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(辛気くせぇ面とか初めて言われた)
まさかの第一声に怒りはなく驚きしかなかった。
確かに表情は豊かな方ではないが、生まれてこのかた初めての会話でいきなり中傷的な言葉を吐かれたことなどない。
呆然としていると東が何だコレとピルケースを拾う。
「あ、それ私ので」
「コレ薬入れとくやつだっけ。何?お前どっか悪いの?」
「いや……そういうわけじゃな」
「ぶつかったくらいで悪化したりとかねぇよな?もしそうでも面倒くせぇから黙っとけよな」
(何だコイツ)
話せば話すほど驚きは増す一方だ。
まずこちらの話をまともに聞く気がない。それと今まで出会った中で一番のクズ。異星人。
東に対する印象というか感想はそんな感じだ。こんな風に思ったのも初めてだ。
明るく染められた髪に制服を着崩した東は普通に校則違反だし不良に分類されるのだろうか。
兎も角そういった派手な人とは相容れないと思っているし関わることもないから余計に自分と同じ種族と思えない。
まさに異星人だ。
α型も東含め数人いるそうだが、こんなのがあと数人いるのかもしれないと思うと顔が引きつる。
α型は高圧的な性格の者が多いと聞くが、さすがに東のような者ばかりではないだろう。そう祈るしかない。
東は高圧的と言うより馬鹿っぽいと言う方がしっくりくるが。
そんなことを連々考えながら呆然と目の前の異星人を見つめていると、段々とその表情が険しくなる。
「うっわ、お前俺のこと好きなのかよ……き」
きめぇ、東はそう言おうとしたのだろう。しかしその言葉は途切れる。
あまりの頓珍漢な解釈、無意識の内に私の手は東の口元を覆うように顔を鷲掴みにしていた。
依然座ったまま驚き口をモゴモゴさせている東に対し中腰で耳元へと顔を近付ける。
「ねぇ東君、君恥ずかしい人だね?」
「っ?!」
自分でも吃驚な言葉が口をついて出た。
別にムカついたとか仕返ししてやろうなんて気は更々ないのだが。
本来こんな挑発的な発言など面倒だからしない。自分自身のことなのに訳がわからない。
混乱の渦に飲み込まれそうになるが、いつまでもこの状態で固まっているわけにもいかない。
色んな罵声が飛んできそうだと覚悟し、東から顔と手を離したが予想外にも静かだった。
気味が悪いと東の表情を伺い後悔した。そしてドン引きした。
「うわ」
恍惚。蕩けきった顔で東が私を見つめている。気のせいでないほど息が荒い。
さっきまでの傍若無人ぶりが嘘のように鳴りを潜めまるで別人。
自然と後退すると、後退したぶんだけずりずりと距離を詰められる。
明らかに東の目は私を求めていた。
(何、この匂い……)
ふと鼻を掠めた匂いに心臓を鷲掴みされたような錯覚に陥る。
壊れるのではないかと思うほど速まる鼓動に焦燥を煽られる。
何故匂いだけでこんなことになっているのだろうか。
混乱で頭がパンクしそうになりながらも、体の方はまだ冷静であった。
それからの自分の行動はほぼ本能によるものだったように思う。
(早く、早く、)
後方に落としたままであった自分の鞄に飛びつき中を漁る。
取り出したのは例の抑制剤。それを唾液のみで何とか飲み下す。
(でも、駄目だ)
いくら飲んだといっても胃に到達し消化されるまで、薬の効果が現れるまでには時間がかかる。
視界の端で東の手がすぐそこまで迫っていたのが見えていたが、私は振り返ることなくその場を走り去った。
まさかの第一声に怒りはなく驚きしかなかった。
確かに表情は豊かな方ではないが、生まれてこのかた初めての会話でいきなり中傷的な言葉を吐かれたことなどない。
呆然としていると東が何だコレとピルケースを拾う。
「あ、それ私ので」
「コレ薬入れとくやつだっけ。何?お前どっか悪いの?」
「いや……そういうわけじゃな」
「ぶつかったくらいで悪化したりとかねぇよな?もしそうでも面倒くせぇから黙っとけよな」
(何だコイツ)
話せば話すほど驚きは増す一方だ。
まずこちらの話をまともに聞く気がない。それと今まで出会った中で一番のクズ。異星人。
東に対する印象というか感想はそんな感じだ。こんな風に思ったのも初めてだ。
明るく染められた髪に制服を着崩した東は普通に校則違反だし不良に分類されるのだろうか。
兎も角そういった派手な人とは相容れないと思っているし関わることもないから余計に自分と同じ種族と思えない。
まさに異星人だ。
α型も東含め数人いるそうだが、こんなのがあと数人いるのかもしれないと思うと顔が引きつる。
α型は高圧的な性格の者が多いと聞くが、さすがに東のような者ばかりではないだろう。そう祈るしかない。
東は高圧的と言うより馬鹿っぽいと言う方がしっくりくるが。
そんなことを連々考えながら呆然と目の前の異星人を見つめていると、段々とその表情が険しくなる。
「うっわ、お前俺のこと好きなのかよ……き」
きめぇ、東はそう言おうとしたのだろう。しかしその言葉は途切れる。
あまりの頓珍漢な解釈、無意識の内に私の手は東の口元を覆うように顔を鷲掴みにしていた。
依然座ったまま驚き口をモゴモゴさせている東に対し中腰で耳元へと顔を近付ける。
「ねぇ東君、君恥ずかしい人だね?」
「っ?!」
自分でも吃驚な言葉が口をついて出た。
別にムカついたとか仕返ししてやろうなんて気は更々ないのだが。
本来こんな挑発的な発言など面倒だからしない。自分自身のことなのに訳がわからない。
混乱の渦に飲み込まれそうになるが、いつまでもこの状態で固まっているわけにもいかない。
色んな罵声が飛んできそうだと覚悟し、東から顔と手を離したが予想外にも静かだった。
気味が悪いと東の表情を伺い後悔した。そしてドン引きした。
「うわ」
恍惚。蕩けきった顔で東が私を見つめている。気のせいでないほど息が荒い。
さっきまでの傍若無人ぶりが嘘のように鳴りを潜めまるで別人。
自然と後退すると、後退したぶんだけずりずりと距離を詰められる。
明らかに東の目は私を求めていた。
(何、この匂い……)
ふと鼻を掠めた匂いに心臓を鷲掴みされたような錯覚に陥る。
壊れるのではないかと思うほど速まる鼓動に焦燥を煽られる。
何故匂いだけでこんなことになっているのだろうか。
混乱で頭がパンクしそうになりながらも、体の方はまだ冷静であった。
それからの自分の行動はほぼ本能によるものだったように思う。
(早く、早く、)
後方に落としたままであった自分の鞄に飛びつき中を漁る。
取り出したのは例の抑制剤。それを唾液のみで何とか飲み下す。
(でも、駄目だ)
いくら飲んだといっても胃に到達し消化されるまで、薬の効果が現れるまでには時間がかかる。
視界の端で東の手がすぐそこまで迫っていたのが見えていたが、私は振り返ることなくその場を走り去った。
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