79 / 141
79.いざ出発!
しおりを挟む
俺達は護衛依頼のために門に向かった。ゴードンは既に荷物を馬車で荷物を持って待っていた。
「お待たせしてすみません」
「いえいえ、こちらこそはやく到着して申し訳ありません。 準備は終わってますか?」
「はい、いつでも大丈夫です」
「では行きましょうか」
ゴードンと共に門を通り抜けると今回は御者の護衛として俺がゴードンの隣に座り、ロンとニアは馬車の中で待機することになった。
「今回は荷物が少なめなんですね?」
「途中で別の者に荷物を渡す予定になっていますがある物を手に入れましてね」
ゴードンが俺に見せたのはスキル玉だった。
「アイテムボックスですか?」
「正解です。 やはり冒険者の人達は物知りですね」
「便利ですからね。 ただ持っている人はほぼいないと思いますよ」
実際に俺の他に持っている人はメジストに関わる人ぐらいだ。それだけ珍しいものだしアイテムボックスに使われている魔石がどこで手に入るかもわからない。
そもそもアイテムボックスのスキル玉が普及してたらポーターはいらなくなってしまう。
「私も今回依頼主の人のご好意で譲ってもらったんです」
きっとゴードンは高いお金を払って購入したのだろう。
「最近神様が味方しているのかお金がたくさん降ってきましてね。 私はそのお金を使って出来るだけ皆のためになることをしようと思ってます」
以前もお金が降ってくるという話をしていたが俺にもその神様を紹介してもらいたいものだ。
「そういえば今回は少し遠くの街に行く予定ですが行ったことありますか?」
「マルティーですよね? 話には聞いたことありますが海に面してる街ですよね」
「今回はそこにある商会まで持っていく予定になってます」
距離としてはこの前依頼を受けた魔虫の森を抜けたさらに奥に行くとある街だ。
この辺では海に面している街はマルティーにしかなく、今回依頼を受けたのはロンとニアにも海を見せたいと思ったからだ。
決して俺が海で遊びたいから依頼を受けたわけではない。
「それにしても冒険者が必要になるのかわからないほど静かですね」
俺は辺りを警戒しているが普段なら既に魔物と遭遇しているはずだが、今日は未だに姿を現さないのだ。
「私の商会関係の友人も魔物が少なくなって怖いと言ってましたよ」
「魔物が減って怖いんですか? 普通なら減った方が安全で良いってことですよね?」
「ええ、私より年上の方達はあのスタンピードを経験している方も多いですからね」
「スタンピードって大量に魔物が街に向かって降りてきたやつですよね?」
「そのスタンピードの功績で次期国王が勇者の称号と次期国王になると決まったきっかけですね」
次期国王ってことはウィリアムのことを言っているのだろう。でもこの静けさとスタンピードがどう関わっているのか俺には理解できなかった。
「あの時もスタンピード前に魔物が姿を現さなくなったんです。 当時はまだ見習いで店の中で働いていたためあの戦いが大変なことは今でも覚えています」
「そんなにすごかったんですね」
俺は冒険者になってから王都に来たこともなかったため過去にあったスタンピードのことを知らない。
「冒険者が傷ついて帰って来るのに教会や商会は自分達が逃げることしか考えてなかったですからね。 私はその当時働いていた商会を辞めて、街とともに成長して助け合える商会を作りたいと思ったんですよ」
「あっ、やっと出てきましたね」
過去の話をしているとゴブリンが数体飛び出してきた。
「ロン、ニア魔物が出てきたよ」
「はーい!」
2人は元気よく馬車から飛び降りるとゴブリンに近づきすぐに戦闘が始まった。
ロンの槍捌きは以前よりも素早くなり突き刺したときにゴブリンの体に大きな穴を開けていた。
「うぉー、にいちゃ今の見てた!」
「ああ、すごいな!」
「今度は私の番なんだからね」
ニアは匠の杖に氷属性のスキル玉を装着したのか杖の一部分が前と比べて青くなっていた。
「アイスストーム!」
ニアは呪文を唱えると周りの温度は急激に冷えて寒くなっていた。
「ゴードンさん大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫ですよ」
ゴードンはどこからか毛布を取り出して包まっていた。
俺はゴブリンを見るとすでに氷漬けになっていた。
「お兄ちゃん見てたー!」
ニアは手を振ってこっちを見ていた。俺も手を振り返すと少し照れてはいるが嬉しそうだった。
「今後が楽しみの2人ですね」
「そうですよね。 俺も負けて――」
俺はその時に気づいてしまった。あの2人が匠シリーズの武器を手に入れると俺よりも強くなってしまうことを……。
「お待たせしてすみません」
「いえいえ、こちらこそはやく到着して申し訳ありません。 準備は終わってますか?」
「はい、いつでも大丈夫です」
「では行きましょうか」
ゴードンと共に門を通り抜けると今回は御者の護衛として俺がゴードンの隣に座り、ロンとニアは馬車の中で待機することになった。
「今回は荷物が少なめなんですね?」
「途中で別の者に荷物を渡す予定になっていますがある物を手に入れましてね」
ゴードンが俺に見せたのはスキル玉だった。
「アイテムボックスですか?」
「正解です。 やはり冒険者の人達は物知りですね」
「便利ですからね。 ただ持っている人はほぼいないと思いますよ」
実際に俺の他に持っている人はメジストに関わる人ぐらいだ。それだけ珍しいものだしアイテムボックスに使われている魔石がどこで手に入るかもわからない。
そもそもアイテムボックスのスキル玉が普及してたらポーターはいらなくなってしまう。
「私も今回依頼主の人のご好意で譲ってもらったんです」
きっとゴードンは高いお金を払って購入したのだろう。
「最近神様が味方しているのかお金がたくさん降ってきましてね。 私はそのお金を使って出来るだけ皆のためになることをしようと思ってます」
以前もお金が降ってくるという話をしていたが俺にもその神様を紹介してもらいたいものだ。
