿を隠して少しだけ家に近づくことにした。





 コロポの魔法で姿を隠し、池が見える範囲まで近づいた。

「魔物ってどこにいるの?」

「あそこにいます」

 妖精が指差した方は池だった。

「魔物って――」

 池を見ていると水面にプカプカとクラゲのように浮いているスライムがいくつかいた。

「あれがスライムか……?」

 俺は初めて異世界の定番であるスライムを見た。

 ドロっとした得体の知れないものではなく、某ゲームのような目がついて中心には石が浮いていた。

「スライムは魔法で攻撃するか、直接コアを叩かない限りは倒せないのじゃ」

 中心に浮いていた石はコアと言ってスライムの心臓のようなものらしい。

 基本的には魔法で弱らせてコアを露出させるか、鋭利なものでコアを直接破壊することでスライムは倒すことができる。

 以前はスライム達も穏やかで妖精に対して攻撃をすることはなかったが、魔素が増えてからは何かに取り憑かれたように攻撃的になり池の中心に向かっている。

 ただ、自分達の体が液体に近いからなのか池に入るとクラゲみたいに浮いているのだ。

「今から試したいことがあるんだけど、風属性魔法を使える子っている?」

「はいはい! 僕が使えるよー」

 妖精達に聞くと緑色の妖精が楽しそうに手を挙げていた。

 まさかのボクっ娘だ。

 それにしても妖精達は色によって性格もバラバラだった。

 赤色は強気で少し攻撃的な印象、青色は穏やかでお姉さん的な存在、緑色は元気なボクっ娘、黄色は無口でボーッとしている。

「わしを見つめてどうしたのじゃ?」

「うん……何もないよ」

 なぜコロポだけこんな性格なんだろうか。おじさん枠も探せばたくさんいるのだろうか。

 俺は気を取り直しコロポと妖精達に作戦を伝えた。

「じゃあいくぞ!」

 コロポの魔法で姿を隠したまま池に近づいた。

 池の近くまで来るとスライムの数は多く隙間無く池に浮いていた。

 池だと思っていたところもほぼスライムだったのだ。

「この前より数が増えているわ……」

 妖精達が池から離れた時よりも数が増えているらしい。

「じゃあ、緑の妖精さんお願いするね」

「わっかりましたー!」

 緑色の妖精は元気よく返事をすると風属性魔法を発動させた。

 妖精の魔法は思ったよりも強力でスライム達は次々と池から飛ばされ、気づいた頃にはスライムは池から放り出されていた。

「流石、緑の妖精さん!」

「へへへ、どんなもんだい!」

 緑の妖精は笑顔で胸を張っていた。やっぱりおっさんの笑顔より少女の笑顔の方が可愛いかった。
しおりを挟む
感想 120

あなたにおすすめの小説

スライムに転生した俺はユニークスキル【強奪】で全てを奪う

シャルねる
ファンタジー
主人公は気がつくと、目も鼻も口も、体までもが無くなっていた。 当然そのことに気がついた主人公に言葉には言い表せない恐怖と絶望が襲うが、涙すら出ることは無かった。 そうして恐怖と絶望に頭がおかしくなりそうだったが、主人公は感覚的に自分の体に何かが当たったことに気がついた。 その瞬間、謎の声が頭の中に鳴り響いた。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

他人の寿命が視える俺は理を捻じ曲げる。学園一の美令嬢を助けたら凄く優遇されることに

千石
ファンタジー
【第17回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞】 魔法学園4年生のグレイ・ズーは平凡な平民であるが、『他人の寿命が視える』という他の人にはない特殊な能力を持っていた。 ある日、学園一の美令嬢とすれ違った時、グレイは彼女の余命が本日までということを知ってしまう。 グレイは自分の特殊能力によって過去に周りから気味悪がられ、迫害されるということを経験していたためひたすら隠してきたのだが、 「・・・知ったからには黙っていられないよな」 と何とかしようと行動を開始する。 そのことが切っ掛けでグレイの生活が一変していくのであった。 他の投稿サイトでも掲載してます。 ※表紙の絵はAIが生成したものであり、著作権に関する最終的な責任は負いかねます。

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

処理中です...