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第四章 もふもふはサラサラ

35.ドラゴンはツルツルのようです

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 王都の外に出ると早速近くの森に向かう。今回はいつも通り大人達がいるし、道も間違えずに森に着いたようだ。

「リックはこれを付けておけ」

「紐ですか?」

 渡されたのは長めの紐だった。この間、近くにいたのに目を離した隙にいなくなったことを後悔しているらしい。

 その解決策が僕の体に紐を巻くことだ。ちなみにこの紐はマリアが作った。

 兄を紐で管理することに、妹は何も追わなかったのだろうか。

「ふふふ、これは俺へのご褒美か。拘束プレイ――」

「子どもに変なことを教えるな!」

 代わりにいくつか用意した紐で、ロンリーコンがショタッコンを縛り上げている。

「あれは嫌ですよ?」

 僕はオーブナーの服の裾を掴む。ショタッコンが動くたびに、紐が体にめり込んで痛そうだ。

 あそこまで縛るなら、僕はずっとオーブナーの服を掴んで歩く予定だ。
 
 オーブナーは屈むと僕の背中に手を回した。とりあえず、抱きついてきたと思い僕は抱き返す。

 これで縛られず、自由に歩けるのなら問題ない。

「よし、これで完成だな!」

 どうやら僕の体は知らないうちに紐で結ばれたようだ。

 ただ、反対の紐はオーブナーの体に結びつけられていた。

 紐で結ばれるのは決定事項だったらしい。

 僕はオーブナーと共に薬草を探すことにした。周囲の警戒はロンリーコンとショタッコンがやっている。

 ショタッコンはいつのまにか自分で紐を解いていた。あれがSランク冒険者の実力なんだろう。

「あっ、薬草がある……うっ!?」

 僕は薬草を見つけて飛び出すと、紐に引っ張られて途中で止まってしまう。それをオーブナーはニヤニヤして見ている。

 絶対にオーブナーは人を困らせるのが好きな人だ。

 ゆっくりとオーブナーは近づき、僕も一緒に採取をする。

「おい、何でこんなところに上位薬草があるんだよ」

「えっ? これは光ってないですよ」

「いや、普通は光らないからな!」

 どうやら今まで採取していた薬草は特殊だったらしい。その後も僕が見つけて採取する薬草は、普通の薬草とは違うものばかりだった。

「これだけ薬草も採取できたから帰ろうか」

 僕の鞄にはたくさんの薬草が詰められている。入りきらない分は大人達に一部買い取ることを条件に協力して入れてもらった。

 中々売ってない薬草だから予備に欲しいらしい。みんな薬草を探すのが苦手なんだろう。

 体を縛っていた紐を解くと体がスッキリする感じがした。

「ふぅー、えっ!? あれってドラゴン!?」

 その瞬間、大きな影が宙を舞う。僕はあまりの嬉しさにドラゴンを追いかけた。

「おい待て! あいつはキラーマンティスだぞ!」

 ドラゴンを追いかけるのに必死な僕はオーブナーの声が聞こえなかった。





 これがドラゴンなんだろうか。目がギョロっとしており、鋭い顔をしている。

 体は少しつるってしているような感じだ。

 両手は鎌のようなものでできている。

「キシャァー!」

 僕のことに気づいたのか声をあげて近寄ってきた。僕は短杖を取り出して構える。

 ドラゴンなら一度はもふもふしてみたい。そんな気持ちを優先してしまいそう。

 そんな状況の中、モススは必死に髪の毛を引っ張っていた。モススは何かに怯えているのか震えている。

 必死にモスモスしても変わらない。

 秘技モスモスビームをしようにも、目の光は失っている。

 ドラゴンは僕達を目掛けて、大きく鎌を振り下ろす。

 僕はそれを転がるように避ける。そのタイミングで体に触れるのは忘れない。

 やはりドラゴンの体はもふもふしていないようだ。

 一度触れたらあとは用はない。

 全速力で逃げるだけだ。

 僕は勢いよく走ったが、隣でドラゴンも飛んでいた。鎌を振り下ろすたびに、ドラゴンは木を薙ぎ倒していく。

 このまま逃げても何も変わらないのだろう。

 僕は短杖に魔力をたくさん込めて再び構えた。

 あの鎌を振り下ろすタイミングであれば避けることができる。

 僕は再び鎌を振り上げたタイミングで足に力を入れる。

「今だ!」

 なぜか振り下ろされる鎌がゆっくりに見えた気がした。だから、避けるのもいつもより楽に感じた。

 僕は転がりながらも短杖に振れるだけたくさん振る。

「キシャアアアアー!」

 ドラゴンは大きな声をあげて鳴き叫ぶ。すぐにドラゴンは地面に倒れて命を絶った。

「おい、大丈夫か!」

 僕が声のする方に手を振ると、大人達が険しい顔で追いかけてきたようだ。

「なんとか倒しましたよー!」

「お前……心配しただろうが!」

 眉間に皺を寄せた表情でオーブナーは僕を抱きしめた。怒っている顔なのに、どこかその表情はいつもの顔とは違って見えた。
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