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第一章 外れスキル

228.父親

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――トントン!

「失礼します」

 俺は扉を軽く叩いてから部屋の中に入った。

「先程は失礼しました」

 入ってすぐに俺は頭を下げた。不敬罪にはなりたくないからな。

「ああ、頭を上げてくれ」

 頭をあげるとそこには優しい顔をした王様がいた。

「ははは、今はガレインの父親、そしてただの冒険者として接してくれ」

 確かこの国の王様は以前王都のギルドマスターであるカタリーナと共にパーティーを組んでいたはずだ。

「ケントくんの発言に少し頭を叩かれたようだったよ」

「すみません!」

 俺は全力で謝った。だって本人にそこまで言われたらもはや不敬罪だ。

「いやいや、悪い意味で言ったわけではないよ。俺も冒険者の時の気持ちを忘れていたと思ってね」

「へっ!?」

「俺はこの国を守るためにクレイウェン王国の国王になった。ただ、歳を取っていくとその気持ちも忘れてしまうようだ。今も我が息子達が頑張っているのにな……」

「実際貴族はこういう時は何をしているんですか?」

 貴族の仕事を知らないからこそ言ってしまったということもある。

「全ての貴族が遊んでいるわけではないことを先に伝えておこう。実際前線から連絡が来て民の行動を考える必要がある。だが、その一方でケントくんが言ったことも事実だ。ただ連絡を待っているだけだ」

 どうやら俺が考えていたことと大きく違いはないようだ。

「だからこそ冒険者達には惜しみなく報酬としてお金や名誉を与えることしかできないんだ。俺が国王になってもそれは変わらなかった。結局国王は最前線には立てない人物だからな」

 王様には王様なりの悩みがあるのだろう。

「僕も何も知らずに文句ばかり言ってすみません」

「俺達も自分の身を少しでも守れるようにはするよ。せめて王都に攻めてくる者を捕まえて逃げられないようにはしよう」

 うん、やはりこの人もどこか脳筋のような感じがした。

「あっ、そういえば首輪は全て回収できました。魔物の移動がどうなったか確認はできませんか?」

「ああ、少し待ってくれ」

 王様は部屋の前で待機している人に伝えるとすぐに確認してくれることになった。

「それでガレインはどうかな?」

「ガレインですか……?」

 ガレインの父である国王は息子のことが心配なんだろう。

 マルヴェインやセヴィオンとは違い前線にも出たことがないからな。

――トントン

「失礼します」

「ああ」

「先程前線と連絡は取れましたが無事進行は収まりました。ただ、問題がありまして……」

「マルヴェイン様、セヴィオン様共に魔力不安定症になりました」

「魔力不安定症だと!?」

 その場は騒然となっていた。やはりそんなに重大な病気なんだろう。

「そういえば現場で魔力不安定症の治療に成功しました」

「えっ?」

 その場の空気は止まった。

「今回出現した魔物の攻撃が当たると魔力不安定症になることがわかりました」

「なんだと……だからそんなに必死になっていたのか」

「はい……ただガレインがいたのでどうにかなってるので大丈夫ですよ」

「それで魔力不安定症の原因はなんだったんだ?」

 俺は異次元医療鞄から例の魔力の塊を取り出した。

「これって見えますか?」

「いや……俺にただの瓶にしか見えないな」

「ここに魔力を不安定にする虫みたいな魔力の塊が入ってるんです」

「そうなのか……?」

「実際に見えているのは俺とガレインとラルフの三人だけなんです。ひょっとしたら魔力が高いギルドマスターなら見えるかもしれないです」

「そうか……あのガレインがこんな立派になるとはな。マルヴェインとセヴィオンのことも頼む」

「わかりました」

 王様の顔は息子を思う父親の顔だった。

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