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74.決着

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 俺の攻撃はあっさり決まり騎士の2人は驚いて立ち尽くしていた。ニアとプリシラも見ていたからちゃんと股間の部分に関しては破壊しないようにそのままだ。

 それにしても匠の短剣と雷属性を同時に使った時の威力がここまで強くなるとは俺も思ってもいなかった。硬い鎧が粉々になっているからな……。

「模擬戦終了! 勝者ウォーレン」
 審判の男は勝利のアナウンスを伝えると騎士2人は文句を言い出した。

「スキル玉を使うのは卑怯です!」
「実家にあるスキル玉を使えばこんな奴――」

「お前らは一から騎士としての教えをしないといけないようだな」
 人混みの中から出てきたのはいかにも2人の上司だろうと思うほどの見た目をした男だった。とにかくローガンのように体格が大きく鎧姿が様になっていた。

「騎士団長!」
「親父!」
 どうやらはじめに喧嘩を売ってきたジェイク・スペードの父親らしい。

「ウォーレンと言ったかな? 息子達が迷惑をかけてすまない」
 男は俺に頭を下げるとジェイクとジョンの首を掴んだ。

「きゃあ!」
 わざと股間の部分は引っかかるようにしていたのに鎧が外れて下半身は露出されたまま引きずるようにどこかへ行ってしまった。

 どうやら態度はデカかったのに大事な部分はそこまで大きくなかった。うん、こっちも俺は勝ったな。

「さすがウォーレンくんだね」
 問題が解決したと思ったら笑顔でこちらに近づいてくる人物がいた。

「あっ……」
 近づいてきたのはウィリアムだった。彼は初めあった時のように光り輝いていた。

「父さん喜びすぎだよ。 さすがウォーレンだな」

「ああ、エヴァンありがとう」

「おいおい、そこに俺はいないぞ」
 あまりの眩しさに俺は誰もいないところに頭を下げていた。それにしてもウィリアムのスキルを早く止めて欲しい。

「久々に浮かれていたよ。 せっかく招待したのにこんなことになって申し訳なかったね」
 ウィリアムはスキルを止めるとエヴァンは俺の後ろにいた。

「いえ、ではこれで失礼――」

「おいおい、まだ用は終わってないだろ」
 気づいたら俺はエヴァンに襟元を掴まれていた。

「にいちゃ、エヴァンさんに捕獲されたね」

「じゃあ、私はお姉ちゃんを捕獲してくる」
 ニアはプリシラの元へ走って行き抱きついていた。

「ははは、我が子がこんなに変わるとは思いもしなかったよ」
 確かにエヴァンとプリシラが俺達と話している姿を見てここまで来るときにあった人達や騎士も驚いていた。

「あの時のエヴァンって反抗――」

「それは言うなよ」
 エヴァンは俺の首を強く掴んで来たためその先を言うのをやめた。

「楽しそうでいいな」

「えっ?」
 ウィリアムと目が合うと彼は再び輝き出した。

「ははは、ウォーレンくんにはこれが有効だね」

「あー、やめてくださいよ! 目が痛いです」
 その後もスキルを使ったり、止めたりして目がチカチカしていた。すでに目を閉じていても目が痛いのだ。

「父さんのおもちゃになってるな」

「お父様が楽しそうにしてることも珍しいわね」

「いやいや、そんなこと言ってないで止めてくれよ」

「ほらほらどうだ!」

「あー! やめんかい!」
 本当にこの人が次期国王なのだろうか。少しこの国の将来が心配になってしまう。

「くくく、やっぱりウォーレンくんは楽しいな。 はははは」
 ウィリアムは笑ってどこかに行ってしまった。

「場所を変えるらしいから移動するぞ」

「おい、なぜそんなに大丈夫なんだ?」

「それは慣れだな」
 騎士達も含めてウィリアムのスキルには慣れているのか普通に立っていた。

 ずっと騎士団の訓練場にいたため移動することになった。このまま居ても騎士達は訓練が出来ないからな。

 俺はロンとニアに手を引かれるように訓練場を後にした。
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