男とか女とか

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 (良かった元に戻って…………にしても変な感覚……)
 
 女性αの最たる特徴と言えばやはり生殖器関連。
病院でも説明を受けてはいたが、その時はまだ他人事のように思っていた。
実際それを経験した今戸惑いはあるが、体の一部が変わっただけで根本的な部分に変わりはないためパニックを起こすほどでもない。
後天性自体が超稀であるためケースは少ないが、中には受け入れられず発狂する者もいると聞いて多少恐怖はあった。
メンタルケアの紹介もできると言われたが私には必要なさそうだ。
恐らくαとしての私は圭限定だ。
圭と出会う前にも何人かのΩと会っているがαの反応など微塵もなかった。

(なんて都合のいい体)

 圭のフェロモンに触発されαとしての自分をある意味手っ取り早く自覚するに至ったわけだが、落ち着くまでに結局一限を要した。
遅れて教室にやって来た私にクラスメイトの視線がいくつか向けられたが何気ない顔で自分の席へとついた。
前の席にいる志帆に関しては私をガン見である。
ぶっちゃけ今この時まで志帆のことを忘れていた。

「後で話すから」
「りょ、了解っす」

 二限目の授業が始まるまで後数分もない。
かなりキョドっている志帆が気になりはしたが上手く説明できる自信もない。
手短にできないこともないが、圭にプロポーズしたなんて言ったらきっと授業どころじゃなくなるだろう。

(そっか、私プロポーズしたのか)

 かなり遅れてその事実に気付く。
結婚してくださいとは言っていないが、番おうなんてそう言っているも同然だろう。
番うということは即ち本能による契約だ。紙面上だけの契約とはワケが違う。
正に死が二人を別つまで続く重い契約。そんな契約を私は圭に持ち掛けたのだ。

(軽すぎない?こんなんでいいの?)

 別に軽い気持ちで言ったわけではない。紛れもない本心だ。
生涯ずっと圭の隣にいられたらと強く思う。しかし圭のフェロモンにあてられていたのも事実。
α性に後天してからというもの振り回されっぱなしで、平常に戻っては大丈夫なのかと自身に問うことが増えた。
実際番おうと言ったものの今後の具体的な人生設計ができているわけでもない。

(駄目じゃん。これじゃ結局圭と一緒……)

 圭は初めから私と番いたいと言っている。
その誘いをにべもなく蹴った数日前の自分の言葉が深く突き刺さる。

“そうやって深く考えもしないから簡単に番いたいだなんて言えるんだろうね”

 なんというブーメランだろうか。しかし撤回する気などさらさらない。
色々と思うことはあるが圭と番うことは決定事項だ。
始まったばかりなんだ。双方何か重大な失敗を犯したわけでもない。
これから慎重に事を進めていけばいいだけの話だ。

(私って割りとポジティブ)

 圭のフェロモンにあてられた直後、私は自身がどんな顔をしているかなんて知らなかった。
見た者が思わず生唾を飲み込むほどの威圧と色気を振り撒いているだなんて知るわけもなかった。
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