「そういえば今回は少し遠くの街に行く予定ですが行ったことありますか?」
「マルティーですよね? 話には聞いたことありますが海に面してる街ですよね」
「今回はそこにある商会まで持っていく予定になってます」
距離としてはこの前依頼を受けた魔虫の森を抜けたさらに奥に行くとある街だ。
この辺では海に面している街はマルティーにしかなく、今回依頼を受けたのはロンとニアにも海を見せたいと思ったからだ。
決して俺が海で遊びたいから依頼を受けたわけではない。
「それにしても冒険者が必要になるのかわからないほど静かですね」
俺は辺りを警戒しているが普段なら既に魔物と遭遇しているはずだが、今日は未だに姿を現さないのだ。
「私の商会関係の友人も魔物が少なくなって怖いと言ってましたよ」
「魔物が減って怖いんですか? 普通なら減った方が安全で良いってことですよね?」
「ええ、私より年上の方達はあのスタンピードを経験している方も多いですからね」
「スタンピードって大量に魔物が街に向かって降りてきたやつですよね?」
「そのスタンピードの功績で次期国王が勇者の称号と次期国王になると決まったきっかけですね」
次期国王ってことはウィリアムのことを言っているのだろう。でもこの静けさとスタンピードがどう関わっているのか俺には理解できなかった。
「あの時もスタンピード前に魔物が姿を現さなくなったんです。 当時はまだ見習いで店の中で働いていたためあの戦いが大変なことは今でも覚えています」
「そんなにすごかったんですね」
俺は冒険者になってから王都に来たこともなかったため過去にあったスタンピードのことを知らない。
「冒険者が傷ついて帰って来るのに教会や商会は自分達が逃げることしか考えてなかったですからね。 私はその当時働いていた商会を辞めて、街とともに成長して助け合える商会を作りたいと思ったんですよ」
「あっ、やっと出てきましたね」
過去の話をしているとゴブリンが数体飛び出してきた。
「ロン、ニア魔物が出てきたよ」
「はーい!」
2人は元気よく馬車から飛び降りるとゴブリンに近づきすぐに戦闘が始まった。
ロンの槍捌きは以前よりも素早くなり突き刺したときにゴブリンの体に大きな穴を開けていた。
「うぉー、にいちゃ今の見てた!」
「ああ、すごいな!」
「今度は私の番なんだからね」
ニアは匠の杖に氷属性のスキル玉を装着したのか杖の一部分が前と比べて青くなっていた。
「アイスストーム!」
ニアは呪文を唱えると周りの温度は急激に冷えて寒くなっていた。
「ゴードンさん大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫ですよ」
ゴードンはどこからか毛布を取り出して包まっていた。
俺はゴブリンを見るとすでに氷漬けになっていた。
「お兄ちゃん見てたー!」
ニアは手を振ってこっちを見ていた。俺も手を振り返すと少し照れてはいるが嬉しそうだった。
「今後が楽しみの2人ですね」
「そうですよね。 俺も負けて――」
俺はその時に気づいてしまった。あの2人が匠シリーズの武器を手に入れると俺よりも強くなってしまうことを……。
11
あなたにおすすめの小説
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます
なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。
だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。
……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。
これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
異世界から日本に帰ってきたら魔法学院に入学 パーティーメンバーが順調に強くなっていくのは嬉しいんだが、妹の暴走だけがどうにも止まらない!
枕崎 削節
ファンタジー
〔小説家になろうローファンタジーランキング日間ベストテン入り作品〕
タイトルを変更しました。旧タイトル【異世界から帰ったらなぜか魔法学院に入学。この際遠慮なく能力を発揮したろ】
3年間の異世界生活を経て日本に戻ってきた楢崎聡史と桜の兄妹。二人は生活の一部分に組み込まれてしまった冒険が忘れられなくてここ数年日本にも発生したダンジョンアタックを目論むが、年齢制限に壁に撥ね返されて入場を断られてしまう。ガックリと項垂れる二人に救いの手を差し伸べたのは魔法学院の学院長と名乗る人物。喜び勇んで入学したはいいものの、この学院長はとにかく無茶振りが過ぎる。異世界でも経験したことがないとんでもないミッションに次々と駆り出される兄妹。さらに二人を取り巻く周囲にも奇妙な縁で繋がった生徒がどんどん現れては学院での日常と冒険という非日常が繰り返されていく。大勢の学院生との交流の中ではぐくまれていく人間模様とバトルアクションをどうぞお楽しみください!
自力で帰還した錬金術師の爛れた日常
ちょす氏
ファンタジー
「この先は分からないな」
帰れると言っても、時間まで同じかどうかわからない。
さて。
「とりあえず──妹と家族は救わないと」
あと金持ちになって、ニート三昧だな。
こっちは地球と環境が違いすぎるし。
やりたい事が多いな。
「さ、お別れの時間だ」
これは、異世界で全てを手に入れた男の爛れた日常の物語である。
※物語に出てくる組織、人物など全てフィクションです。
※主人公の癖が若干終わっているのは師匠のせいです。
ゆっくり投稿です。
学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します
名無し
ファンタジー
毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる