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第一章 外れスキル

225.貴族の仕事

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 俺達は城に着くとそのまま王様が待つと言われる部屋に通された。そこは会議室のようになっており、数人がテーブルを囲むように座っていた。

「急に呼んですまない」

「いえ」

 ここに呼ばれるまでに自分の中でのなんとも言えない感情が入り乱れていた。

 たぶんここにいる人達は俺の話を聞くために集まっているのだろう。

 ただ、俺の中で王都を守らないといけない気持ちが失いつつある。

 大事な家族、孤児院の子達を連れて逃げればよかったのではないか。

 俺達が守る必要性があるのか……ただ医療現場で働く者には患者を拒否することはできない。

 何で自分達が命をかけないといけないのだろう……。

 冒険者だからと言われればそれまでだが、生きるにはその方法しか選択肢がなかっただけだ。

「おい、小僧その態度はなんだ!」

 俺の態度が気に食わないのだろう。王様の近くにいた鎧を着た男が睨みつけてきた。

「なぜ貴族の皆さんはずっと何もせずに終わるのを待っているんですか?」

 俺は思ったことが口から出てしまった。

「小僧その口を――」

「ケントくんすまない。続きを話してくれ」

「しかし……」

 王様の声に鎧の男は口を閉じ俺に圧を放った。ただ、俺は何も思わない。

 それだけ現場は今どうなっているのかわからない。俺がここにいればいるだけ治療が間に合わないかも知らない。

「俺達は医療現場で働く者です。だから怪我をした冒険者達の治療をするのは当たり前だとわかっています。どれだけ血だらけで来ようが、腕や脚が折れて運ばれても自分達のできる限りのことをするだけです」

「騎士団、魔法師団、冒険者の人達は命を掛けて今も戦っています。貴族の人達が今やることはなんですか? 呑気に買い物することですか? 庭でお茶会することですか? 仕事をサボって笑いながら話しをすることですか?」

「おい、ケントその辺に――」

「なぜ貴族の人達は何もしてないですか? あなた達は何のための貴族なんですか? まだ魔物が向かっていることも平民は知りません。魔物を呼んでいる原因がここにあることすら把握していないですよね?」

 俺は異次元医療鞄から強制進化の首輪を出した。

「小僧そんな物を出して――」

「これは数日前から王都の中にばら撒かれた物です」

 俺の言葉に貴族達は驚いた顔をしていた。

 実際にはじめて魔力を感知した時にはこの首輪は仕掛けられていたのだろう。

 魔物が集まって侵攻してきていることは知っていても原因までは掴んでいないようだ。

 回収できていないという結果から言えることはそれを感じ取れる人がいないのか、気づいても誰かがやってくれると思い対処をしていなかったのか俺にはわからない。

「王都には5つの強制進化の首輪が放たれています」

「それじゃあ、あと一つは……」

「ここ、王都の城の中に存在しています。ここまで言ったら僕の言いたいことが伝わると思います」

 王様はその場で立ち上がりすぐに指示を出した。

「直ちに城の中に首輪があるか探し出せ! 平民達には指示があるまでなるべく家の中に避難するように伝えろ!」

 王様は俺の言いたいことがわかっているようだ。

「ケントくん達子どもにそんな思いをさせてすまない。本当は我々大人達……いや、貴族が平民のためにすぐに動くべきだった」

 王様は俺を見ると頭を下げた。その姿に騎士は俺を睨んでいるが知ったことではない。

 この人はきっと立場に関係なく自分の非を認められる人なんだろう。

「では、僕は首輪の回収に行ってきます」

「貴様はじめから場所がわかってて――」

 俺は鎧を着た騎士の話を流してそのまま部屋を出た。


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