男とか女とか

N

文字の大きさ
43 / 48

43

しおりを挟む
 翌日、αの仲間入りを果たしたという体で朝桐と水城は三組に来て私と他愛のない話を交わした。
これが面白いほどに効果抜群で、私がαであることは確固たる事実として学校に広まっていった。
念には念をということで、これからはこの二人と積極的に公での交流を増やしていくつもりだ。
手始めに昼食も二人と一緒に取ることになった。

「何となく理由はわかるんだけど聞いていい?」

 屋上で昼食を取りつつ雑談していると水城がそう切り出した。
何となく水城の言わんとしていることが想像でき先を促す。

「何で圭と番にならないの?」
(まぁそうなるよね)
「俺も聞こうと思っていた。番になってしまえば他のαを警戒する心配も減るだろう」

 朝桐の意見に水城が強く頷く。運命の番ともなれば最もな質問だろう。
早い話、圭を自分だけのものにしたければ項を噛んで番ってしまえばいい。

「でもお互い両親を無視できないでしょ」
「やっぱりソコだよね」
「……東の両親は特に厳しいだろうな」

 例え運命の番であろうと両親を差し置いて勝手に番えば角が立つ可能性が高い。
圭の家庭事情はもちろん詳しいことを聞く予定だが、二人の反応からして簡単に事が進む可能性はやはり低いだろう。

「とにかく圭への負担はなるべく減らしたい。ただでさえΩになってこれから大変だろうし」
「うん……表面上はこれまで通りに過ごしてるけどさ、東たまに不安そうに見えるんだよね」
「周りは全く気付いてないが東にとっては町宮がいないαだらけの教室は不安が多いだろうな」

 加えてこの学校はαが多い。
どうするんだ、と二人が私を見る。

「昨日お母さんには伝えたよ」
「「え?」」
「驚いてはいたけど反対はされなかった。まぁ未成年だから慎重に行動しなさいとは言われたけど。お父さんは仕事で家にいないから今日にでも電話で伝えようかと思うんだけど多分お母さんと似たような反応じゃないかな」
「そ、そんなもんなの……?」
「うちなら絶対に有り得ない反応だ……」

 両親がβだからか?それにしても簡単じゃない?と言い合う二人と同じような感想を私も抱いたものだ。
ともあれ私のほうは一番の難関と思っていた両親はあっさり解決してしまった。

「そうなると残るは東の両親だね。東のほうも上手くいけばいいけど……う~ん」
「圭にも聞くつもりだけど、家族と他人とじゃ多分見え方も変わるだろうからまず二人に聞いておこうと思って」
「懸命な判断だな。東の両親に関しては特にな」
「確かに。圭以外には別人って言ってもいいくらい違うからね」

 前にも聞いていたが、二人の話してくれた内容を要約すると結局圭の両親は相当な親バカということだった。
しかも圭がΩに後天してからさらに過保護になったという。

「これに関しては俺達はあまり力になれない……」
「嫌な言い方になるけど理々子は一般家庭だから家のコネとか一切ないしね。私達も所詮子供だから家の権力とかあまり関係ないし」

 親バカの次に厄介なのが圭の両親は代々の資産家であり由緒正しいお家柄で一般的ではないということ。
許嫁はおらずともそれらしい相手を両親から進められるのは普通だと、似たようなお家柄の朝桐が言う。

「さすがにそこまでは聞いたことないが……いると思っておいたほうがいいだろうな」
「理々子大丈夫……?」
「何が?」
「何がってその、今の話聞いてた?東の両親に認めてもらえない可能性が高いんだよ?」
「できる限り認めてもらえるよう動くつもりだけど、もし駄目なら駆け落ちの方向で事を進めるだけでしょ」
「「…………」」

 何故か言葉なく呆然と私を見る二人に首を傾げると、二人は心配して損したと同時に大きな溜息をついた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

肉食御曹司の独占愛で極甘懐妊しそうです

沖田弥子
恋愛
過去のトラウマから恋愛と結婚を避けて生きている、二十六歳のさやか。そんなある日、飲み会の帰り際、イケメン上司で会社の御曹司でもある久我凌河に二人きりの二次会に誘われる。ホテルの最上階にある豪華なバーで呑むことになったさやか。お酒の勢いもあって、さやかが強く抱いている『とある願望』を彼に話したところ、なんと彼と一夜を過ごすことになり、しかも恋人になってしまった!? 彼は自分を女除けとして使っているだけだ、と考えるさやかだったが、少しずつ彼に恋心を覚えるようになっていき……。肉食でイケメンな彼にとろとろに蕩かされる、極甘濃密ラブ・ロマンス!

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

完全なる飼育

浅野浩二
恋愛
完全なる飼育です。

処理中です...