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第一章 外れスキル

250.ラルフの覚悟

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「それで俺達を呼んだ理由はそれだけか?」

「いや、問題はその先にあるんだ……」

 どこかガレインは言いづらそうにしていた。

「それはオラにも関係あるの?」

「特にラルフの方が関係している」

「オラに……?」

「今回の褒賞を与える際に小さなパーティーが開かれる。今回はそのパーティーに一部の冒険者意外に異世界病院の子達にも参加してもらうことになる」

 その話のどこにラルフが強く関係しているのだろうか。

「実はそのパーティーに……」

「パーティーに?」

「公爵家が集まるんだ」

「ほぉ、それは気をつけないといけないな」

「特にケントがね?」

「ははは、俺なら大丈夫だ」

「それが一番怖いよ」

 俺とラルフは何事もなく笑っていた。公爵家が来るからってそんなに気にすることがないのだ。

「本当に大丈夫なのか? アスクリス公爵家が来たとしてもか?」

「アスクリス公爵家……」

 幸せな毎日で忘れていた。俺とラルフがこの世で一番嫌い……いや、復讐したいと思っていた男だ。

「彼も公爵家だから招待されることになってる。しかも、私達の遠い親戚に当たるから来ないはずはないと思う」

 そういえばガレインは以前もそんなことを言っていた。

「そうか、わざわざありがとう」

「うん……。だから最悪パーティーはなしに――」

「いや、そんなことは言ってられないよ。せっかく王様が俺達に用意してくれたパーティーなんだ。せめて俺だけでも参加しないと」

 直接家族を殺されたラルフはともかく俺ならまだ大丈夫だ。なるべく視界に入らないように過ごせば問題ないはず。

 最近はケトの意識に引っ張られることも減ってきたからな。

「ラルフはどうする?」

「……」

 隣を見るとラルフは自身の手を強く握りしめていた。

 ラルフに殺人者と直接会ってくれと言っているようなものだからな。

「今回の参加は俺だけで――」

「いや、オラも参加する」

「えっ? 大丈夫なのか?」

「そうだよ。無理することないし今一番大事なのはラルフ自身……」

 それでもラルフの瞳は俺達を真っ直ぐ見ていた。

「ケント、リハビリという言葉の意味はなに?」

 突然ラルフに聞かれた時に俺はハッとした。きっとラルフの中で変わろうとしているのだろう。

「そういうことか」

「えっ? どういうこと?」

「リハビリ……いや、リハビリテーションの言語は直訳すると"再び適合させる"。障害を乗り越えて復権を取り戻すことを言う。つまり――」

「オラはこれを乗り越えないといけないってことだね。オラをここまで変えたのはケントの俺に対する家族という気持ちのリハビリだった」

 俺は特にラルフに対してリハビリをしたつもりはない。

「当の本人はわかっていなさそうだけどね。だから今回はオラが自分で乗り越えるんだ。二人とも心配してくれてありがとう!」

 ラルフは俺達を見て笑っていた。その姿はどこか俺の人生を変えたあの人に似ていた。

 ああ、クロス……俺も変わることができるのだろうか。
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