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57.一人前の冒険者

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 目を覚ますとモフモフした感触が近くにいないことに気づき目を覚ました。

「昨日から別の部屋になったのか……」
 あのあとすぐに部屋が空いたため、ロンとニアは別の部屋を借りて寝ている。

 寂しさは感じたが普段は子供達に蹴られたり、息苦しくなって起きることがあったが朝まで何事もなく寝られたのは久しぶりだった。

 俺は体を伸ばすと手に何かが触れていた。

"株主お食事優待券"

 見たこともない紙が数枚頭の上に置いてあったのだ。他には特に何もなく、誰かが置いたのか綺麗な紙に俺は見惚れていた。

《株主お食事優待券》
レア度 ★★★
説明 日本フード"吉田屋"のお食事優待券。紙を破ると吉田屋から商品が出前される。

 鑑定を発動するが俺にはわからない言葉がいくつか含まれていた。そもそもお食事優待券という聞いたことのない謎の紙だが、破ると何かが起きるのは確からしい。出前とはなんだろうか。

 地球風の食事と何か関係があるのだろうか。

 俺はとりあえず謎の紙をアイテムボックスに入れて食堂に向かった。

 食堂にはすでにロンとニアが座っていた。

「にいちゃおはよう」
「お兄ちゃん1人でも起きれたね」
 俺は1人だと起きられないと思われているのだろうか。確かにいつも元気な子供達に起こされていたが、決して起きれないわけではないはずだ。

「そういえば今日から討伐依頼を受けてみるけど何がいい?」
 お金に余裕があったため俺達は宿屋に来てから依頼を受けずにスキル玉の確認をしながら少し休んでいた。そのため、今日がCランクになってから初めての依頼だ。

「オラは強いやつと戦いたい!」
 ロンはここのところ1人で槍の練習もしているため少しでも自分の力試しがしたいのだろう。

「私は採取してるから今まで行ったことがないところだといいな」
 その結果、槍を持っていて戦いの練習になる相手を探すと俺の中でも記憶に残っている存在がいた。

──サハギン

 俺が唯一戦った中で槍を持った珍しい人型の魔物だった。 三叉槍さんさそうは槍よりも矛先が分かれているため、短剣が間に挟まる可能性がある戦いにくかった相手だった。

 俺達はひとまずご飯を食べ終えると冒険者ギルドに向かいローガンに話しかけた。

「Cランクでできる討伐依頼でそこそこ強いやつね! できれば武器を持った敵が良いのね」
 ローガンは依頼書を持ってくるとそこにはサハギンと同じ三叉槍を持った魔物の絵が書かれていた。

「これはリザードマンの討伐依頼よ。 ランクはCランクだけど環境に問題があって中々依頼を受けてくれる人が少ないのよ」
 リザードマンは見た目が硬い鱗で覆われており、サハギンよりは速度が遅く戦いやすい魔物らしい。

「ロンはこいつで大丈夫か?」

「うん!」
 ロンはいつもより真剣の表情をしており、やる気に満ちていた。

「ではリザードマンの討伐でお願いします」
 俺達リザードマンの討伐に向かうことにした。

 リザードマンはサハギンとは異なり川ではなく、足場が悪い湿地帯に生息していることが多いらしい。そのため冒険者が依頼で受けることが少ないらしい。

「ロンそっちに行ったぞ!」

「わかった!」
 道中は匠の靴の影響で足場が悪い湿地帯も問題なく移動できた。森の魔物と異なり見た目が変わった魔物も多く、今倒した敵も長い舌を鞭のように使うカエルのような魔物だった。

 俺達はそんな湿地帯に向かうと一際大きな沼を見つけた。ローガンからは沼の近くにリザードマンが現れると聞いている。

「よし、にいちゃ行ってくるよ!」
 ロンは外套のフードを外すと早速沼から魔物が出てきた。

「ピシャアー!」
 変わった声で威嚇する魔物がリザードマンだ。ローガンが言っていたように手には三叉槍が握られていた。

 ロンは槍を構えるとリザードマンも三叉槍を構えて飛び込んできた。

 サハギンと比べると速度は遅いものの湿地と相性がいいのかロンよりも動きやすそうだった。

 それでもロンは何度も放たれるリザードマンの攻撃を寸前で避けていた。

「俺達は離れてるぞー」
 俺の声にロンは頷いていた。ロンが1人で試したいって言っていたのはスキル玉を使った戦い方だった。

 以前メジストからもらったスキル玉の中で効果がわからないものが存在していた。それはスキル玉【火属性】だった。

 基本的にロンが属性のスキル玉を使うと風属性なら速度変化、土属性なら耐久性変化、水属性なら自動回復の効果が得られていた。

 火属性っていうこともあり森の中では検証できないのもあるし、風属性や土属性と異なり身体機能に影響がなかったのだ。

「はあー!」
 ロンは勢いをつけてリザードマンに向けて槍を放った。

──ボンッ!

 ロンの槍がリザードマンに触れた瞬間に槍先から小さな爆発が起きていた。その瞬間リザードマンが遠くへ飛ばされていた。

「おおお!」
 確かに当たった瞬間に威力を発揮するのであれば身体機能の変化とは異なりわからないはずだ。

 その後もロンは1人でリザードマンと戦っていたがそれが問題だった。

 湿地帯の中で外套のフードを外した状態で戦っているといつのまにかロンを中心にリザードマンに囲まれていた。
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