最弱の荷物持ちは謎のスキル【証券口座】で成り上がる〜配当で伝説の武器やスキルやアイテムを手に入れた。それでも一番幸せなのは家族ができたこと〜

139.俺の正体

　あの後"はあはあする"が何かわからないまま宿屋に泊まることにした。普段なら俺と別の部屋で泊まると言うニアもなぜか俺と同室だ。

　サユリはなぜかロンと二人部屋にしようとしていたため結局いつも通りの三人部屋になった。

「サユリさんってどこかルースさんに似てるね」

「あー、確かに。俺がエヴァンと話してる時と似たようなギラギラした目をしているな」

　転生者のルースとサユリはどこか似たようなイメージだ。

「あの目はお兄ちゃんを狙っている目よ」

「狙うって俺ドラゴンに食われるのか？」

「そんなの私が許さないよ」

　狙っているって何を狙っているのだうか。それにドラゴンだから目が他の人と違うのは仕方ないことだ。

――トントン

「はーい」

　扉を開けるとモーリン達が立っていた。

「そろそろお腹は減っていないかい？」

「確かにお腹空いたかもしれない」

「ならご飯でも食べに行こうか。ここの宿屋のご飯も美味しいからね」

　確かに気づいたら夕飯時の時間になっていた。

　冒険者だったモーリンとメジストは食を基準に宿屋を選んでいるらしい。今回の宿屋を決めたのも二人だ。

　俺達は席に座るとたくさんご飯が出てきた。流石に俺達では食べきれない量が目の前に出されて驚いていると食べるのは俺達はではなかった。

「ああ、トカゲがたくさん食べるから仕方ないんじゃ」

　どうやらサユリが食べるためにたくさん頼んだらしい。確かにあれだけ空を飛んでいたらお腹も減るのだろう。

　隣で"うまいうまい"と言いながら食べ続けている。

「それよりもこの姿でトカゲって言うのもどうかと……」

「トカゲはこいつの愛称じゃ！　サユリもあやつがつけた名前だからな」

「あやつ？」

「ああ、私達が一緒にパーティーを組んでいたセリナよ」

　やはり俺の母親が影響していた。

「母さん何やらかしたんだよ…….」

「母さん？」

　俺の言葉にモーリンとメジストは首を傾げていた。ああ、二人にはまだ話してなかったからな。

「ああ、そのセリナさんが俺の母親なんだよ」

「えっ……えー！！」

　二人の声は宿屋に響いていた。

「ちょ、二人とも静かに」

　あまりにも大きな声で他の客から注目を集めていた。

「ウォーレンそれはどういうことなんだ？」

「ウォーいくらなんでも嘘は――」

　俺は二人にペンダント見せた。

「これはなんじゃ？」

「中を開けてみるとわかるはず」

　二人はペンダントの中を開けて不思議な紙を見ると驚いていた。

「ひょっとして――」

「俺は父ルイス、母セリナから生まれた子どもだよ」

　俺の言葉になぜか二人は涙を流していた。そんなに泣かすことを言ったわけではないのに……。

「にいちゃ、じいじとばあばをいじめ――」

「いじめてないよ」

「確かにいじめてはないけど泣かしてるよ？」

　ロンとニアはそんな二人の背中を優しく撫でていた。

「あの子らが残した宝を私らが……」

「ああ、知らないうちに守っていたとはな」

「だからもっと父さんと母さんの話を教えてよ」

「ふふふ、セリナの話は一日じゃ語ることができないぐらいだからね」

「あやつは問題児だったからね。特に男同――」

「それは話さない方がいいわ」

　メジストはモーリンに口を塞がれていた。本当に母さんはたくさんのことをやらかしているのだろう。

　俺は目立たず何事もなく生きていこうと心に誓うことにした。

「メジストはいつもイケオジになってみんなから攻められないといけないのよってセリナに言われてたもんね」

　ご飯を食べていたサユリはボソッと何かを呟いていた。