169 / 281
第一章 外れスキル

169.物件探し

しおりを挟む
 今日はラルフも含めた家族五人とガレインを連れて商業ギルドに来ている。

 ガレインはたまたま孤児院に来たところをみつけて連れてきたのだ。

「ガレイン様今日はどのようなご用件でしょうか?」

「今日はこの者達の家を探していてね」

 商業ギルドは一通り顔を見て、俺をみつけると反応が変わった。

「チッ!」

 やはり俺のことが気に食わないのだろう。商業ギルドのトップがこれでよく成り立っている。

「お前今舌打ちしただろ」

 それを見ていたロニーは商業ギルドのギルドマスターに文句をつけた。

「ガレイン様こんな野蛮な人達を王都に住まわせるんですか?」

「彼らは私の恩人の家族達だ」

「はぁー、ガレイン様は御心が広いんですね。感動しました」

 俺達とガレインに対する対応の差は歴然としていた。

「ケントが言ってた通りだったな」

「前もここのギルドマスターはこんな感じだったからな。ラルフも商売系の依頼を受ける時には商業ギルドが関わってるから気をつけてね」

 俺がいれば物件を紹介してもらえないと事前にわかっていたため、今回ガレインを連れてきたのだ。

 ガレインがいなければ俺は行かないつもりだった。

「この者達はどこか希望があるんですか?」

「あー、ケントはどこがいいとかある?」

「俺とラルフは孤児院とか冒険者ギルドに近い地区がいいかな? ロニーさんは?」

「俺は治安が悪すぎなければいいぞ」

 俺達の話を聞きギルドマスターはニヤリと口角を上げた。

「ならちょうどいい物件があるんですよ。少しお待ちください」

 ギルドマスターはそう言って奥の部屋に入って行った。

「なんか嫌な予感がするんだが……」

「ラルフもか。俺もこの感じだと」

 きっとまた何か押し付けられるんだろう。ただシルキーみたいな便利……いや、可愛い子がいるところであれば特に問題はない。

「お待たせしました! この物件はどうですか? むしろ希望通りの物件は今空いてるのだとここしかないですね」

「ギルドマスターそれは――」

「君は自分の仕事に戻りなさい」

 近くにいた受付嬢が声を掛けようとするがギルドマスターに止められていた。

「まずは行きましょうか」

 若干強引だが今回はギルドマスターが直接案内をすることになった。





 俺は家の前であまりの大きさに驚いていた。ギルドマスターが持ってきたのは値段の割に異世界食堂と病院よりは少し小さめだが見た目は屋敷に近い家だった。

「意外に大きいんだな」

「家族五人になったんだから多少大きくても良いわよね?」

 見た目からロニーとアニーは気に入っていた。いや、これは騙されてはいけないぞ。

「中もしっかり綺麗にされてるんですよ」

「確かに綺麗だね」

 ギルドマスターに勧められるがまま家の中に入ると中は綺麗に維持されていた。

「ちゃんと管理してますからね。ガレイン様この者達も気に入っているのでここでどうでしょうか?」

「ケントとラルフはどう?」

「俺は良いと思うけどラルフ何か見えたか?」

 ラルフはスキルを発動させて確認をしながら歩いていた。

「特に怪しいとこは今のところないけど……」

「皆さんも良さそうですね。ではここで決定ということで私は忙しいので失礼します」

 ギルドマスターはそそくさと急いで帰って行った。

「父さんと母さんは大丈夫?」

「ああ、俺は良いけどあの人の態度が気になるよな」

「確かにそうね」

「一度全ての部屋を見回って、嫌ならまた言いに行きましょうか」

 ガレインの提案通りに一度全ての部屋を見てから契約する方向性で決定した。

 それから台所、居間、部屋をみていても特に変わったところはなく、孤児院食堂を作る時と違ってシルキーのように何か出る感じもしなかった。

 俺としては幽霊でなければなんでも大丈夫だ。

「お兄ちゃんここに扉があるよ?」

 アリミアは他の部屋より小さい扉をみつけると、俺を呼ぶと同時に少し開けた。

「そこは開けちゃだめ!」

 ラルフはスキルの影響ですぐになにかを感じ取っていた。

「い……いやああああー!」

 突如扉の隙間から薄っすらと半透明な触手が飛び出てアリスの腕に絡みついていた。

 そのまま扉は急激に開き、アリスは謎の物体に引き込まれるように連れていかれた。

「お兄ちゃん!」
 
「アリミアー!」

 俺達の声は虚しく家の中で響いていた。
 
しおりを挟む
感想 120

あなたにおすすめの小説

スライムに転生した俺はユニークスキル【強奪】で全てを奪う

シャルねる
ファンタジー
主人公は気がつくと、目も鼻も口も、体までもが無くなっていた。 当然そのことに気がついた主人公に言葉には言い表せない恐怖と絶望が襲うが、涙すら出ることは無かった。 そうして恐怖と絶望に頭がおかしくなりそうだったが、主人公は感覚的に自分の体に何かが当たったことに気がついた。 その瞬間、謎の声が頭の中に鳴り響いた。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

他人の寿命が視える俺は理を捻じ曲げる。学園一の美令嬢を助けたら凄く優遇されることに

千石
ファンタジー
【第17回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞】 魔法学園4年生のグレイ・ズーは平凡な平民であるが、『他人の寿命が視える』という他の人にはない特殊な能力を持っていた。 ある日、学園一の美令嬢とすれ違った時、グレイは彼女の余命が本日までということを知ってしまう。 グレイは自分の特殊能力によって過去に周りから気味悪がられ、迫害されるということを経験していたためひたすら隠してきたのだが、 「・・・知ったからには黙っていられないよな」 と何とかしようと行動を開始する。 そのことが切っ掛けでグレイの生活が一変していくのであった。 他の投稿サイトでも掲載してます。 ※表紙の絵はAIが生成したものであり、著作権に関する最終的な責任は負いかねます。

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

処理中です...