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79.いざ出発!

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 俺達は護衛依頼のために門に向かった。ゴードンは既に荷物を馬車で荷物を持って待っていた。

「お待たせしてすみません」

「いえいえ、こちらこそはやく到着して申し訳ありません。 準備は終わってますか?」

「はい、いつでも大丈夫です」

「では行きましょうか」
 ゴードンと共に門を通り抜けると今回は御者の護衛として俺がゴードンの隣に座り、ロンとニアは馬車の中で待機することになった。

「今回は荷物が少なめなんですね?」

「途中で別の者に荷物を渡す予定になっていますがある物を手に入れましてね」
 ゴードンが俺に見せたのはスキル玉だった。

「アイテムボックスですか?」

「正解です。 やはり冒険者の人達は物知りですね」

「便利ですからね。 ただ持っている人はほぼいないと思いますよ」
 実際に俺の他に持っている人はメジストに関わる人ぐらいだ。それだけ珍しいものだしアイテムボックスに使われている魔石がどこで手に入るかもわからない。

 そもそもアイテムボックスのスキル玉が普及してたらポーターはいらなくなってしまう。

「私も今回依頼主の人のご好意で譲ってもらったんです」
 きっとゴードンは高いお金を払って購入したのだろう。

「最近神様が味方しているのかお金がたくさん降ってきましてね。 私はそのお金を使って出来るだけ皆のためになることをしようと思ってます」
 以前もお金が降ってくるという話をしていたが俺にもその神様を紹介してもらいたいものだ。

「そういえば今回は少し遠くの街に行く予定ですが行ったことありますか?」

「マルティーですよね? 話には聞いたことありますが海に面してる街ですよね」

「今回はそこにある商会まで持っていく予定になってます」
 距離としてはこの前依頼を受けた魔虫の森を抜けたさらに奥に行くとある街だ。

 この辺では海に面している街はマルティーにしかなく、今回依頼を受けたのはロンとニアにも海を見せたいと思ったからだ。

 決して俺が海で遊びたいから依頼を受けたわけではない。

「それにしても冒険者が必要になるのかわからないほど静かですね」
 俺は辺りを警戒しているが普段なら既に魔物と遭遇しているはずだが、今日は未だに姿を現さないのだ。

「私の商会関係の友人も魔物が少なくなって怖いと言ってましたよ」

「魔物が減って怖いんですか? 普通なら減った方が安全で良いってことですよね?」

「ええ、私より年上の方達はあのスタンピードを経験している方も多いですからね」

「スタンピードって大量に魔物が街に向かって降りてきたやつですよね?」

「そのスタンピードの功績で次期国王が勇者の称号と次期国王になると決まったきっかけですね」
 次期国王ってことはウィリアムのことを言っているのだろう。でもこの静けさとスタンピードがどう関わっているのか俺には理解できなかった。

「あの時もスタンピード前に魔物が姿を現さなくなったんです。 当時はまだ見習いで店の中で働いていたためあの戦いが大変なことは今でも覚えています」

「そんなにすごかったんですね」
 俺は冒険者になってから王都に来たこともなかったため過去にあったスタンピードのことを知らない。

「冒険者が傷ついて帰って来るのに教会や商会は自分達が逃げることしか考えてなかったですからね。 私はその当時働いていた商会を辞めて、街とともに成長して助け合える商会を作りたいと思ったんですよ」

「あっ、やっと出てきましたね」
 過去の話をしているとゴブリンが数体飛び出してきた。

「ロン、ニア魔物が出てきたよ」

「はーい!」
 2人は元気よく馬車から飛び降りるとゴブリンに近づきすぐに戦闘が始まった。

 ロンの槍捌きは以前よりも素早くなり突き刺したときにゴブリンの体に大きな穴を開けていた。

「うぉー、にいちゃ今の見てた!」

「ああ、すごいな!」

「今度は私の番なんだからね」
 ニアは匠の杖に氷属性のスキル玉を装着したのか杖の一部分が前と比べて青くなっていた。

「アイスストーム!」
 ニアは呪文を唱えると周りの温度は急激に冷えて寒くなっていた。

「ゴードンさん大丈夫ですか?」

「ああ、大丈夫ですよ」
 ゴードンはどこからか毛布を取り出して包まっていた。

 俺はゴブリンを見るとすでに氷漬けになっていた。

「お兄ちゃん見てたー!」
 ニアは手を振ってこっちを見ていた。俺も手を振り返すと少し照れてはいるが嬉しそうだった。

「今後が楽しみの2人ですね」

「そうですよね。 俺も負けて――」
 俺はその時に気づいてしまった。あの2人が匠シリーズの武器を手に入れると俺よりも強くなってしまうことを……。
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