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第一章 社畜、パパになる
19.社畜、家族にいらないと言われる
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「おい、あれはリーゼントか?」
砂を巻き上げて何かが近づいてくるが、聞こえてくるのはスクーターの音だけだった。
「んんん、りーじぇっとと何か」
何かとは別の何かだろうか。
俺はスコップを持って待ち構える。
「ンモオオオオオ!」
明らかに聞いたことある声に俺は生態系調整の意味を知った。
「ゴボタ、あれは食べ物だ!」
「ふぇ!?」
果実ばかり食べているゴボタには食べ物には見えないだろう。
だが、俺には牛肉にしか見えない。
こっちに走ってきているのは白と黒の模様が特徴的な牛だった。
「あいつは焼いても美味しいし、煮ても良いんだぞ!」
「とーたん、こわい……」
「ひひひ、まずは焼肉が良いかな」
俺は流れ出てくるよだれを腕で拭き取る。
果実ばかりを食べて飽きている最中、焼肉が食べられるとわかったらこんな反応になるだろう。
「とーたん、メッ!」
そんな俺をゴボタは必死に止めていた。
「あいつは焼肉だぞ! 焼肉が嫌ならすき焼きかしゃぶしゃぶもいけるぞ」
「とーたん!」
俺の頭にはとにかく食べ物のことしかなかった。
そんな俺を止めるために、ゴボタは突然腹に頭突きをしてきた。
「うっ……焼肉……」
あまりの痛みに俺はその場で丸くうずくまる。
なるべく腹にタックルはしないように言っていたため、ゴボタがタックルするのは久しぶりだ。
だが、今回はそれを破るぐらいゴボタには必要なことだと思ったのだろう。
「ボスゥ、やつを連れてきたぜ」
「ンモオオオオオ!」
どうやらリーゼントは牛を連れて戻ってきたらしい。
リーゼントはスクーターから降りると、俺が倒れていることに気づいた。
「ボスゥ、どうした? ひょっとして便秘でうんこがでないのか?」
「うっ……」
「そうか、うんこが出ないんだな。俺の爪で掻き出してやろうか?」
腹の痛みで苦しんでいるのに、リーゼントは畳み掛けてくる。
「いや……それはムリ」
リーゼントは俺に浣腸するつもりだろうか。
絶対爪でやられたら、腸に傷がついてそれどころではない。
そもそも浣腸することに抵抗感はないのだろうか。
「生粋のツッパリはボスのためならなんでもするぞ!」
きっとスクーターに乗ってテンションが高いのだろう。
それなら早くハンモックを作って、寝床をしっかり準備してもらいたいものだ。
次第に痛みが和らいできたため、起き上がり牛に近づく。
「とーたん、メッ!」
ゴボタは牛を食べないように手を広げていた。
「焼肉もすき焼きもしゃぶしゃぶも食べなら……牛100%のハンバーグはどうだ?」
「はんびゃーぐ?」
ハンバーグは子どもが好きなメニューのトップ3に入るぐらいだ。
ゴボタもハンバーグという言葉に興味を示した。
「ンモォ……」
ただ、牛は俺の言葉を聞いて後退りしている。
食べられることがわかったのだろう。
「とーたん、いりゃない……」
「えっ……」
「いりゃない……」
それは俺がいらないということだろうか。
今までゴボタのことを大事に思っていたのに、急に反抗期が来て俺のメンタルは一気に傷ついた。
「もういいや……」
俺は部屋の隅に小さく丸まった。
こんなに子どもにいらないと言われて傷つくとは思わなかった。
俺の中でゴボタは生きがいのようになっていたからな。
世の中のお母さんやお父さんは、どうやってこの時期を耐えてきたのだろうか。
あー、俺にもママ友かパパ友が欲しいよ。
子育てに相談が必要って聞くのは、こういう時のためだろう。
「おい、ゴボタ。ボスが死にそうな顔をしているぞ?」
「ゴボタわりゅくない! いりゃないもん」
今もリーゼントが必死にゴボタを説得している声が聞こえてくる。
「さすがにいらなくても鼻くそをつけるぐらいにしとけよ」
ん?
ってことは昨日まではリーゼントも俺のことがいらないと思ってたのか。
話を聞くたびに俺は辛くなり、手で耳を閉じた。
「はんびゃーぐいりゃないもん」
「ん? ボスがいらないんじゃないのか?」
「とーたんはいりゅよ?」
まだ何かを話し合っているが、耳を閉じている俺には聞こえない。
「ンモオオオオオ!」
そんな俺を慰めてくれたのは、焼肉にするつもりの牛だった。
俺に頬をスリスリして慰めてくれるいいやつだ。
「さっきはすまなかったな。俺の仲間は牛しかいないのか。俺と旅でもするか……」
反抗期の我が子と俺のことが嫌いな犬しかここにはいないからな。
俺は靴を履いて牛とともに旅をする準備をする。
「とーたん!」
「ボスゥ!」
そんな俺をゴボタとリーゼントは引き止める。
ウルウルとした瞳で見つめられても、俺がいらないことは知っているからな。
可愛いけどその手には乗らないぞ。
「とーたん、はんびゃーぐいりゃない!」
「そうだ! ゴボタはハンバーグがいらないらしいぞ」
あれ?
俺が勘違いしていただけだろうか。
「でもリーゼントは俺がいらないから鼻くそをつけたんだろ?」
「ワォ!?」
やはりそれは間違っていないようだ。
「ボスゥ、それは昨日までだぞ! 今はボスがいないと困るぞ?」
「例えば……?」
「あー、えーっと……」
リーゼントは必死に考えているが、俺が必要な理由が中々出てこないようだ。
「とーたん、おもちろい!」
「俺ってそんなに面白くないぞ?」
「きゃおがおもちろい!」
「そうだそうだ! ボスゥは誰よりも顔が面白いぞ!」
これは喜んで良いのかわからない。
それになぜかリーゼントに言われるとムカついてくる。
ただ、俺を必死に止めようとしているのは見てわかった。
ここは大人の俺がしっかりしないといけないのだろう。
「はぁー、今回だけは旅に行かないことにするからな」
そう言って俺はゴボタとリーゼントを強く抱きしめる。
痛そうにしていたが、反抗期のゴボタとリーゼントの言葉に俺の心はボロボロだからな。
社畜の時はそんなことを思わなかったが、こんなに信頼している奴らにいらないと言われることが辛いとは思わなかった。
俺にとって二人は大事な存在だと改めて気付かされた。
「ボスってこんなにめんどくさいやつだったんだな」
「シィー!」
ゴボタとリーゼントは何かを話していたが、俺はゴボタとリーゼントの心臓の音で何も聞こえなかった。
それにしてもこんなに心臓の音が聞こえるのは普通なんだろうか……?
砂を巻き上げて何かが近づいてくるが、聞こえてくるのはスクーターの音だけだった。
「んんん、りーじぇっとと何か」
何かとは別の何かだろうか。
俺はスコップを持って待ち構える。
「ンモオオオオオ!」
明らかに聞いたことある声に俺は生態系調整の意味を知った。
「ゴボタ、あれは食べ物だ!」
「ふぇ!?」
果実ばかり食べているゴボタには食べ物には見えないだろう。
だが、俺には牛肉にしか見えない。
こっちに走ってきているのは白と黒の模様が特徴的な牛だった。
「あいつは焼いても美味しいし、煮ても良いんだぞ!」
「とーたん、こわい……」
「ひひひ、まずは焼肉が良いかな」
俺は流れ出てくるよだれを腕で拭き取る。
果実ばかりを食べて飽きている最中、焼肉が食べられるとわかったらこんな反応になるだろう。
「とーたん、メッ!」
そんな俺をゴボタは必死に止めていた。
「あいつは焼肉だぞ! 焼肉が嫌ならすき焼きかしゃぶしゃぶもいけるぞ」
「とーたん!」
俺の頭にはとにかく食べ物のことしかなかった。
そんな俺を止めるために、ゴボタは突然腹に頭突きをしてきた。
「うっ……焼肉……」
あまりの痛みに俺はその場で丸くうずくまる。
なるべく腹にタックルはしないように言っていたため、ゴボタがタックルするのは久しぶりだ。
だが、今回はそれを破るぐらいゴボタには必要なことだと思ったのだろう。
「ボスゥ、やつを連れてきたぜ」
「ンモオオオオオ!」
どうやらリーゼントは牛を連れて戻ってきたらしい。
リーゼントはスクーターから降りると、俺が倒れていることに気づいた。
「ボスゥ、どうした? ひょっとして便秘でうんこがでないのか?」
「うっ……」
「そうか、うんこが出ないんだな。俺の爪で掻き出してやろうか?」
腹の痛みで苦しんでいるのに、リーゼントは畳み掛けてくる。
「いや……それはムリ」
