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78.護衛依頼 ※一部冒険者視点
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俺達は早速冒険者ギルドに向かうとローガンが待っていた。
「あなた達やっときたわね」
ローガンの言葉にロンとニアは俺を見ていた。決して俺は寝坊したわけではないからな。
「そんなに急いでどうしたんですか?」
「しばらく来てなかったから伝えてなかったんだけど貴方達に護衛依頼が来ているのよ」
言われてみれば王都に帰ってきてからは依頼を受けてはいないし、ウィリアムに呼ばれていたから城に行っていた。
「それで誰からの依頼ですか?」
「冒険者昇格試験の時に依頼を出していたゴードンさんを覚えているかしら?」
「ああ、覚えています」
「彼からまたあなた達にお願いしたいとの連絡が来てね」
どうやら依頼があったのはゴードンがやっている商会からだった。
「それで急だけど明日からなんだけど受けてもらえないかしら」
「2人はどうする?」
「オラはどっちでもいいよー!」
「私も準備が間に合えば大丈夫です」
「それじゃあ、ゴードンさんに受けると伝えておいてください」
2人とも特に問題はなかったため俺達は明日出発の護衛依頼を受けることにした。
急な予定に俺達は依頼を受けずに採取と依頼の準備に時間を使うことにした。
♢
「にいちゃ、なんかおかしいね」
「ほんとだな」
俺達は森の中でロンの槍とニアの杖の威力を確認するために採取をしながら魔物を探していた。
「こんなに魔物が出てこないことって今までないですよね?」
ロンは外套を着ていない状態だが、魔物の姿が現れる様子はなかった。
「どこか静かだし不気味だよな」
「匂いもいつもよりしないよ」
明らかに森が普段よりもおかしいような気がしていた。ただ、魔物が急に少なるタイミングもアドルのパーティーで経験しているため単純に魔物の数が減っているのだろう。
「これだけ少ないと護衛依頼は簡単そうだね」
「そろそろ準備をするために帰ろうか」
俺達は薬草を採取し終わると王都に戻っていった。
♢
「おい、なんでスライムがあんなに強いんだよ!」
「俺に聞くなよ」
俺達は最近C級に上がったばかりの冒険者で構成されているパーティーだ。
今日はブラットウルフの討伐依頼に向かったが急に見たこともないスライムに出会ったのだ。
やつは死んだ魔物の中に入るとその体を自分のように操りまた襲ってくるのだ。
「なんでこんなに魔物が集まってくるのよ!」
「今は走って逃げるんだ! 俺だけじゃ勝ち目はないだろ!」
俺達は王都に向かって必死に走った。少しでも気を抜いたらスライムの追い付かれてしまう。
「おい、お前らもう少しだぞ!」
気づいたら目の前には王都の外壁が見えていた。
「お前ら大丈夫か……」
俺は後ろを振り向くがそこには仲間の姿は誰なかった。
「おい、お前らどこに行ったんだ!」
俺は辺りを見渡しながら来た道を戻ると木の影から仲間のミーシャが出てきた。
「ミーシャ! あとの2人は――」
「ガガガガ」
ミーシャの口からは聞いたことのない鳴き声のような音が聞こえてきた。咄嗟に俺はミーシャも含めて他の仲間達は死んだと気づいた。
だが、俺の判断は遅かった。突然感じた腹部の痛みに目を向けるとそこにはミーシャの腕が俺の腹を貫通していた。
「おい、ミーシャ……」
「ガロル……ごめん」
ミーシャの頬には涙が伝っていた。
「いや、俺の方こそ守ってやれなくてすまなかった。 ずっと守ってやるつもりだったのにな……」
「ははは、今頃言っても遅いよ」
俺が愛していたミーシャの姿が歪み次第には見えなくなっていた。
「ああ、ずっと愛していたよ」
