204 / 281
第一章 外れスキル

204.作戦会議

しおりを挟む
 俺達はカタリーナの執務室に通された。そこで防音の魔道具を発動させた。

「今回は結構厄介になりそうなのじゃ」

 カタリーナは部屋に入るなりすぐに話し出した。

「そんなに魔物の数が多いのか?」

 ハワードがカタリーナに聞き返すと机に地図を広げた。

 そこには王都が中央にかかれている。

「現在王都を中心に四ヶ所から魔物が攻めて来ているのじゃ」

 カタリーナの説明では南にあるトライン街を除き、東、北東、北西、西の四ヶ所から魔物が攻めてきていた。

 この間も思ったが、なぜ南のトライン街周囲は魔物が活発にならないのだろうか。

「まず、各々指揮官を立てる。北東はハワード、北西と西を騎士団と魔法士団に頼む。それで東は我が指揮をとるのじゃ」

 東と北東はカタリーナとハワードが指揮する冒険者組、北西と西はマルヴェインとセヴィオンが指揮することになった。

「あのー、この話に私達は必要ですか?」

 ガレインが申し訳なさそうに手をあげると今度は俺達に指示を与えた。

「ガレイン、ケント、ラルフを中心に救護班として王都周辺で活動を頼むのじゃ。ちなみに仮冒険者以外にも聖教ギルドにも頼んでいるところじゃ」

 怪我人の治療も含めて、俺達は王都内で待機することになった。

 ただ、聖教ギルドが絡むって言われるとどこか受け入れ難いところはある。

「わかりました。では私達は王都で待機してればいいんですね」

「念のために護衛を数人付けれないか?」

 ハワードの一言にカタリーナは首を傾げた。

「ここに来る前にある貴族が襲われている。何か別のところで物事が動いている気がする……」

「なら魔法士団から数人護衛として送ろう。新人だがベズギット魔法国の卒業生だから大丈夫であろう。あとはケント達とも仲は良いからな」

 セヴィオンはカタリーナに告げるとそれを許可した。たぶんゴードン達のことだろう。

「ケントの周りでは何かしら問題が起こるからな……。念のために冒険者のマルクスも王都に置いていくのじゃ」

 しばらくすると話は無事に終わった。まずは救護施設と待機場所の確保が優先となった。

 その後準備ができた隊から進行することとなった。




 日が暮れ出した頃にはマルクスを含む俺達は王都北側の門近くに待機していた。

 基本的には前線に出ている負傷者が離脱後に治療する手筈となっている。

「よっ、また会ったな!」

 挨拶してきたのはゴードンだった。その後ろにはいつものように同期の二人もいた。

「ケントこいつらは誰だ?」

 冒険者であるマルクスは魔法士団のゴードン達のことを知らなかった。ただ、服装からして魔法士団と認識していたがあえて聞いたのだろう。

「この人達はセヴィオンさんの部下で魔法士団の方達です」

 マルクスは一度強く三人を睨んだ。

 魔法士団に所属しているということは、本来は貴族だから警戒しているのだろう。

「ああ、挨拶が遅れました。私達はセヴィオン様から指示を受けたゴードンと申します」

 ゴードンはマルクスの前に手を出した。

「ああ、すまない。こちらこそよろしく頼む」

 それに応えるようにマルクスはゴードンの手を握った。

「ゴードンさん、オラの時と態度が違くないですか?」

 ラルフがゴードンに突っかかると彼は鼻で笑っていた。

「君達は見た目からして弱そうだからね。クレイウェン王国は身分や種族の違いに対しての差別はあるが、一番は強さが重要だからな。強い者に対して礼儀がなってないのは貴族としての醜態だよ」

 単にマルヴェインやセヴィオンが戦闘狂や脳筋ってことではなく、この国自体がスキル重視で能力や強さによる差別が一番大きいことを再認識した。

「だから今はこんな接し方だろ? むしろ今回俺達は必要なのか?」

 ゴードンがそう思うのは仕方なかった。

 それだけマルクスが冒険者として実力があるのが伝わっていた。

「まぁ、護衛は僕達だけじゃないですからね」

 俺が指を差す方には異世界病院に所属している医療スキル持ちの孤児達がいた。

「そういうことか。それと聖教ギルドの奴らには気をつけろってセヴィオン様からの伝言だ」

 それは俺も同意見だ。あの事件から関わることも避けたいぐらいだ。

「わかりました。私がいるので少しは良いかもしれないですが気を付けておきます」

 あの後聖教ギルドから何も言ってこないのはガレインがいたことに気づいていたからか、あの男自体に力がなかったかのどちらかだろう。

「ではそろそろ私達も待機場所に向かうとしますか」

 周りの準備が整ったため、俺達異世界病院所属のメンバーを含む仮冒険者達も待機場所に向かった。 
しおりを挟む
感想 120

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

他人の寿命が視える俺は理を捻じ曲げる。学園一の美令嬢を助けたら凄く優遇されることに

千石
ファンタジー
【第17回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞】 魔法学園4年生のグレイ・ズーは平凡な平民であるが、『他人の寿命が視える』という他の人にはない特殊な能力を持っていた。 ある日、学園一の美令嬢とすれ違った時、グレイは彼女の余命が本日までということを知ってしまう。 グレイは自分の特殊能力によって過去に周りから気味悪がられ、迫害されるということを経験していたためひたすら隠してきたのだが、 「・・・知ったからには黙っていられないよな」 と何とかしようと行動を開始する。 そのことが切っ掛けでグレイの生活が一変していくのであった。 他の投稿サイトでも掲載してます。 ※表紙の絵はAIが生成したものであり、著作権に関する最終的な責任は負いかねます。

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

処理中です...