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第一章 外れスキル

147.傷の後遺症

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 あれから数日後には南のトライン街に向かった組織も無事に戻り、全ての強制進化の首輪が回収された。

 どうやら討伐された魔物が付けていた強制進化の首輪は効力を失うらしい。

 そして一ヶ月が経ち、今日も俺はリハビリをしていた。

 あの件があってからリハビリの提供場所として、孤児院の空いている部屋を使って依頼を受けている。

 カタリーナからは冒険者ギルドでやっても構わないと言われているが、今の孤児院の状況を他の人にも知ってもらうチャンスだと思い孤児院でやることにしたのだ。

「ネロさん体の動かし辛さはないですか?」

「だいぶ良くなったかなー。ほら、魔法もこの通り」

 ネロは手の平から水球を出した。ネロはあれから意識を取り戻して、俺のリハビリを受けていた。

 初めは外傷の影響で動き辛さはあったが、今では魔法を発動できるまでに回復している。

「依頼も少しずつにしてくださいね」

「えっ? 明日から復帰予定だよ。遠出の依頼を受けようと思ったけど……」

「急に遠出して自分の体力考えてくださいよ。死ぬ寸前までやられたのに、また何かの拍子でランクが高い魔物が出現したらどうするんですか? 今回はたまたまガレインが居たからどうにかなったけど、常にギルドに居るわけじゃないんですからね」

「わかったわよ。これはフェーズが根気負けするわね……」

 俺が有無を言わせないような言葉にネロも遠出の依頼を諦めるしかなさそうな顔をしていた。

 正直言って冒険者は脳筋ばかりの集まりだからその辺は気をつけないといけない。

「じゃあ、また依頼後にいつでも良いので顔を出してくださいね」

「わかったわ」

 そしてリハビリを終えたネロは部屋を後にした。

「今は何をやってたんだ?」

 俺のリハビリをマークとエルクは見学をしていた。

「ネロさんは怪我の影響で腹筋群の力が入りにくくなってるんだ。傷は治ったけど皮膚自体は少し突っ張り感も残っているしね」

 ネロは腹部の損傷から腹筋群に筋力低下がみられていた。単純に力が入りにくくなっている。

「基本的に魔法使いだからよっぽどのことがない限りは大丈夫だと思うよ。ただ、ある程度回避しながら魔法を放つってなると体幹が安定しなくては思い通りのタイミングで魔法がコントロール出来ないからね」

 内臓や見た目は元どおりなっても、損傷した筋肉までは全てが元には戻るわけではない。

 それこそ魔法を使う時に体幹がブレて狙ったところに魔法が撃てない可能性もある。

「ならネロさんはまだ全てが治ったってわけではないんですね」

「そういうことだね。あれで遠出してまた大型の魔物やランクが高い魔物に出会ったら命に関わるからね」

「なら、依頼を禁止した方がいいんじゃないですか?」

 エルクの疑問にマークも隣で頷いていた。

「全てを禁止にはしたいけど、冒険者は元々お金を貯める人が少ないし、その場で稼いで使っちゃうからね」

 冒険者はその日に稼いだお金をその場で使ってしまう人が多かった。本当に脳筋ばかりで困る。

「ネロさんはまだ良いけど、前衛職の人はほんとにね……」

 元々剣に特化したクレイウェン王国は、冒険者ギルドに所属している者の多くは前衛職だ。

 マルクスや破滅のトラッセンであるリモンもその一人だが、それが関係して少し後先考えない傾向がある。

「生活が出来ないからある程度は許容しないといけないってことですね」

「そういうことだね。その人の生活リズムや環境も視野に入れて考えないといけないね」

「はーい!」

 彼らも後輩として少しずつ成長してきている。俺はどこか実習に来た学生を思い出していた。
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