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宣告通り一限目が終わる頃にはなんとか落ち着きを取り戻したが、今度は志帆がそわそわとしはじめた。
私を気遣ってか自分からは聞いてこなかったが、一人ぐらい道連れがほしかったので要点をまとめたメールを送りつけた。
「え?理々子って……え?ちょ…………これ私知らなかったほうが幸せだったかも」
そしてこの発言である。
授業合間の休憩時間、スマホと私を交互に見やる志帆の顔は後悔一色といった感じだ。
噂好きとして知られている志帆だが、第二性別に関しては暗い話題が多いため触れたくないらしい。
「私と理々子幼馴染じゃん?」
「そうだね」
「理々子がこの手の冗談言うわけないってわかってるじゃん?」
「……そうだね」
「マジかぁ……ぁぁぁ……」
他の女子であったなら食いつきそうな話題だが、志帆は先程の私のように机に突っ伏した。
志帆だって気にならないわけではないだろう。
だが、この話題を大っぴらに口にして誰かに聞かれ面倒事に発展なんて想像に容易い。
東とはついさっきまで交流などもちろんなかったし気を使う義理もない。
しかし第二性別、特にΩ型が周囲にどのような目で見られているか知っているため同情を禁じ得ない。
それに噂の発生元として巻き込まれるなんて真っ平ごめんだ。
志帆もそれがわかるからこの反応なのだろう。
活発で明るく愛嬌のある志帆は見た目や性格は私と正反対と言われがちだが、中身は似た者同士だ。
だからこそこうして長い間友人関係が続いている。
「さすがに一人で抱え込むのはしんどい」
「はいはい道連ってか。はぁ……これから彼を見かける度に複雑な思いをするはめになったわけだね」
「まだ“そう”だって決まったわけじゃないけどね」
「いやいや、もう決まったようなもんだよ。だって理々子が“そう”だったんでしょ?他の可能性は限りなく薄いと思うよ私は」
「何も私の前でなくてもよかったのに」
「もしかして、いや何でもない」
「…………」
志帆が何を言おうとしていたのかわかってしまう自分が嫌だ。
こういう時に鈍感であればどんなに幸せかと思う。
考えまいと思うほど鬱陶しく頭をチラつく“番”という文字。
相手があの東で嬉しいとか残念だとかそういう以前の話だ。
思わず顔に出てしまっていたのか、志帆は悪くないのに謝られてしまった。
「……そういやさ、学校側は知ってるんじゃない?それこそ理々子は今日提出してきたんでしょ」
「だからって先生に聞きに行ったところではぐらかされるんじゃない」
「αかβだったらまだ聞きやすいのにな」
「志帆」
「うっ、ごめん」
志帆の言った通り、私同様に東も先日の身体検査に引っかかっているなら教師側にいずれ連絡がいくだろう。
そうであっても教師が生徒の個人情報をペラペラと話すわけがないし、東が本当にΩであるのなら余計に教えてなどくれない。
何も悪くなくとも、ΩはΩというだけで差別対象になりやすい。
教師がわざわざ火に油を注ぐような真似はしないだろう。
「ていうか教えてもらったところでどうしようもないよ」
「だね……」
二つの溜息が重なった。
私を気遣ってか自分からは聞いてこなかったが、一人ぐらい道連れがほしかったので要点をまとめたメールを送りつけた。
「え?理々子って……え?ちょ…………これ私知らなかったほうが幸せだったかも」
そしてこの発言である。
授業合間の休憩時間、スマホと私を交互に見やる志帆の顔は後悔一色といった感じだ。
噂好きとして知られている志帆だが、第二性別に関しては暗い話題が多いため触れたくないらしい。
「私と理々子幼馴染じゃん?」
「そうだね」
「理々子がこの手の冗談言うわけないってわかってるじゃん?」
「……そうだね」
「マジかぁ……ぁぁぁ……」
他の女子であったなら食いつきそうな話題だが、志帆は先程の私のように机に突っ伏した。
志帆だって気にならないわけではないだろう。
だが、この話題を大っぴらに口にして誰かに聞かれ面倒事に発展なんて想像に容易い。
東とはついさっきまで交流などもちろんなかったし気を使う義理もない。
しかし第二性別、特にΩ型が周囲にどのような目で見られているか知っているため同情を禁じ得ない。
それに噂の発生元として巻き込まれるなんて真っ平ごめんだ。
志帆もそれがわかるからこの反応なのだろう。
活発で明るく愛嬌のある志帆は見た目や性格は私と正反対と言われがちだが、中身は似た者同士だ。
だからこそこうして長い間友人関係が続いている。
「さすがに一人で抱え込むのはしんどい」
「はいはい道連ってか。はぁ……これから彼を見かける度に複雑な思いをするはめになったわけだね」
「まだ“そう”だって決まったわけじゃないけどね」
「いやいや、もう決まったようなもんだよ。だって理々子が“そう”だったんでしょ?他の可能性は限りなく薄いと思うよ私は」
「何も私の前でなくてもよかったのに」
「もしかして、いや何でもない」
「…………」
志帆が何を言おうとしていたのかわかってしまう自分が嫌だ。
こういう時に鈍感であればどんなに幸せかと思う。
考えまいと思うほど鬱陶しく頭をチラつく“番”という文字。
相手があの東で嬉しいとか残念だとかそういう以前の話だ。
思わず顔に出てしまっていたのか、志帆は悪くないのに謝られてしまった。
「……そういやさ、学校側は知ってるんじゃない?それこそ理々子は今日提出してきたんでしょ」
「だからって先生に聞きに行ったところではぐらかされるんじゃない」
「αかβだったらまだ聞きやすいのにな」
「志帆」
「うっ、ごめん」
志帆の言った通り、私同様に東も先日の身体検査に引っかかっているなら教師側にいずれ連絡がいくだろう。
そうであっても教師が生徒の個人情報をペラペラと話すわけがないし、東が本当にΩであるのなら余計に教えてなどくれない。
何も悪くなくとも、ΩはΩというだけで差別対象になりやすい。
教師がわざわざ火に油を注ぐような真似はしないだろう。
「ていうか教えてもらったところでどうしようもないよ」
「だね……」
二つの溜息が重なった。
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