リーゼントは俺に浣腸するつもりだろうか。
絶対爪でやられたら、腸に傷がついてそれどころではない。
そもそも浣腸することに抵抗感はないのだろうか。
「生粋のツッパリはボスのためならなんでもするぞ!」
きっとスクーターに乗ってテンションが高いのだろう。
それなら早くハンモックを作って、寝床をしっかり準備してもらいたいものだ。
次第に痛みが和らいできたため、起き上がり牛に近づく。
「とーたん、メッ!」
ゴボタは牛を食べないように手を広げていた。
「焼肉もすき焼きもしゃぶしゃぶも食べなら……牛100%のハンバーグはどうだ?」
「はんびゃーぐ?」
ハンバーグは子どもが好きなメニューのトップ3に入るぐらいだ。
ゴボタもハンバーグという言葉に興味を示した。
「ンモォ……」
ただ、牛は俺の言葉を聞いて後退りしている。
食べられることがわかったのだろう。
「とーたん、いりゃない……」
「えっ……」
「いりゃない……」
それは俺がいらないということだろうか。
今までゴボタのことを大事に思っていたのに、急に反抗期が来て俺のメンタルは一気に傷ついた。
「もういいや……」
俺は部屋の隅に小さく丸まった。
こんなに子どもにいらないと言われて傷つくとは思わなかった。
俺の中でゴボタは生きがいのようになっていたからな。
世の中のお母さんやお父さんは、どうやってこの時期を耐えてきたのだろうか。
あー、俺にもママ友かパパ友が欲しいよ。
子育てに相談が必要って聞くのは、こういう時のためだろう。
「おい、ゴボタ。ボスが死にそうな顔をしているぞ?」
「ゴボタわりゅくない! いりゃないもん」
今もリーゼントが必死にゴボタを説得している声が聞こえてくる。
「さすがにいらなくても鼻くそをつけるぐらいにしとけよ」
ん?
ってことは昨日まではリーゼントも俺のことがいらないと思ってたのか。
話を聞くたびに俺は辛くなり、手で耳を閉じた。
「はんびゃーぐいりゃないもん」
「ん? ボスがいらないんじゃないのか?」
「とーたんはいりゅよ?」
まだ何かを話し合っているが、耳を閉じている俺には聞こえない。
「ンモオオオオオ!」
そんな俺を慰めてくれたのは、焼肉にするつもりの牛だった。
俺に頬をスリスリして慰めてくれるいいやつだ。
「さっきはすまなかったな。俺の仲間は牛しかいないのか。俺と旅でもするか……」
反抗期の我が子と俺のことが嫌いな犬しかここにはいないからな。
俺は靴を履いて牛とともに旅をする準備をする。
「とーたん!」
「ボスゥ!」
そんな俺をゴボタとリーゼントは引き止める。
ウルウルとした瞳で見つめられても、俺がいらないことは知っているからな。
可愛いけどその手には乗らないぞ。
「とーたん、はんびゃーぐいりゃない!」
「そうだ! ゴボタはハンバーグがいらないらしいぞ」
あれ?
俺が勘違いしていただけだろうか。
「でもリーゼントは俺がいらないから鼻くそをつけたんだろ?」
「ワォ!?」
やはりそれは間違っていないようだ。
「ボスゥ、それは昨日までだぞ! 今はボスがいないと困るぞ?」
「例えば……?」
「あー、えーっと……」
リーゼントは必死に考えているが、俺が必要な理由が中々出てこないようだ。
「とーたん、おもちろい!」
「俺ってそんなに面白くないぞ?」
「きゃおがおもちろい!」
「そうだそうだ! ボスゥは誰よりも顔が面白いぞ!」
これは喜んで良いのかわからない。
それになぜかリーゼントに言われるとムカついてくる。
ただ、俺を必死に止めようとしているのは見てわかった。
ここは大人の俺がしっかりしないといけないのだろう。
「はぁー、今回だけは旅に行かないことにするからな」
そう言って俺はゴボタとリーゼントを強く抱きしめる。
痛そうにしていたが、反抗期のゴボタとリーゼントの言葉に俺の心はボロボロだからな。
社畜の時はそんなことを思わなかったが、こんなに信頼している奴らにいらないと言われることが辛いとは思わなかった。
俺にとって二人は大事な存在だと改めて気付かされた。
「ボスってこんなにめんどくさいやつだったんだな」
「シィー!」
ゴボタとリーゼントは何かを話していたが、俺はゴボタとリーゼントの心臓の音で何も聞こえなかった。
それにしてもこんなに心臓の音が聞こえるのは普通なんだろうか……?
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