俺はミーシャの口に軽く口付けをするとそのまま意識を失った。勇者を目指した俺の物語はここで幕を閉じた。
「あなた達やっときたわね」
ローガンの言葉にロンとニアは俺を見ていた。決して俺は寝坊したわけではないからな。
「そんなに急いでどうしたんですか?」
「しばらく来てなかったから伝えてなかったんだけど貴方達に護衛依頼が来ているのよ」
言われてみれば王都に帰ってきてからは依頼を受けてはいないし、ウィリアムに呼ばれていたから城に行っていた。
「それで誰からの依頼ですか?」
「冒険者昇格試験の時に依頼を出していたゴードンさんを覚えているかしら?」
「ああ、覚えています」
「彼からまたあなた達にお願いしたいとの連絡が来てね」
どうやら依頼があったのはゴードンがやっている商会からだった。
「それで急だけど明日からなんだけど受けてもらえないかしら」
「2人はどうする?」
「オラはどっちでもいいよー!」
「私も準備が間に合えば大丈夫です」
「それじゃあ、ゴードンさんに受けると伝えておいてください」
2人とも特に問題はなかったため俺達は明日出発の護衛依頼を受けることにした。
急な予定に俺達は依頼を受けずに採取と依頼の準備に時間を使うことにした。
♢
「にいちゃ、なんかおかしいね」
「ほんとだな」
俺達は森の中でロンの槍とニアの杖の威力を確認するために採取をしながら魔物を探していた。
「こんなに魔物が出てこないことって今までないですよね?」
ロンは外套を着ていない状態だが、魔物の姿が現れる様子はなかった。
「どこか静かだし不気味だよな」
「匂いもいつもよりしないよ」
明らかに森が普段よりもおかしいような気がしていた。ただ、魔物が急に少なるタイミングもアドルのパーティーで経験しているため単純に魔物の数が減っているのだろう。
「これだけ少ないと護衛依頼は簡単そうだね」
「そろそろ準備をするために帰ろうか」
俺達は薬草を採取し終わると王都に戻っていった。
♢
「おい、なんでスライムがあんなに強いんだよ!」
「俺に聞くなよ」
俺達は最近C級に上がったばかりの冒険者で構成されているパーティーだ。
今日はブラットウルフの討伐依頼に向かったが急に見たこともないスライムに出会ったのだ。
やつは死んだ魔物の中に入るとその体を自分のように操りまた襲ってくるのだ。
「なんでこんなに魔物が集まってくるのよ!」
「今は走って逃げるんだ! 俺だけじゃ勝ち目はないだろ!」
俺達は王都に向かって必死に走った。少しでも気を抜いたらスライムの追い付かれてしまう。
「おい、お前らもう少しだぞ!」
気づいたら目の前には王都の外壁が見えていた。
「お前ら大丈夫か……」
俺は後ろを振り向くがそこには仲間の姿は誰なかった。
「おい、お前らどこに行ったんだ!」
俺は辺りを見渡しながら来た道を戻ると木の影から仲間のミーシャが出てきた。
「ミーシャ! あとの2人は――」
「ガガガガ」
ミーシャの口からは聞いたことのない鳴き声のような音が聞こえてきた。咄嗟に俺はミーシャも含めて他の仲間達は死んだと気づいた。
だが、俺の判断は遅かった。突然感じた腹部の痛みに目を向けるとそこにはミーシャの腕が俺の腹を貫通していた。
「おい、ミーシャ……」
「ガロル……ごめん」
ミーシャの頬には涙が伝っていた。
「いや、俺の方こそ守ってやれなくてすまなかった。 ずっと守ってやるつもりだったのにな……」
「ははは、今頃言っても遅いよ」
俺が愛していたミーシャの姿が歪み次第には見えなくなっていた。
「ああ、ずっと愛していたよ」
俺はミーシャの口に軽く口付けをするとそのまま意識を失った。勇者を目指した俺の物語はここで幕を閉じた。
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